以心伝心
「ボス、カエリコに本当にデビルアントをばらまくんでしょうか?ジャック星人は」とジョン。
「ん?・・」
「だってあいつらの話だと、デビルアントは制御不能だとか言ってましたよね。自分達が移住しようとしている星にそんな危険な生物を逃がしたら、移住どころじゃなくなってしまう!」
「うん、確かにそうね・・」
『たまにはいいことを言うなジョン』
「どうやらその辺に突破口があるのかもしれないな・・」
「パパ、カエリコの人たちはどこかに避難しないといけないの?」
「そうだな、安全が確保できるまで、どこかに避難することになるかな」
「じゃあ地球がいい!」
「うん、パパもそう思ってる!しかし、カエリコの何千万もの人たちがいきなり地球に行ったら、地球人がビックリしてしまうよ。その辺をよく考えないとな・・」
「うん・・仲良くしてくれるかな?」
「大丈夫だよ!進だって優しくていい子じゃないか」
「そうだね」
「夏子、話があるんだが・・」シンジの表情は真剣だ。
「何よ急に!別れ話?」
「夏子・・」
「冗談よ!自分もカエリコに行くって言うんでしょ」
「・・なんでわかったんだ?」
「あなたと私は以心伝心!何年夫婦をやってると思ってるの。それに進やジャンのことも心配だしね」
「やっぱり知ってたのか!」
「ええ」
「ラルフの言う通りだ!」
そしてシンジは故郷のカエリコに飛んだ。
「あっ!この鼓動は・・」
「どうしたのパパ?」
「進、意外な人物の登場だ!」
「えっ?」
「あそこをよく見てごらん」
その人物のシルエットはだんだんと鮮明になっていく・・。
「・・あっ!パパだ」
進は走り出していた。
「進!」
「パパ、やっぱり来てくれたんだね!」
「ああ」
「兄さん!」
「・・それでジャック星人たちのことは何かわかったのか?」
「ああ・・」
ラルフに代わってボスがその詳細を説明した。
「そうか、とりあえずはこの星の人々の命を守ることが最優先だ!」
「それで地球への一時的な避難は可能だろうか?」
「うん、地球には無人島が幾つもある。まずはそこに移るのがベストだろう!山と海の恵みで食には困らないはずだ」
「早速今の状況を説明して、なるべく早く行動出来るようにする」
「そうだな!」
そして・・。
「みんな準備はいいか!?」ラルフは叫んだ。
「私が行く先を案内する」とシンジ。
「これはあくまでも緊急的避難だ。このカエリコは、必ず私たちが守りぬく!」
「ジャン、ジャンも地球に行くんだろう!?」とロック。
「うん、一緒にいくよ!」
「あーよかった」
進たちは小人となり、ジャンの体に潜り込んだ。
「よし、出発だ!」
人々は仲間同士手をつなぎ、大空へと飛び立った!
しかし、なかにはどうしてもこのカエリコを離れたくないという人達もいて、もし敵が襲ってくるなら戦うという者もいる。ラルフにはその者たちに無理強いはしない。いざとなったら一緒に戦うまでだ!そう心に決めていた。
「グレン、カエリコに動きがありました」とマック。
「そうか、やっと重い腰をあげたか」
「デビルアントの出番なしで済むといいけど」とリンサ。
「ああ、俺達だって争いなんてしたくない」そうしみじみ言うミラー。
「まだカエリコに残ってる人がいるね」と進。
「生まれ育った故郷だ!なかなか離れられない気持ちはよくわかるよ」と平吉。
『ラルフはその人たちの気持ちを尊重した』
「あいつらしいな!」平吉は呟いていた。