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「進、今度の日曜、平じいのところに遊びにいくわよ!」

「日曜って明日の?」

「あっそうか、もう明日のことだったわ!」


『進、ママはもう眠ったか?』

「うん、ぐっすりだ」

『よし、じゃあセットしに行くぞ!』

「うん」

『両耳と両鼻の穴の計四つのセルキラー取り線香のセット完了!』

「ルイ、火はいつつけるの?」

『明日だ!』


「こんにちは!」

「おう、いらっしゃい」

『ん?・・どなたですか?」夏子は思わず聞いた。

「私だよ!平じいだ」

「平じい!」

「嘘でしょう」進もビックリだ!

「進兄ちゃん」

「好太郎、元気だったか?」

「うん」

「いらっしゃい」美子が慌てて飛んできた。

「美子さん」

「驚いたでしょう!平じいの顔」

「どうしちゃったんですか?」

「それが本人にも私達にもわからないのよ。急に若返っちゃって」

「義男おじさんより若い感じだもんね!」

「そうでしょう」

「まあ、なかにはいってお茶でも飲まんか。話はそれからだ」


「今年になってからなんだよ。だんだんと若返っていったのは!最初はいいことだあ位にしか考えてなかったんだが、さすがにここまでくるとね・・」と義男は言った。

「体調のほうはどうなの?」

「私ならいたって元気だ!」

「うん、顔色もいいし元気そうだね!」


「ん?夏子、煙が出てるぞ・・」

「はあっ?」

「なに言ってるんだい親父」

「煙だよ!ほら耳から」

「うっ!」

「どうした美子?」

「夏子ちゃんの鼻から・・」

「お前まで・・えっ!」

「義男おじさん!煙って何なの?」


「ルイ、ルイ!ヤバイよ」

『もう少しだ。辛抱して』


「ママ、庭に出てみようよ!」

「えっ!?」

僕は無理やりママを庭に連れ出した。

「ふうっ」

「進、みんな煙がどうとか言ってたけど何なの?」

「ああ、平じいがタバコを吸ってたんだよ!」

「なんだ、タバコの煙だったの」

「うん」


人は必ず老いる!顔や手のしわ、髪の毛の色には、その人が送ってきた人生が表れているものだ。しかし、ほとんどの者が、その身体の変化を快くは思っていない。つまり、ある年齢を過ぎると、歳相応の身体を人は嫌うのだ!

厚い化粧をし、薬を服用し、身体にメスを入れてまでその変化を隠そうとする不思議な生き物だ。


そして私はあるビジネスを始めることにしたのだ。それが若返りだ!愚かな人間どもは必ずこれに飛びついてくる。

それから5年の年月が過ぎようとしていた頃、私はひょんなことから、人間の体に住み着き、細胞を破壊するセルキラーの存在を突き止めた。体の隅々にまで移動可能なこの生物を利用してやることにしたのだ!

そしてセルキラーを捕らえ、ある遺伝子を組み換えてやった。すると、その鋭い歯で噛まれた細胞は死滅し、そこに新しい若い細胞を、次から次とつくりだすことに成功したのだ。つまり、体の新陳代謝をこのセルキラーがものすごいスピードでやってのけるということだ。


研究も最終段階、今あるひとりの人間でその効果を検証しているところだ。ここまではおおむね順調のようだ。


「親父、二郎は何て言ってるんだ?」

「体の新陳代謝がものすごいスピードで行われている結果だろうとな」

「新陳代謝・・」

「新陳代謝って、体の古い細胞が新しいものに常に入れ替わってるってやつだろう!」と悟史。

「ああ。その新陳代謝が鈍ることがすなわち老化なんだそうだ」

「最近では、その新陳代謝を高めるサプリメントまであるらしいわ」と美子が付け加えた。

「親父、まさかそのサプリメントを飲んでるとか・・」

「そんなわけないだろう」

「そうだよ、もしそんなサプリメントがあったら、たちまちトップニュースさ!」

「悟史の言う通りね」









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