マッハ20
「持ってきたぞ!」
「パパー」
「平じいには知らせてあるよ。とりあえず家に来なさいって」
『どうやっていくんだ?また新幹線・・』
「そっか、じゃあ、またお金をもらわないと切符が買えないや」
「その必要はないよ!君たちは小さく変身出来るんだろう。あとは私がマッハ20でひとっ飛びさ!」
「なるほど!」
進とジャンは小さく姿を変え、ラルフの耳の中に隠れた。
「よし行くぞ!」
「平じい!」
「ん?進・・ずいぶんと早いじゃないか!さっき電話したばかりなのに」
「へへぇ~空を飛んできたのさ!」
「ほお、空を飛んで!今の子は空も飛べるのか・・」
「そんなわけないだろう!ジャンのパパに連れてきてもらったの。ジャンのパパ宇宙人だから空が飛べるんだ」
「そうだったか」
「ジャンの父のラルフです」
「ほお、男前じゃのう!」
「平じい、シンシアさんには?」
「ああ、もうすぐ家に来てくれるはずだ」
「シンシアだって・・」やはりあの男だったか!ラルフはそう確信した。
「こんにちは」
「あっ、ジョンさん」と進。
「こんにちは、はじめまして」
「進君くん、こちらシンシアさん」
「知ってるよ!」
「えっ?」
「・・しばらくだな」
「えっ?・・あなたは!ラルフ」
「覚えててくれたかい?」
「もちろんよ」
「ん?お知り合い」とジョン。
「以前にちょとだけね!」
「パパ、このお姉さん知ってるの?」
「うん。こいつは息子のジャンだ」
「こんにちは、シンシアです」
「知ってるよ!」
「えっ?」
そう言えば、私もどこかでこの二人の子供と会ったことがあるような・・気のせいかな。
「じゃあ、そろそろ出発するかね」と平吉。
「この人数だと車に乗り切れないな!」とジョン。
「あーあ、ラルフさんたちは空を飛んでいくから大丈夫だ!」
「はっ?空を・・飛ぶ・・」意味が理解出来ないジョン。
「ああ、宇宙人だから!」
「えっ!ラルフが宇宙人」目を丸くするシンシア。
「うん、黙ってて悪かったね!シンシア」
「ステキ!!」
「ん?」
そして一行はボスの所へ・・。
「ボス、例のものが手に入りました。それと懐かしい人も!」
「久しぶりだな!ボス」
「・・やはりお前だったか」
「二人は知り合いかい?」
「あっ!あんたは・・」
「そうだ!まんまとお前の実験台にされたじじいさ」
「なぜあんたがここに?」
「そんなことはどうでもいい。それに、実験台にされたことも根には持ってない!安心しろ」
「私は以前、セルキラーを撲滅させるために色々調べていた。そのうちに、そのセルキラーを研究する科学者のことを知った。それがここにいるボスだ。そして私は是非その科学者に会ってみたいと思い、この建物を訪ねたんだ。その時にシンシアとも会ってる」
「それで今回、そのセルキラーをやっつける薬をつくったってことか!?」とボス。
「ボス、私はそんなものをつくってはいない!」
「嘘を言うな!他に誰がそんなものをつくれると言うんだ」
「思い出話はそのくらいでいいだろう!本題に入ろうじゃないか」二人に割ってはいった平吉。
「これがその薬です」シンシアはそれをボスに見せた。
「うん」
「期間はどのくらいかかりそうですか?」
「一カ月もあれば十分だろう!」
「わかりました」
「それにもうひとつ頼みがある」とラルフ。
「なんだ」
「その耐性セルキラーだが、できれば大量に欲しいんだ!」
「なんだと!」
「1億匹だ!」
「ふん、簡単なことだ!」
「簡単?・・そうか」
ラルフのやつ、いったい何を考えているのか?まあいい、私にとってもこの耐性セルキラーは是非とも欲しい代物だ。
「ねーラルフ、あなた本当に宇宙人なの!?」とシンシア。
「うん」
「私、空を飛んでみたいな!」
「お安いご用さ!」
「本当に!」
「手をかしてごらん・・」
ビューん!
「あっ・・本当に飛んでっちゃった」
二人は手を繋いだまま、大空に飛び立った!
「ジョンさん、ボスって男の人、名前は何て言うんですか?」進は聞いてみた。
「確か五郎か六郎のどっちかだったと思うけど」
「えっ!?それって生まれた順番なの」
「そう、ボスはその自分の名前が嫌いでね!」
「今度会ったとき呼んでみようか!」とジャン。
「やめてくれよ!俺が教えたってばれちゃうだろう」
「だって教えてくれたじゃん」
「えっ・・ホントにやめてよ」泣きが入るジョン。
「あー楽しかった!もう最高だわ」
シンシアとラルフが空から帰ってきた。
「時代はやはり大きく変わったなあ!」
「平じいさん、空、飛んでみるかい?」とラルフ。
「私は遠慮するよ!昔の人間だからな」
「はあ・・?」その理由、意味がわからないと思うラルフ。
『あーあ、よく眠った!』
そう言いながら、進の耳からルイが顔を出した。
「ん?今の誰の声」とシンシア。
『ボクです!こんにちは』
「ギャー」
あーあ、気を失っちゃった・・。