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絶滅記  作者: banbe
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森の戦闘4

 ルインには、人間がどのタイミングで西の都に報告をしたかは分からなかった。だが人間の国にはまだ十分な戦力が残っている。

 作戦中、一時的に姿を隠したが、堂々と戦場で名乗り出たのは事実。魔王という障害がワドファーに居ない事を知られた今、人間達は確実に侵攻してくる。ルインが向かう三日間、人間達をどれだけ抑えられるかは時間との戦いだった。


 ルインは、街道への道を馬で駆け続ける。自身と馬に魔法石の回復魔法を使い、疲労と眠気を消しながら強行した。そして三日後、日が沈み切った頃に西の都へ続く道にたどり着く。

 軍師から貰っていた地図とコンパスを確認すると、どうやらルインが出た道は亜人と人間が共生していた村より少し人間の国に近い地点だった。


「はぁはぁ……ここから西に行けばあの村か……ごめんよ、もう少し付き合ってくれ」


 ルインは馬に魔法石を使い撫でながら出発する。

 月夜の下、しばらく馬を西へ走らせると、道の途中、灯りが見えた。

 ルインは念の為変装しながら灯りに近づく。そこに居たのは武装した人間の兵だった。


「お前!何者だ!」

「ッチ!」


 ここは以前、人間達が亜人と人間が共生していた村を襲う為、建てた基地だった。

 村での戦いの後、ワドファー軍は村とこの基地、そして街道を人間達から奪還し、守りの部隊を置いていた。


「ここに人間の兵が戻っているという事は……」


 ルインは基地の中に突っ込む。

 複数の人間の兵に後を追われたが無視して基地の中を見渡すと、基地の隅にワドファーの鎧を着た兵士の死体が積まれているのを発見した。


「ならもうすでに村は……」


 基地の中を少しかく乱した後ルインは村の中に入るが、やはり村も人間達に占拠されており家屋など至る所に戦いの後が見られた。


「人間はこの数日でどれだけ侵攻したんだ……」


 ルインは村の中もかく乱した後、仲間を見つける為、西へと急いだ。



 村を越えさらに西、以前ワドファーが作った陣を更に超えた地点ではまだ戦いが続いており、両軍数は少なくまさに撤退と追撃の最中だった。


「もう!暗いんだからさっさと諦めて引きなさいよ!」

「南の森の魔女だな!お前も討伐命令と賞金が出ている!」

「あんたも冒険者ね!」


 戦闘の最前線、そこには魔女の姿もあった。


「フリーズ!」


 都の兵の姿をした冒険者が魔女に剣で斬りかかる。だが、魔女は魔法で動きを鈍らせ、攻撃を躱したが、次に向かってきた冒険者には苦戦した。


「魔封じの剣……!?」


 冒険者が持っている剣の刀身には呪文のようなものが書かれていた。


「西の都の技術なら魔女くらい……!」

「魔女さん避けてください!」


 ワドファーの兵が後で叫ぶと魔女は宙に浮かぶ。すると三人のワドファー兵が長い槍を持って冒険者に突撃、冒険者は一つの槍を払い除けるが二つの槍で胴体を貫かれ、絶命した。


「キリがない……ここもそろそろ引き時かしら」

「ですがここを引いたらもうしばらく人間を止められるような場所は……」

「仕方ないじゃない、もうこっちは十人も残ってないのよ」


 魔女の言う通り、ここを守っているワドファーの兵の数は十にも満たなかった。


「私はここで命を賭ける気はないわ!大きい魔法を撃つ、その隙に撤退するわよ」


 ワドファーの兵達は納得がいってないようで、魔女と目を合わせようとはしなかった。


「……残りたきゃ勝手にしなさい」


 魔女は杖を構える。しかし、ある距離から冒険者達が近づいて来ない事に気づく。


「攻撃が止んだ?」


 冒険者達の方を見ると、皆こちらに背を向け後方で問題が起こった様だった。

 魔女は目を凝らし人間達の方を見る。


「内輪揉め?」


 だが、よく見ると混乱の中心には、見慣れた黒い馬の姿があった。


「いや、あれはルインの黒馬!」


 魔女からその名を聞いたワドファー兵達は皆喜ぶ。

 ルインも冒険者達の先にワドファー軍がいることに気づき、合流しようと冒険者達の中を突っ切ろうとする。


「なんだお前は!」

「こいつ亜人なのに、後ろから現れたぞ。やってしまえ!」


 冒険者達は自分達が通って来た方角から突然現れた、怪しい亜人に攻撃を仕掛けた。

 しかし攻撃は届かず、しかも周囲の仲間が次々と倒れて行く事に冒険者は困惑する。


「おい何だこいつ!攻撃が効かないっ……うわ!」

「ダメだ、俺達じゃ止められない!」


 ルインの突入は並みの冒険者達では止まらず、人間達の中で混乱が広がり出す。


「逃がすか!」


 だが既に背後から近付いていたワドファー軍に不意を突かれ、槍で突かれた冒険者達は倒れた。

 もともと追撃していた冒険者達は少数だった。そこにルインが登場し、戦況は一気に覆った。

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