やはり行ったか
「ルイ・・」
『進とジャンの気持ちはわかるけどな』
「カエリコを救う方法はないの?」とジャン。
『敵の正体すらわからないんだ、対策のたてようがないよ』
「じゃあ調査しに行こう!」
『進、行こうってどこに行くのさ?』
「決まってるだろう!カエリコに」
『どうやって行くのさ?今度はラルフには頼めないぞ』
「僕が空を飛べる!」とジャン。
『その手があったか!じゃあボスにも協力してもらおう。なんてったって世界一?の科学者だからね』
「うん」
多分平じいも行くって言うだろうな・・。
そして・・。
「話はわかったが、カエリコに行っても、手がかりがつかめるとは限らんぞ!」とボス。
「そうね・・」
「それに相手が言ってきた七日間って、信用できるのかもわからない」とジョン。
「私は信じていいと思うな。ジャック星人って意外と情とかがあるような気がする!ほらゴリラの時も人々を脅しただけで、決して殺したりはしなかったんだから」
「私もシンシアの意見に賛成じゃな!なんとか星人にもやむを得ない事情があるんだろうよ」と平吉。
「カエリコはおそらく、ジャック星人の監視下にあるはずだ!見回りをして様子を窺ってるやつもいるはずだ。そいつを探しだして潜り込む、体の中にな」とボス。
「よし、そうとなったら早速出掛けよう!」
『平じいも行くのか?』
「あたりまえだ!私が行かないでどうする・・」
「ルイ、ジャン、二人とも頼んだよ!」と進。
「任せとけっ!」
『準備はいいかい?』
「ん?ボス、そのカバンには何が入ってるの」と進。
「秘密兵器だ!」
「カッコいい!」
『小さくなるぞー!』
「OK !カエリコに向けて出発!!」
「進ったらまた平じいとどこかに出掛けたらしいわ!」と夏子。
「やはり行ったか!」とシンジ。
「行ったって、あなた、進たちがどこに行ったか知ってるの?」
「いや、知らないよ・・」
しっかり頼むぞミクロの戦士たち!
「そうか!やはり行ったか」とラルフ。
「ああ、夏子には内緒だがな」
「いや、案外感づいてるさ!母親ってやつはな・・」
「・・うん」
そしてカエリコ・・。
「あっ!ジャン」
「ロック!」
「どこ行ってたんだ?カエリコが大変なことになってる!」
「うん、そうらしいね」
「知ってたのか?」
「うん、それをこれから調査するんだ!仲間と一緒に」
「仲間?どこにいるの・・」
「僕の体の中さ!」
「えっ!?」
その時ルイが、ジャンの鼻の穴から顔を出した。
「げっ!・・ジャン、鼻にムシがいるぞ」
「へへぇ~」
そのあとも次から次と小人たちが現れてきた。
「ジャン、これは・・」
「これが僕の仲間たちさ!」
「敵にみつかるとヤバイから小さくなってるんだ!」と進。
「そうだったのか」
「でもこのムシは・・」
『ボクの名前はルイ!』
「ルイ?」
「こいつも仲間だよ」
『ヨロシクな』
「はあ・・・」
まだよくわかっていないロック。
「ロック、最近このカエリコで変わったやつを見なかったかい?」
「このカエリコでは見かけない顔のやつだ」とボス。
「見てないよ」
「そうか・・」
「ねージャン、ジャンも小さくなれるの?」
「ああ!」
「魔法で?」
「そうさ!空だって飛べるよ」
「えっ!空も・・すごいなあ。僕も魔法を習ってるけど、ちっとも上手くならないよ」
「そうだったのか・・じゃあ今度一緒に練習しよう!」
「うん」
「ねぇボス、そろそろそのカバンの中身を教えてよ」とシンシア。
「何を持ってきたんですか?」とジョン。
「よし、ではお見せしよう!」
ボスはカバンを開けた。
「ん?何・・」
「風船さ!」
「風船爆弾か!?」と驚く平吉。
「いや、ただの風船」
「いったい何に使うんですかそれ?」とジョン。
「この風船を大きくふくらませてここに繋いでおけば、ジャック星人も気づくはずだ。何事かと確認に来る。そのときがチャンスだよ!」
「随分と原始的じゃな!」と平吉。
「進、ジャン、この風船大きくできるか?」
「うん、簡単だよ・・」
「よし、頼む」
こうして大きな風船が、カエリコの空に出現したのだった。
「ミラー、あれは何だ?」
「アドバルーンかな・・」
「何が始まるのかしらね?」
「大したことはないと思うけど、調べておいた方がいいかな」とマック。
「そうね、私も行くわ!」
「昔はこんなのが街のあちこちに上がってたなあ!特に紅白の風船は縁起物でたくさんあった」
「平じい、僕の家の辺りでもこんな風船があったの?」と進。
「ああ!あったとも。原始的だが案外名案だったかもな」
「当たり前だよじいさん。私が考えたんだからね!」