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絶滅記  作者: banbe
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東の技術10

 都から出る道中、ルインと魔女は魔獣達の説得を試みる。しかし、強いボスに着いて行くの一点張りで引こうとはしなかった。

 鬼人は人間の居なくなった酒場で酒樽を貰い、ルインは自身の馬を回収し都の外へと出た。


「さて、これからやる事がいっぱいね」


 都から少し離れた船着き場で魔女の前にルイン、鬼人、亜人、そして魔獣達がずらりと並ぶ。


「まずは簡単な所から、あなた達はこれからどうするの?」


 魔女は亜人達に尋ねる。


「俺達は攫われた場所はバラバラなんだ、そのまま一人一人で帰ってもまた人間に襲われるかもしれない……出来ればあなた達と一緒に行動したい」


 亜人達の申し出にルイン達三人は困った顔をした。


「俺達は混乱を起こす為この都に来たんだ。その目的も終わってこれからどうするかも未定だ。それ以前に次も戦いになるかもしれないからこの大人数を連れて行く訳にはいかない」

「そう……ですか……」


 亜人達は落胆する。


「しっかり考えるのには時間が必要でしょう。出来る限り協力したいけど……難しいわね」

「考えてみます……」

「次に……この魔獣達……これをどうにかしなきゃいけないわね……」


 魔女は困ったように額を抑えながら酒で身を清めている鬼人に向かう。


「定住する気のない旅先で魔獣を従わせるのはどうかと思ったんだがなぁ、如何せんあのままじゃ魔獣は冒険者に全滅させられてただろう」

「大量の魔獣……本当にどうしようかしら」


 魔女は魔獣達を見つめた。鬼人一人なら問題ないが、彼が動けば魔獣達も大群でついてきてしまう。


「うーん」


 そこにいる全員がこれからの事で首を傾げた。


「よしここは素直に相談しよう」


 ルインは声を上げた。


「相談って……ああそういう事ね」


 魔女もルインの考えを分かったのか自身の手荷物から魔鉱石を取り出し、ワドファーに都の損害と現在の状況を伝えた。


『まずは東の都の壊滅ご苦労。まさかそんな事になるとは』


 魔鉱石越しのエルフも成果に驚いた。


『しかし魔獣と亜人か……』


 エルフは考え込んで一瞬沈黙する。


『私も今バラバラにするのは危険だと思う。取れる手段は二つ、先ずは南の亜人街、そこに身を寄せる』

「南の亜人街?」


 ルインは自分の出身地を上げられ反応する。


『そうだ、南の都は被害が出たのは中心部だけ。だが、当時都の住民達は他の都や王都に避難して人手が足りなくなったんだ。パワーバランスが崩れた事で誰も亜人街に手を出す事はしなくなった。そのまま他の都が壊滅していく中、南の都は守りを固めた為、亜人街はノーマークだ』

「じゃあ、今人間の国の近くで一番亜人が固まってるのが南の亜人街か」

『酷なことを言うが、仮に今自分達の住んでいた所に戻ったとしても、元の環境である確率は低いだろう。二つ目はそこに残り戦う事』

「彼等に戦えと?」

『南の亜人達は力を貸してくれる事が決定したんだ』

「森の亜人達も?」

『南の森と亜人街両方だ。これで北、西、南からまとまった戦力でぶつかる事が出来る。東は海で戦力を集めるのが無理だと思っていたが、そちらからも攻める事が出来るのなら人間の国を更に大きく崩せるだろう』

「その為に魔獣とここの亜人達を使うのか」

『勿論、無理強いはしないがな』


 横で聞いていた亜人達はざわめいていた。


『どのみち故郷に帰るのは今は無理だろう。前者を選んだ場合の魔獣は……まあ時間をかけて説得するしかないだろうな』

「うーむ……」


 ルインは腕を組みながら考え込む。


『今すぐに決めなくても良いと思うがな。魔女にはその地で少しやって貰いたい事があるし、その間話し合い存分に考えるといい』


 エルフは魔女に用件を伝えた後通信を終える。

 魔女が頼まれたのは、東の都の人間達が侵された病の詳細を調査する事だった。

 これから攻めようとしている場所が、病気が蔓延しているとなると、攻めるに攻められない。

 人間が逃げ去った船着き場に拠点を置き、魔女は検査を始める準備にかかる。

 手始めにずっと都の中にいた鬼人の健康状態と、自分を含めた亜人達に病が移っていないかの確認。

 病気が効かないルインは、研究所へエルハイナが使っていた資料や器具を取って来る。

 物が揃って素早く仕事をこなす魔女にルインは感心する。


「凄いな、チウィーさんはマリアと同じくらい魔法が使えてエルハイナのやっていた事を理解できるんだ」

「魔女というのはそういう種族だからね、医術の方はエルハイナが残していた資料のおかげで何とか分かるし調査を助ける機械もある、さすが技術の都って所かしら」


 魔女が作業している間ルインは魔獣達の説得を試みる。

 しかし魔獣達も亜人達と同じく遠くから連れて来られた者が多く、全てが無事に帰られるという訳ではなかった。

 何より魔獣達は自分達をこんな目に合わせた人間に仕返しをしたいという意思表示をしルイン達との同行を望んだ。


「戦力の増加は嬉しいけど……」


 ルインは検査の結果を待つ安静状態の鬼人を見る。


「ボスが俺だから彼等は俺に着いてくる、戦力の割り振りも俺次第、ということか」

「リーグはここから攻めて欲しいと言っていたけどどうする?勇者ずっと王都に居るみたいだけど」

「……君に着いて行くのが勇者と会う一番の近道と思っていたんだがなぁ」

「うーん……王都を襲撃すれば出て来ざるを得なくなるんじゃないかな」

「物騒なことを言うなぁ、俺は勇者に話を聞きたかっただけなんだが……しかし刺激しないと出てこないなら仕方ない。そのエルフの言う通り俺はここに残り魔獣達を率いて王都に向かおう」


 鬼人は東に残りルインやワドファーの作戦に協力する事が決まった。


「ただし俺は勇者に会う為に一番最初に王都内部へ斬り込む。作戦開始は合わせるが歩幅は合わせてやれんぞ」

「勿論それでいいよ、頼りにしてる」

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