ボクの名前はルイだ
「じゃあねバイバーイ」
「ただいまー」
「おかえりなさい。今日もお友だちと遊ぶの!?」
「遊ばなーい」
「あら、珍しいね」
「だって外、大雨だもん!」
「えっ!天気予報のバカー、洗濯物が~」
喉乾いちゃったなあー・・。
「ママー!ママー・・」
『呼んでも無駄だよ!今、忙しいから』
「そうか」
冷蔵庫に何かあったかな・・?ちぇ、牛乳しかない!
『牛乳飲むと、背が伸びるぞ!』
「知ってるよ、いつも言われてるから」
コップに入れて・・。
『こぼすなよ!』
「わかってるって・・ん?・・ママ」
『ママはまだ外』
「パパ?」
『パパは会社』
「だよね・・・ギャー!!」
『気付くの遅すぎ』
「誰?どこにいるの」
『コップのところ!』
「えっ?」
あっ!朝の虫がコップについてるよ。バッチいなあ。
進はまた指で弾こうと狙いを定めた。
「このー・・」
虫は進の弾く指よりも一瞬早く、高く跳び上がり、進の腕に着地した。ウルトラEだね!
「こいつ・・」
進が叩いても叩いても、すぐ逃げられてしまう。すばしっこい虫だ!
『進、ボクは捕まらないよ』
「もう頭きた!絶対捕まえる・・えっ!」
ギャー!「ママー、ママー、虫が喋ったよー!!」
「進、どうしたの?」
「むし、むし、むし・・・・」
「進、熱でもあるの?」
信じてくれるわけないか。虫が喋ったなんて。
『そうだよな』
虫は進の肩にいた。
「げっ!・・お願いだからあっちに行って!」
『嫌だ』
「何でだよ」
『ボクは進と一緒じゃないと生きて行けないからさ』
「えー!」
「お前何者なんだ?」
『ご覧の通り虫だよ』
「どこからきたの?」
『進のからだの中」
「からだの中?・・お腹の中ってこと」
『お腹とは限らず、進のからだ全部がボクの家なんだ!』
「???」
『それがさ、進、朝くしゃみしたろう!でかいの』
「そうだったかな?」
『その時ボクはちょうど喉のところにいて、思わず吹き飛んじゃったんだ!』
「ふーん」
『ボクの名前はルイだ。これからもよろしくな!』
「それって友達でってこと?」
『まあそんなとこかな』
「どうしようかなあ?虫の友達なんて」
『いいじゃないか!じゃあボク帰るね』
「帰るってどこに?」
『決まってるだろう、進のからだの中に』
「やめてくれよ!虫がからだの中いるなんて気持ち悪いもん」
『しょうがないだろう。じゃあまたな』
そう言ってルイは、進の耳の孔に入っていった。
あっ!入っちゃったの?!
そうだ、ママに耳のそうじしてもらおーっと!
「ママー・・」