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序幕
暖かな木漏れ日が落ちる木の下。そよぐ若葉を見上げる少年に少女が駆け寄り、隣に座る。二人の距離は、近い。
「ねーねー。お話聞かせて。いつものやつ」
甘える少女に少年はゆっくりと振り向いた。
「…またか。気に入ったの?あの昔話」
「うん!とっても。あのお話だけは何故か特別って気がするの」
見つめ会う二人の微笑みは、木漏れ日のように暖かだ。
「おいで」
少年が自身の太ももを叩くと、少女は慣れた仕草で頭を乗せる。
少年は少女の頭を優しく撫でながら、語り始めた。
それは、二人の出会いが織り成し紡ぐ物語。
「これは、昔々の物語。世界が今よりずっと脆く不安定だった頃―――