罠にかかったぞ
「これね!」
「特に変わったところはないみたいだけどな!」
「どう思うマック」
「うん、ただの風船だね!」
「しめしめ、罠にかかったぞ」ほくそ笑むボス。
『やるじゃないかボス』
「誰の中にする?」と進。
「それは決まってる!」なぜか目が輝く平吉。
『女性だろう!平じい』
「じいさん、その歳で・・」
「うるさい!とっとと行くぞ」
『よし、右の耳だ!』
「うん、それー・・」
「うっ!」
「どうした?リンサ」
「ちょっと耳鳴りがした気がしたの・・」
「大丈夫か?」
「ええ、もう治ったわ!」
「異常無しだな!さあジャック星に戻ろう」
「うまくいったな!やはりこいつらはジャック星人だ」
「どうやらジャック星に戻るみたいね」
「あれ?平じいは・・」
「あのじいさんどこに行ったんだ?」
「今までここにいたのに」
これがあのカワイコちゃんの耳の中かあ・・意外と毛深いんだな。それに真っ暗で何も見えない。
なんだかさっきから鼻がムズムズするなあ・・『はっ!ハアクション!!』
「キャー!」
「リンサ・・」
「どうした?」
「今、大きな耳鳴りがしたのよ!」
「またかい。一度医者に診てもらった方がいいぞ」
「そうかなあ・・」
「ん?何だ今のは」とボス。
「奥の方からだ!」と進。
『まさか平じい!?』
「えっ!何やってるんだ・・」
「真っ暗で迷子なんじゃないか?」とジョン。
『ちょっと見てくる』そう言ってルイはLED ライトをつけた。
「ひゃー参ったな!帰り道がわからない・・」
『平じい、こっち』
「おー、ルイ!」
『しーっ』
「すまんすまん」
『大きい音は禁物!ここは耳の中なんだからな』
「わかってるよ。急にくしゃみが出てな」
『さあ、静かに戻るよ!』
「どうだった?」とグレン。
「特に異常はありませんでした!ただの風船です」とミラー。
「そうか」
『しばらくこのままで、こいつらの会話を聞いていた方が良さそうだな!』
「そうしよう!」とボス。
「平じい、今度は静かにしててね」
「それがだなあシンシア、もう我慢の限界なんだよ!」
「平じい、何が?」と進。
「オナラだ!」
「えー!」
「じいさん、それだけは勘弁してくれ!」
「無理だ・・・」
『プーッ!』
「げっ!平じい、この密室で」とジョン。
「いや、こっちの方は解放してるぞ」
「じゃあ早くそっちに臭いを逃がしてよ!」必死のシンシア。
『よし、こんなときのためにこれがある!』
「あっ、うちわ!さすがルイ」
パタパタパタ~・・これでよしっと!
「ん?なんだか臭いな!」とミラー。
「マック、あなたオナラしたでしょう!?」
「俺じゃないよ」
「リンサ、きみの方向から臭ってくるぞ!」とミラー。
「えっ!?」
「うん、右の耳からだ!」とマック。
「やっぱり医者に行くしかないよ!リンサ」
「そうするわ!」
「とにかく早く換気をしろ!臭くてたまらん」とイライラのグレン。
「平じい、耳の外でも何やらもめてるみたいだぞ!」とボス。
「面目ない・・」
「じいさん、今度やったらここから追い出すぞ!」
「はい」
「リンサ、計算だとあとどのくらいだ?このジャック星がキングブラックフォールに呑み込まれてしまうのは」
「キングブラックフォールの膨張の加速で、当初の予定よりかなり早まっています。再計算の結果あと15日です」
「そうか」
「ギリギリでしたね!七日間の猶予は」とミラー。
「カエリコのやつらまだちっとも動き出す気配がないけど、どうするつもりなんだ?ただの脅しだとでも思ってるんだろうか・・」とマック。
「そうね、デビルアントが上陸したら、あっという間にお陀仏だわ!」
「そんなの見たくないですね」
「そうね・・」
「デビルアント、確かにそう言ったわ!」
「恐ろしそうな名前だな」と平吉。
「それと、キングブラックフォールとも!」とボス。
「やはりこの星に危機的状況が迫ってるってことか!」とジョン。
「そういうことだ」