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巨大アント

そしてグレンは静かにボタンを押した。

「ラルフ、容器の様子がおかしいぞ!さっきまでの光沢が失われてる。強度が失われたに違いない。やつら出てくるぞ」

「うっ・・」

「デビルアントを地下住居地に入れてはダメだ!」

「魔法で総攻撃をかけよう!ジャン、進、ロック聞こえたか?!」

「はい」

ジャンたちはラルフの鼻をはい出て、ルイはみんなを元のサイズに戻してやった。

「あの容器を破りデビルアントが飛び出してくる。その瞬間を狙うんだ!」とシンジ。

「はい!」

「よーし、見てろよー!」気合いのはいるロック。

『頼むぞみんな!』


「あれ?いつの間にか人が増えたぞ」とミラー。

「何者ですかね?」

「そろそろお出ましよ!デビルアントが・・」


その時、容器の一部に亀裂が入った!

「来るぞ!」

ラルフのその言葉に、みんな人差し指を前に突きだし、デビルアントの動きに集中した。

『進、今回もあの呪文言うのか?』

「当たり前さ!」

『じゃあそろそろ唱え始めた方がいいぞ・・』

そして容器に中から穴が開けられた。

「いくぞー!プリプリ・パラパラ・・」

穴は一瞬のうちに拡がり、デビルアントが一斉に飛び出してきた!

「今だ!」

「・・えい!」

みんなの指先から出る物凄いエネルギー波が、たちまちデビルアントをとらえていった!


「ん?!魔法を使うのか・・」とグレン。

「余計なことを・・」とミラー。

「あっ、でも見て!」リンサは地上に目をやっている。

進たちの攻撃を受け動きを止めるデビルアントだったが、しばらくするとまた何事もなかったかのように動き始めたのだ!

「不死身だ!」とマックは言った。


「くそー!みんなのパワーを集めてもびくともしないのか・・」

「これでは体力が続かないぞ」

『何てやつだ!あのデビルアントは・・』

「ボス、何か方法はないのか?あんた科学者だろう」と平吉。

「無茶言わないでくれよ・・」

「あー、もうダメだ・・」

「ロック!しっかり」

・・結局、魔法の総攻撃でもあのデビルアントをやっつけることは出来なかった。


「グレン、ホントに無敵なのね!デビルアントって」

「あいつらの魔法に威力がなかったのか、それともデビルアントが無敵なのか・・」とミラー。

「後者だな!私の想像を遥かに越えた強靭さだ」とグレンはうなった。


「次々と地下に入っていくぞ!」とジョン。

「まさにアリの大群だわ」

「アリのサイボーグ!地下の要塞がどれだけ耐えてくれるか?!」とラルフ。

「そうだな・・」


デビルアントたちは鋭い牙で、人々の入る要塞を破壊しようとしていた。しかし、それはあえなく失敗に終わった。一匹のデビルアントが、くるりと方向をかえ出口へと向かうと、そのあとを他のデビルアントたちが続々と続いていった。


「あっ!デビルアントが穴から出てきたぞ」と進。

「いったいどうなったのかしら!?」


「もうかたずけてしまったとか・・」とマック。

「まさか早すぎるわよ!まだ10分もたってないわ」とリンサ。

「じゃああきらめちゃったのか?」

「そんなはずはない!」


するとデビルアントたちは不思議な動きを見せ始めた。次々とおり重なりひとつの塊となっていったのだ。


「何が始まるんだ?」とジャン。

「卵みたいな形だね」とロック。

「ホント黒い卵だ!」と進。


時間とともにその黒い卵は、どんどんと巨大化していった。


「グレン、あれはいったい?」と驚くリンサ。

「・・・」グレンはただその異様な光景を眺めるだけだ。

「どこまで成長していくんだ?」とミラー。

「3メートル、いや4メートルはあるぞ!」とマック。

そしてその塊は、次第にある形を作っていった。それはすべてのデビルアントが合体して、ひとつの巨大なアリの化け物と姿を変えたのだった!


「こんなことがあっていいのか!?」

「グレン、これはプログラムにはないことなの?」

「これはデビルアントが自己成長する過程で身につけたことだ!」

「なんだって!」ロックも驚きの声をあげた。


「なんだこの化け物は!」と平吉。

「あんなのと戦ったところで、到底勝ち目はないぞ!」とジョン。

「要塞が破れなかったので、合体して攻めるつもりだ!」とラルフ。

『うっ!なんだかこっちをにらんでるぞ』

「くそー!」そう言ってロックは人差し指を化け物に向けた。

「ロック、無駄だ」とシンジはロックの腕を静かに下ろした。


「あのサイズだと地下通路には入れないな」とラルフ。

「真上から穴でも掘って近づくつもりか!?」とボス。

「今のうちに人々を助け出そう」

「ああ」

ラルフたちは地下要塞に向かった。


ボスの予想通り、巨大アントは地下要塞の真上を堀り始めた。ほどなくして巨大アントは強靭な岩盤ににぶちあたった。要塞の天井部分だ。そこを鋭い牙で破壊し始めたのだ。先ほどとは違い確実に岩盤を砕いて行く。


ラルフたちは地下要塞に無事潜り込むことができた。天井からは鈍い音が響いている。

「今のうちにここを脱出するぞ!」

その時、扉の外で大きな音がした。

「なんだ?」

ラルフは出口の扉を開けた。

しかしそこは、大小の岩と泥で、地上への道が完全に閉ざされてしまっていた。

「くそー!やつの打撃の衝撃で岩が崩れたんだ」とシンジ。

「完全に閉じ込められたか・・」

「絶体絶命・・」シンシアは小さな声でそうつぶやいた。















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