進と虫
朝陽がカーテンの隙間から差し込んでいる。
「ああ~」大きなあくびをして、ベッドから起き出して来たのは、相川 進、小学1年。
「進!早くご飯食べなさーい。なかなか片付かないから」
大きな声で僕に言ってるのは、相川夏子、僕のママだ。
僕はテーブルの椅子に座って、ついているテレビに目をやると、地図のところに傘の絵がついている。
雨?
「ママ、今日雨なの?」
「夕方からだって!だから進には関係ないよ」
「そうなんだ」
今日の朝御飯は、目玉焼きと、ハムと葉っぱか・・。
「あら進、まだパジャマのままなの!いいや、先に食べて」
自分だって、それパジャマだろ!
「いただきまーす」
なんかさっきから、鼻がムズムズするんだよなあ。
『・・うっ・・はーハクション!』
うぇ!やっちゃった。
早く拭かないとママに怒られちゃうよ。ティッシュペーパーは・・。
その時テーブルの上に、変な虫が仰向けになっていた。
なんだこいつ?気持ち悪いなあ~。
進は指でピンと弾いて、虫を床に落とした。
着替えて、歯を磨いて、ランドセルしょって、靴を履いて・・。
『ピンポン』
「進くーん」
準備OK
「いってきまーす」
さあ、一日の始まりだ!
実はこの時、進の髪の毛の間に一匹の虫が隠れていた。大きさは、ありんこの半分ほど!虫メガネが無いと顔までは確認出来ない。
何やらムズムズムズムズ動いている。進は頭に変な感じがあり、ボリボリと結構激しく掻いてみた。その虫は、弾き飛ばされることなく、進の指を軽やかによけていた!
教室の椅子に座り、先生の登場を待ってるとき、進は今度背中にくすぐったいものを感じ、体をあっちにこっちに揺すってみた。
「ふう~」
少し落ち着いた頃に先生登場!
「起立、礼」
当番の声に合わせ挨拶「おはようございます」
そして授業が始まっていった!
さっきまで頭にいたその虫は、今、進の背中でじーっとしているのだった・・。