夜中の0時
「進、お風呂入るわよ」
「うん」
シャツを脱いで、ズボン脱いで、パンツも脱いで・・じゃぶーん。
ママは椅子に座って頭を洗っている。
ママのからだの中ねー・・。進はママのからだをじーっと眺めていた。
「ん?どうかした進。あなたの視線が、さっきからすごく気になるんだけど」
「ねーママ、ママは自分のからだの中を見たことがある?」
「えっ、無いわよ!だって外からじゃ見えないでしょ」
「今度僕が見てきてあげようか!」
「見るって進・・じゃあお願いしようかな」
「うんわかった!」
夏子には当然、そんな話冗談としか受け止めてはいなかった。
「面白いことを言う子ね」
「おやすみなさーい」
「おやすみ」
進は7才だけどもうひとりで寝れる。しかもこのひとりの時間が大好きだった!
「ルイ!ルイ・・出てきてよー」
ルイは進の鼻の孔から顔を出した。
『進・・』
「もう少しして、ママが眠ったら出発するよ冒険に!」
『どこいくのさ?』
「決まってるだろう、ママのからだの中!」
『ああそうだったね。そんなことより進、お風呂に急に潜らないでくれよな!ボク耳のところで昼寝してたら、危なく溺れるとこだったよ・・』
なんで?今までもやってたことだけど・・。
そして夜中の0時。
『進!進・・』
「ん・・」
『進起きろ!』
「ルイ・・?」
『ほら出発するよ!』
「うん」
進はルイの魔法でちっちゃく姿をかえた!
『進、これを頭に巻いて!』
「・・こんな感じかい?」
『おお、お似合いだ!最新のLED ライト。からだの中は真っ暗だからね』
進とルイはママの眠る寝室へと向かった。
「うわ!ルイ、僕たちこんなにちっこくなっちゃって、どうやって扉を開けるのさ?」
『開ける必要なんか無いよ!ほらここにこんなに大きな隙間があるだろう』
「あっなるほどね」
二人はそーっと部屋に忍び込んだ。
『ぐっすり眠ってるみたいだな』
「そうだね」
『進、ついてこいよ!』ルイは高く跳び姿を消してしまった。
「あれ?ルイ、どこだよー」
『進ここだ。ボクのヘッドライトが見えるだろ』
どこ・・ママの髪の毛が微かに光ってる!
「ママの頭なの!?」
『そうだ!進、ここめがけておもいきり跳んでごらん』
そんなところまで跳べるかな・・。
「よーし、ボクも男だ!ルイ行くよー」
進は助走をつけておもいきり跳んだ!
どこだここは・・。そこはまるでジャングル!どっちを向いても、黒っぽい木がただ延々と生えているだけだ。
「ルイ、どこにいるの?」
すると一本の木を伝って、ルイが降りてきた。
『ほら跳べたじゃないか!』
「うん、それにしてもすごいジャングルだね!」
『この黒っぽいのは、進のママの髪の毛だよ』
「髪の毛・・?!」