進は魔法使い
「ルイ、ルイの魔法でジャック星人を小さくしちゃえばいいんじゃない!?」と進。
「あっそうだね!出来ないの・・」とジャン。
「それは無理だ!ボクの魔法で小さくできるのは人間だけ」
「そうなんだ」
「いい方法だと思ったのに」
「ジャン、私は一度戻るぞ!」
「うん」
「夏子さん、ジャンをよろしくお願いします」
「はい!もちろんです」張り切る夏子。
「それじゃあ」
「さようならラルフ!」涙声の夏子。
昼ドラの見すぎだね・・。
ボスは既に耐性セルキラーの作製に取りかかっており、薬の主成分も既に突き止めていた。
あとは時間の問題だ。
それにしてもシンシアとラルフがなぜ一緒にいたのか。それにあのじいさんまで。そして耐性セルキラーを1億匹も!いったい何に使うというのか。
シンシアは私に詳細をしゃべらなかった。なにをたくらんでる・・?!
「ジャン、魔法を習ってるって言ってたよね!」
「うん」
「僕にも教えてくれないかな」
「進に!?」
『進、魔法なんて誰にでもできるって訳じゃないぞ』
「うん、わかってる。でも僕小さくなる魔法を覚えたんだよ!他も練習すれば出来るんじゃないかな?」
『なるほどね!進にはそのセンスがあるのかもな』
「いまボクが練習してるのは、離れている敵を一撃で倒すってやつ!」
「へー!それすごいね」
『それで今はどのくらい完成してるんだ?』
「じゃあ、ちょっとやってみるね」
そう言ってジャンは戦うポーズをとった。
『なかなかサマになってるじゃん』
「あの机の上にある鉛筆を見ててね!」ジャンは気持ちを集中した。
「タアー!」
ジャンの叫び声のあと、鉛筆はコロコロと転がり床にポトリと落ちたのだ。
『あっ!』
「ジャン!すごいよ」
「まだまだこのくらいしか出来ないんだ。ジャック星人とはとても戦えない!」
『・・確かにまだまだみたいだね』
「じゃあ、今度は僕がやってみるね!」と進。
『進、無理だって!』
それでも進はじっと転げ落ちた鉛筆をにらんでいる。
そして「やあー!!」・・そう叫んだその瞬間。
『あっ!』
「あっ!」
なんと床の鉛筆が勢いよく跳ね上がり、机の上に飛びうつったのだった!
「ん?」何が起きたのかわからない進。
『進、出来たじゃないか!魔法』
「ホントだ!ボクより全然スゴいよ」
「・・・」今の本当に僕がやったの?!
進にはその才能がある!そんなことを気づかされた瞬間だった。
それから進はジャンと一緒に魔法の練習に明け暮れた。
そして今は、消ゴムを手のひらにのせているところだ。でもただのせておるわけではない。手のひらの約1センチメートル上の空間に消ゴムは浮いていた!知らない人が見れば、それは上手な手品だと思うだろう。しかし、進のそれは確かに魔法だった!
『考えてみたら、進はボクの魔法もすぐできるようになっちゃったもんな!』とルイ。
「そういった不思議な能力が進くんにはあるんだね」
「僕も驚きだよ!」
『そのうち空も飛べるかもよ』
「そうだよ!パパみたいにね」
「そうかなあ・・」
「ジャン!」
「パパ!」
「いい子にしてたか?」
「うん、それより進くんがすごいんだよ!」
「えっ!?」
「こんにちは」
『進、魔法が使えるんだ!見てやってください』
「魔法?」
「へへぇ」
「ほう、それは是非見てみたいね!」
そして進は10円玉を手のひらにのせ、それをふわりと浮かせてみせた!
「おっ!」
「ね!パパ、すごいでしょう」
「うん!練習次第ではもっと大きな魔法を習得出来るかもな・・」
『やったね進!』
「うん」
それからもジャンと進の魔法の修行は続いた。そして二人の力を合わせれば、大木さえ倒せるパワーを身に付けていたのだった!