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絶滅記  作者: banbe
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東の技術1

 昼には都と船着き場に分かれる道へと到着し、ルインは鬼人に再度今後の事を聞く。


「ここまで来たけども……キドウはどうするの?」

「ふと思ったのだが……これから故郷に帰るとして、亜人の俺は船に乗れるのか?」

「あー」


 鬼人の疑問にルインと魔女の声が被る。


「どうなのチウィーさん」

「船着き場は人間が管理しているし、近年船で亜人が国外へ行ったなんて耳に入って来た事ないわ……来た時みたいに頭を隠せば問題ないでしょうけど……」

「傘は真っ二つになり村に置いて来てしまったからな」

「立派な角だから布とかで巻いても目立つよね」

「ならばこのまま船着き場に行くのは止めておくか。それよりも都で傘に代わるなにかを探す、それまで君達と同行しよう」

「絶対戦闘に巻き込まれるけど……良いの?」

「その辺の輩には負ける気はしない、それに現魔王に同行すればスタナの事が何か分かるかもしれないしな」

「昔の魔王か……保証は出来ないけど。でも付いて来てくれるなら心強いよ」

「では東の都に向かおうか」


 三人は改めて東の都へ向かう。

 東の都も亜人街は無く、いきなり都の門があった。

 だが当然人間の兵が門番をしており、資格が無ければ人間でも追い返されるという。ルイン達は道の木の陰から遠巻きに、都の門を観察する。


「かなり厳しそうだね……リーグの言う通り騒ぎを起こして捕まった方が早いかな?」

「でも捕まって散り散りにされたら面倒よ。ただでさえ入った事のない都なんだからあまりバラけたくないわね」

「変装の方法があるなら、まずはそれを試してからでも遅くないのでは?どうせ中で騒ぎを起こすんだ、入る理由なんかは適当に誤魔化しても後から困る事は無いだろう」

「そうね、先ずは変装を試してみましょう」


 三人は道から外れ準備しようとする、だがそこに見知った顔が通りかかった。


「あっお前ら!」

「ん?」


 大きな声に釣られルイン達は振り返る、そこには昨日浜で亜人に暴力を振るっていた人間の男三人が居た。


「ここは人間の都の近くだ、こんな所で亜人が何してるんだ!」


 人間の一人はルイン達に近づく、するとルインの馬に積んでいる荷物に亜人から貰った小瓶を発見する。


「これは昨日あの亜人に取られた小瓶じゃないか!そうかお前らグルだったんだな!」

「何を言って……」

「昨日は理不尽な暴力に屈したが今日はすぐそこに人間の国がある!国の兵にお前達をひっ捕らえてもらうぞ!」


 人間達はそう言うと都に向かって走り出した。


「あっ!」


 咄嗟の事で反応に遅れルイン達は人間達を行かせてしまう。


「あーこれは大人しく捕まった方が良いのかな……」

「兵のご機嫌次第って所ね。亜人ってだけでその場で殺して終わるなんて兵もいるみたいだし」

「そうなると流石に抵抗しなきゃね。まず素直にどうなるか兵達に聞こうか」


 しばらくすると、先程の男達三人は武装した人間の兵複数名を連れてくる。


「こいつらが俺達の商品を盗んだんだ」


 三人の男達はどうやら商人の様で、兵達も男達のいう事を信じルイン達を囲んだ。


「俺達はこれからどうなるの?」


 ルインは本当に素直に、今後の処遇を聞いた。


「亜人は捕らえられたら裁判を通す事になっている。大人しくしないならこの場で叩き斬るぞ」


 捕らえられると分かったルイン達は頷き、三人で手を上にあげ降参ポーズを取った。


「いきなり斬られたら抵抗したけど、きちんと裁判をしてくれるなら抵抗はしないよ」

「ふん!亜人が無罪になる事なんてないがな!」


 兵達は薄笑いを浮かべながらルイン達に縄をかける。

 勿論ルイン達はその言葉の意味を知っていたが、人間が自ら都の中へ入れてくれるので何も言わず黙って従った。

 荷物は全て没収され、馬は都の前の馬屋に止められる。


 そうしてルイン達と兵達、そして訴えを起こした男の三人で東の門を潜った。

 それから三人は兵舎で身元の確認と事実確認を行い、留置所へ入れられる。他の留置所は満杯らしく三人は同じ留置所へ入れられ話す事も許された。


「西の都よりもだいぶまともな対応ね」

「そう言えばチウィーさんは刑の執行まで行ったんだったね」

「あの時はいきなり裁判に立たされて刑を一方的に言い渡されただけだったわ」

「魔女は前科持ちだったか」

「この国の亜人の前科なんてあって無いようなものよ、人間様の機嫌を損ねれば誰でも前科持ちになるわ。それよりルイン、あなたは身元確認をなんて答えたの?」


 身元確認で三人は出身と種族を聞かれた。


「素直に分からないと答えたよ。生まれも種族も分からないしね。出身はワドファーって答えたけど」


 三人が緊張感なく話していると、一人の兵が急ぎ留置所内へ入って来てルイン達の拘束を解いて、外へ出る様に促す。


「おいお前達!解放だ、早く外へ出ろ!」

「は?」

「どういう事?」


 三人は突然の事で頭にハテナを浮かべる。だが入って来た兵も困惑しながら答えた。


「俺だって知るか!だが領主の命令だ!付いて来い!」

「ここの領主というと……」


 ルインは青みがかったセミロングの控えめな言動だった女性を思い浮かべる。


「なんだ君達はここの領主と知り合いだったのか?」

「いや、そんなはずは……」


 鬼人の疑問に戸惑っていると兵の怒鳴り声が飛んでくる。


「良いからお前ら早く出ろ!領主が呼んでるんだよ!」

「お、おぉ……」


 三人は早々に留置所から出て、領主の命を受けた兵に付いて行った。

 連れて行かれた先は兵舎の賓客をもてなす様な煌びやかな部屋で、中央には先程ルインと魔女が思い浮かべた白衣姿の女性が座っていた。

 女性はルイン達が来ると立ち上がり、頭を下げ礼儀正しく挨拶する。


「この度は大変ご無礼をいたしました。私はこの都の領主を務めているエルハイナと申します」


 その態度にルイン達は驚いた。

 周りにいた兵達も驚き、その行為を止めようとする。


「エルハイナ様!亜人に頭を下げるなど……!」


 しかし、エルハイナは厳しい態度で兵達を叱る。


「黙りなさい!最早、力は彼の方が上。彼が本気を出せば東の都は他の都の二の舞になります。そうですよね、魔王ルイン?」


 魔王の名を聞いた人間の兵達は青ざめ、それ以上口を開く事は無かった。

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