どくろマーク
「ねえ、あそこの扉を見て!」とシンシアが指を指した。
「うわっ!どくろマークだ!」と進。
「ここですね!」とジョン。
『でもこれ扉なのかい?取っ手もボタン類も何もないや。ホクらが潜り込む隙間もない』
トントン、トントン・・ボスは扉らしきものを叩いてみた。
「この奥は確かに空間だが!」
「何か特殊な仕掛けがあるのね」
「こんなときは呪文を唱えるんじゃよ!」
「はあっ?」
「平じい、どんな呪文!?」と信じてくれたのは進とジャンの、ピュアな二人だけだ。
「まあ、見てろよ・・開け~ごま!!」
「じいさん、そんな子供だましの呪文で、開くわけないだろう!」ボスがそうぼやいていると、怪しい扉は静かに動きだし、床に格納されていった。
「嘘でしょ・・」口を開いたままのシンシア。
「まさか・・」
「やったねー!平じい」
進とジャンは、平じいとハイタッチを交わした!
「何か言いたいことはあるかねボス?」
「いいえ・・」
しかし、その扉は第一関門にすぎず、目の前には新たな第2の扉が出現した。今度はどくろマークが二つ描いてある。
「また扉だわ!」
「今度はどんな呪文で開くんだ?」とジョン。
「平じい、他の呪文はない?」
「私が知ってるのはひとつだけだ!残念ながな」
「適当な言葉を並べてもダメでしょうね」
『進、ジャン、二人なら出来るんじゃないか!』
「僕たちが!?」
『そうだよ!得意な魔法があるじゃんか』
「・・進、やってみよう!」とジャン。
「よーし、ジャンいくよ!」
「おう!」
「プリプリ・パラパラ・エイ!」
進とジャンの人差し指がドアに向けられた・・。
・・・「あっ!」
そしてドアはゆっくり動き始めた・・。
『やったね!』ルイも満足顔。
「なかなかやるわね!」
「うん、見事だ!」とボス。
「ヘヘェ~」
「ん?また扉だ!」とジョン。
「猛毒を持つデビルアントだ!何重のロックがあっても不思議じゃないさ!」とボス。
今度の扉はどくろマークが三つだ。
しかし、今までと様子が違う!半透明のガラスの扉だ。
「あっ大変だ!」
「どうしたの?マック」
「どくろの第一と第二の扉が開いている!」
パソコンの画面をのぞきながら、マックは叫んだ。
「なんだって!」ミラーも慌てて画面をのぞきこんだ。
「第三の扉はどうなってる!?」
「閉じたままだ!」
「至急確認しましょう」
「デビルアントが逃げ出したらえらいことだぞ!」
「ああ」
リンサたちは地下2階に駆け出していった!
「・・ん?ヤバイ!誰か来るぞ」とボス。
「扉の開閉がモニタされてたのね」
「どうやらそうらしいな」
「くそー、ここまで来たのに!」とジョン。
「これはいったいどういうことなの?」
「わからない!ただ扉が壊された形跡はない」とマック。
「じゃあ、何者かが合言葉をつかって開けたってことか?!」
「ああ」
「でもなんで一と二だけなの?この第三の扉をなぜ開けなかったのかしら?」
「開けようとしたところで、俺たちが駆け寄ってくるのに気づいたのかもな・・」
「しかし、誰にも会わなかったじゃないか!ここに来るには、あのエレベータを使うしか方法はない」
「それに、隠れる場所もないわ!」
進たちは廊下の隅っこで、この会話を息をひそめて聞いていた。
「じいさん、間違ってもオナラだけは勘弁してくれよ!」
「私に言われてもなあ・・あれは自然と出てしまうものだからな!」
「中のデビルアントも変わったところはなさそうだ」
「ひとまず安心ね」
「監視カメラの映像を確認してみよう」
「そうね!」
「よし、扉を閉めて上の階に戻ろう」
「私たちも一度退散だ!」
『リンサの頭に跳び乗るぞ』
「ミラーどうだい?」
「どこにも怪しい人影はないな!エレベータも、今日乗ったのはさっきの俺たちだけだよ」
「扉の方は?」
「ここからだ・・」
「あっ!」
「扉が勝手に開いてるわ!」
「あり得ないよこんなの・・」
「グレンこれはいったい・・」とシンシア。
「セキュリティーの誤作動の可能性はどうだ?」
「至急確認します」とマック。
「キングブラックフォールの影響が出てるのかしら?」
「・・・」
ジャンの鼓動が聞こえる。帰ってきたな!ラルフはそう思った。
「あっパパー!」
「ジャン!」
「ラルフ、戻ってたのか」と平吉。
「ああ、でどうだったジャック星の方は?」
「あれ?なんで知ってるの」
「お前のパパだからな・・」
「色々収穫はあったぞ!」とボス。
・・「デビルアント!?」
「うん!あれをこの星にばらまかれたら終わりだ。その前になんとしても阻止しないとな」
「うん」
「でも、大がかりなセキュリティーに守られて保管されている。突破しようにもたちまち怪しまれてしまうわ」
「それにあの第三の扉、どんな特殊な構造になっているのか見当もつかない」
「チャンスは一度ってことか!」
「えっ?ラルフそれって・・」シンシアの顔がこわばった。
「あいつらがデビルアントを持ち出すのを待つのか?」とボス。
「うん」
「それはまさにこの星を攻撃する時じゃないですか!」とジョン。
「だからチャンスは一度ってこと・・」とシンシア。
『危険すぎないか?!』さすがのルイも不安を隠せない。
「ねーパパ、デビルアントに僕と進の魔法は効くかな?」
「ああ、おそらくな・・」
ラルフにもその答えはわからない・・。