表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶滅記  作者: banbe
57/95

北の山8

 その日の夜、ルインと魔女は森で客として扱われ、それぞれ、エルフから学術を教える為の一室を与えられる。

 部屋でゆっくり休んでいたルインの元にエルフが訪ねて来た。


「どうだ、我が城は」

「部屋が広すぎて少し落ち着かないよ。でも、ここから北の都が見えるんだね」

「人間の国で何かあればすぐ分かるようになっている。あの巨大な竜巻が都に出現した時はかなり驚いたよ」

「それは俺もだ……それで用件は?」

「協力するにあたって、私は直接ワドファーに向かおうと思ってね。その許可と、出来れば先方に話を付けてくれると助かる」

「……協力を頼んだのはこっちだからそれは構わないけど……この森は空けて良いの?」

「今の人間の敵は、魔王が治めるワドファー軍だ。こんなに戦力を減らされた今、他の亜人を相手にしている余裕はないだろう。では邪魔したな」

「待って」


 エルフは用件を終え部屋から出て行こうとするが、ルインは呼び止める。


「なにか?」


 振り向かずエルフは答えた。


「なぜ協力を渋ってたの?」

「……私は君の力を見くびっていたんだ。まさか真正面から戦ってディムに勝つとは」


 エルフはそう言って、部屋にあった椅子に座り語り始める。


「なら本当は協力する気はなかったんだ?」

「そうだな、朝も言った通りディムが兄弟である俺と、国との間でどう動くかを見る為に君を送った。だが結果的に君はディムを倒してしまい、この森にはもう後ろ盾がなくなった。故に君達に協力せざるを得なくなった」

「……家族の死のきっかけを作った俺を恨まないの?」

「君はあくまで自分がやったと言わないんだな」

「俺は自分が天災までも操れるだなんて思っちゃいないさ」

「不毛の森の戦いが起こる前、俺達兄弟は一度話し合っていた。そして、戦力差からオノの伝手で君が来るのは分かっていて、その頃から覚悟はしてた。まあ、心残りは、とどめを刺す役を君に取られた事かな」

「じゃあ俺、というかワドファーに協力することに遺恨は無いんだね?」

「なんだ、魔王ともあろう者がずいぶん気にするじゃないか」

「当たり前だ、これから更にワドファーを離れるんだ。わだかまりがある状態はトラブルの元になる」

「へぇ、君のその慎重な所は好感を持てる。では次の行動は決まったのか」

「ああ俺はこれから東に向かう」



 翌日、ルインは東へ向かう事を関係者に伝えた。


「このままワドファーには戻らない訳ね」

『分かりました。先生の来訪も含め、国の者には俺が伝えておきます』


 その事は、魔女の通信機を介しワドファーにも伝わった。


「不毛の森はまだ人間の兵が居るだろうから通れない。大きく迂回して遠回りする為、私は今日にでも出立する。だが、君達はゆっくり休んでから発っても構わない」

「随分急だね」

「君のように優秀な馬を持ってる訳じゃないのでね」

「なら俺も今日出ようかなぁ……」


 ルインはエルフの出立に合わせ、東に向かう事にした。

 出立の準備が完了し、日が真上に昇った頃各々は北の森を出る。

 そして、ルインと魔女、エルフと護衛の為の少数の獣人は、西と東の分かれ道まで来る。


「その道をまっすぐ行けば……まあそのうち東の都には着くだろう」

「大ざっぱだなぁ、ワドファーの皆によろしく」

「ああ、ではさらば」


 エルフと護衛は馬で道を駆けて行った。そして残される二人。


「チウィーさんは戻らなくてよかったの?」

「ワドファーに戻っても戦力として軍に組み込まれるかもしれないし、しばらくはあなたと旅を続けるわ。それに、私が居なかったら魔力通信にも制限ができるでしょ?」

「そうだね、一緒に居てくれると心強いよ」


 こうしてルインと魔女も東を目指し歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ