リスペクト
カエリコに残る人々は、ラルフの再三の説得でもこの星を離れることを拒んだ。
「これ以上は無理だな」
『仕方ないさ。あとはジャック星人とデビルアントを倒すだけだ!』
「それしかなさそうだ!」
『じゃあゴリラたちのところに行ってみるか』
「この一帯がゴリラたちの縄張りだ!」
『小さくするのはいいけど、ラルフ、地球までどうやって連れていくんだ?まさか体の中ってわけにはいかないだろう』
「ああ、このカプセルに一時閉じ込めて、それから呑み込む」
『それなら安心だ・・そのあとは?』
「えっ?」
『吐き出すのか?』
「そんなことはしない!」
『じゃあ・・』
「自然に出てくるのを待つ」
『どこから?』
「それは秘密だ・・」
『・・・』ルイは想像するのをやめた!
「いたいた!あの群れで試してみよう」
『よーし、えーい!』
ルイの魔法は見事、ゴリラにも効果を発揮した!
「しかし、あのゴリラたちがあんなに凶暴だったなんて、今となってはとても信じられないな」とマック。
「なんだよ急に・・?」とミラー。
「見てくれよ!あののんびりした姿」
「ゴリラはもともと心優しいって言うからな!」
「・・あっ!・・」突然叫ぶマック。
「どうしたんだ?今度は」
「消えた!」
「えっ?何が消えたの」リンサが部屋に入ってきた。
「ゴリラが!・・」
「えー・・?」
そんなことリンサもミラーも信じられるはずもない。
「本当だよ!ここに4~5匹ゴリラがじゃれあってたのに、一瞬にしてきえちゃったよ」
「4~5匹もいっぺんにだと!」
「何かカエリコで起きてるのかしら?」
「調べる必要があるな」
「そうね」
「最後の最後で厄介なことにならないでくれよ・・」
「よーしこれで終わった!ご苦労だったなルイ」
ラルフはミクロゴリラの入ったカプセルを手に持っている。ルイはその行方が気になって仕方がなかった!
『そんなデカいカプセル本当に呑み込めるのか?』
「ああ、問題ない」
『出すときも問題ない?』
「もちろんだ!」
『・・・』ルイは無理矢理思考を止めた!
「リンサ、この前来たとこよりだいぶ静かだな」とミラー。
「そうね、この辺りはゴリラたちのテリトリーなはずだけど」
「一匹も見当たらない!やっぱり消えたんだ」とマック。
「地下の居住スペースじゃないか?ほとんどの住人はいないんだから」
「なるほど!確認しましょう・・」
「・・どう?」
「ダメだ!いない」
「いったいどういうことなんだ!?」
「誰かが連れ去った・・?」ポツリとミラーが言った。
「だけど1匹や2匹じゃないんだぜ!何十匹ものゴリラが一斉にいなくなったんだ」とマック。
「まるで魔法ね!」リンサは呟いた。
「でもどこかに逃げてくれたのなら、それはそれでいいんじゃないか。ここにいたらデビルアントの餌食だ!」
「いい方に考えればそうだけどな」
「でも気味が悪いわ!」
「我々の周りで不思議なことが続くな!ゴリラたちからマイクロチップが外されたこと」とグレン。
「どくろの扉が開けられたこと」とマック。
「そしてこのゴリラの消滅」とミラー。
「場所は離れてるけど、どちらも私達のすぐ近くの出来事だわ!」とリンサ。
「何者かに監視されているのかもな!いや、敵がいる。我々の計画を快く思っていないやつらが・・」とグレン。
「しかも魔法のような不思議な力を備えている」
「もし、本当なら厄介ね!」
「仕方ない!予定を1日早めるとするか」
「相手の不意をつくのね!」
「そういうことだ・・」
地球に戻ったラルフとルイは、ゴリラたちを森に開放してやった。
『ラルフ』
「なんだ?」
『今どんな気分だ?!』
「一言で表すなら・・爽快!」
『・・・』ルイはそんなラルフをリスペクトし始めていた!