これからジャック星に向かう
「あと2日だ!いよいよ本番だぞ」とラルフ。
「ああ、やつらがデビルアントを取り出したところでおさえる!」とシンジ。
「おそらくカエリコに着くまでは、デビルアントは安全な形で保管されているはずだ。それをばらまかれる前に奪い取る」とボス。
「平じい、何か考え事?」
「おう進かあ。うん、あのなんとか星人たちは、自分達の星がなくなってしまうからカエリコに移り住もうとしているんだよな」
「うん」
「それを私達がやめさせようとしている」
「そうさ!カエリコの人達のためにね」
「 それはわかるんだが・・」
「何が言いたいんだい?じいさん」とボスたちも加わってきた。
「いや、もしカエリコがダメということになれば、あいつらはどうするのかと思ってな」
「そんなこと言ったって平じい、カエリコにだってもともとの住民はいるんだ!黙って引き渡すわけないだろう」とジョン。
「共存はできんのかね・・」
「じいさん、それこそ簡単じゃないぞ!もしカエリコじゃなくて地球が標的にされていたら、地球人だって戦うだろう」
「うん、そうじゃなあ・・」
「平じい・・」
その時、進には平じいの顔がとても哀しそうに映っていた。
「明日デビルアントを運び出す。準備を頼む」とグレン。
「わかりました」
「いよいよだな」
「明日早朝、ステルス機に移そう!」
「一万匹はいるはずよ!」
「ラルフ!」
「なんだい兄さん」
「ジャック星人は、カエリコを常に監視しているだろうな!?」
「ああ、おそらく」
「不思議に思わないだろうか?ゴリラが一匹もいなくなってしまって」
「はたしてそこまで注意深く監視しているかどうか?」
「今回だけではない。マイクロチップのこと、それにあのどくろの扉でのこと。やつらも警戒心を相当持っていても不思議ではない」とボスは言った。
「それに今度のデビルアントは、絶対に失敗はできない」とシンジ。
「・・何か仕掛けてくるというのか?!」ラルフの顔色が変わった。
「邪魔者のいないうちにことを進める!」とボス。
「まさか・・」
「急いだ方がいいかもしれんぞ!」
「ああ」
「進、ジャン、ロック!準備はいいか」とラルフ。
「おう!」
「ルイも頼むぞ!」
『任せとけ!』
「よし、これからジャック星に向かう!ジャン、ジャック星の位置はわかるな!」
「うん!」
「当然私も行くぞ!」と平吉。
「平じい、今回は危険です」とシンジ。
「進たちだけ危険な目にあわすわけにはいかんよ。そうだろう」
「私達もお供するよ!」とボス。
「わかった!みんなでカエリコを守ろう」
「ルイ・・」
『よーし・・えーい』
進たちは小人となり、ラルフの体のなかに潜り込んだ。
そしてジャンを先頭に、ラルフとシンジはジャック星をめざし飛び立った!
夏子はこのところ浅い眠りの夜が続いていた。昨夜もほとんど眠っていない。自分は何も彼らにしてやれることはない。ただただ無事を祈るそんな夏子だった。
ジャック星では今、どくろの第三の扉が開けられ、デビルアントの入った密閉の容器が取り出されるところだった。
「ミラー慎重に頼むぞ!」
「わかってるよ。なにしろコブラの30倍の猛毒だもんな」
「決してひとの力では開かない容器だとわかっていても、なんだかすごく緊張するわ」
「持ち上げるぞ!」とミラー。
シンシアは思わず後退りをしていた。
ゆっくりとデビルアントをいれた容器は地上へと運ばれて行き、ステルス機にしっかりと固定された。
「ふうっ・・」大きく息を吐くミラー。
「3人ともご苦労だったな。あとはこの容器をカエリコの地に落とし、このスイッチを押すだけだ」
「すると容器の耐性が無くなって、デビルアントがそれを破って外に出てくるわけね」
「ああ」
「いよいよなんですね」とミラー。
「ステルス機の方はいつでも飛び立てます」とマック。
「わかった!」