君だって宇宙人
また師走が巡ってきた。そして私はもうすぐ101歳になる。この一年というもの、いったい何だったのだろう!?急に若い体になったり、それが急にもとの体に戻ったり。ものすごいスピードでの変化だった!時速100キロメートルどころではなかったな。
こうしてもとの姿に戻った今が、やはり一番しっくりくるな!新幹線並みのスピードで時が行ったら、さすがに体がついてはいけない。やはり時速100、いや時速101キロメートルが一番いい・・!
「平じい、お誕生日おめでとう !」
「おめでとう!」
「ありがとうよ」
「平じい、早くろうそくの火を消して!」
今回はろうそくが1本か。
「よーし、フウー・・」
ひとの幸せとは、きっとこんなひとときのことを言うんだろうな・・。
「ルイ、平じいなんだけどさ」
『平じいがどうかしたか?』
「セルキラーをやっつけた後からさ急におじいちゃんになっちゃったよね!」
『うん、おそらく平じいのからだの中にいたセルキラーは、普通のセルキラーじゃないんだよ!』
「普通じゃあない?」
『噛みつかれた細胞がイキイキしてたもん。そんなことあり得ないんだ』
「ねー、セルキラーってあのちっちゃなトカゲみたいなやつのこと?」とジャン。
「あれ?ジャン知ってるのか?」
『ジャン、いったい君は・・』
「うん!セルキラーは元々、ボクのいる星にいたんだ」
「ボクの星に・・?」
『ジャン、君はいったいどこから来たんだい?』
「カエリコという星」
「蛙の子?」
「違う、カエリコ!」
「えっ、するとジャンって宇宙人なのー!?」
「そんなに驚くことないだろう。進なんかもっとわけのわかんないルイと一緒にいるんだからさ」
「それもそうだな・・」
「それに進、ボクから言わせれば君だって宇宙人なんだからさ!」
『で、そのセルキラーがなんで地球に来ることになったんだい?』
「ボクたちの星では常に争いが起きてる。元々カエリコに住んでいたボクたちを追い出して、自分達の星にしようとしているジャック星人との間でね。セルキラーはボクらの仲間で、ジャック星人の体に入り込んで戦ってくれているんだ。そして一体のジャック星人が地球に逃げ込んだとき、一緒にセルキラーも地球に来てしまったんだって」
『逃げてきたジャック星人はどうしたんだい?』
「パパがやっつけたよ!」
「ジャンのパパが?」
「うん」
『その時逃げ出したセルキラーが、人間の体にイタズラをするようになったんだな』
「でも、仕方ないんだ。そうしないとセルキラーは生きていけないんだから・・」
「ねージャン、君の住んでるカエリコってどんな星なの?」
「とてもキレイな星だよ!この地球とよく似ていて、太陽も海もあるんだ」
「今度行ってみたいなあ!ダメかな・・」
「パパに聞いてみるよ。でも、パパはいつボクを迎えに来てくれるかわからないからな」
『なんでジャンをこの地球に残して、パパは帰っちゃったんだ?』
「ひとりで修行しろってさ!」
『修行ねー・・』
「進!ジャン君、お風呂入っちゃって」大きな夏子の声。
「はーい!」
「進、早くお風呂入ろうよ!」とジャン。
「お風呂好きなの?」
「大好き!」
変な宇宙人・・。
お風呂で・・。
「ジャンもおチンチンあるんだね!」
「あるよ!ちゃんとおしっこも出る」
「ご飯も食べて、眠って・・ちっとも変わらないね僕達と!」
「うん、ただ力はすごく強いんだ!それに今魔法も特訓中さ」
『魔法も!実は僕も魔法が使えるよ。ルイにいつも体をちっちゃくする魔法をかけられてるうちに、自分でも出来るようになったんだよ」
『そう、ある意味進は天才だ!』
「ジャンはどんな魔法を習ってるの?」
「決まってるさ!ジャック星人をやっつける魔法だよ」
「そっか、カエリコを守るんだね!」
「うん」
『そのジャック星人って強いのか?』
「ん?ボクのパパより弱いかな」
『じゃあ、パパって強いのか?」
「ボクのパパは誰にも負けやしないよ!」
「すごく強いんだ、ジャンのパパは!」
「進、ジャン、いつまで入ってるの!いい加減に出てきなさーい!」
「はーい」
入れだの出てこいだのって、忙しいね進のママは・・。