プロローグ
とある村落、幾つもの死体が転がるその傍らで、木や藁でできた家々が炎を上げていた。
村落の至る所に転がる死体は人間のものではなく、肌は灰、髪は青、目は紫。
そして、その状況を作ったのは、上等な剣や槍、大きな盾と鎧を持つ人間の軍隊だった。
彼らは村落の近くに陣を張り、村落からは次々と断末魔が聞こえた。
「おい、まだか」
「あとは南西方面だけです」
人ならざる者達を襲う軍隊の陣。大柄でひときわ立派な鎧を身に着けた男は、仮設基地のテントの中で膝で頬杖をつき、ふんぞり返りながら周りの部下に吐き捨てる。
「全く……こんな小さい村落なら俺が出る事もなかったろうに!」
「ですが王都からの命令ですので……」
「分かってる!だがもう終わる。撤退準備だ!俺は一足先に戻るからな」
「はい。全軍に伝えろ、撤退準備だ」
鎧の男は部下に命じ、テントから出ると馬に乗って数人の部下を連れて去って行った。
村落の南西――。
まだ火が回っていない小屋では、黒い翼が生えている痩せこけた老人と、赤子の二人が生き残っていた。
赤子も村落に転がる死体と同じような外見で、この場で老人だけが異なっていた。
そして小屋の中では、布に包まれた赤子が地面に描かれた何重にも重なる複雑な陣の真ん中で寝かされ、老人は小さな声で何かを唱えていた。
「ヒッヒッヒ……対価は我々の命全て。それでも足りぬなら何でも持っていけ!だが奴等を!」
老人の言葉が終わると、陣の中心に居る赤子から光が天に放たれた。
その光景は近くにいた兵も目撃し、異変に気づいた。
「なんだあれは、生き残りか?ついて来い」
「はい」
二人の兵は、光が昇った小屋へ急ぎ向かう。
兵の一人が勢いよく扉を開けると、扉の前で老人が膝まずいて背を向けていた。
「老人と……赤子だけか」
小屋の真ん中に寝ている赤子の床、陣は消えていた。
扉を開けた兵は老人に剣を向ける。
「隊長!もう生存者は居ないそうです」
老人に剣を向けていた兵と、外で警戒する兵の小屋にもう一人の兵が走ってきて報告する。
「この周辺で終わりだからな、となるともうこの老人と赤子が最後だ」
「わっまだいたのか」
報告した兵は扉を覗き込み老人の姿を確認する。
「という訳だご老人、あんたで最後みたいだな。さっきの光はなんだ?」
「……貴様等は必ず恐ろしい目に遭う!」
そう言った後、老人は振り返り剣を向ける兵に詰め寄りながら言う。
「後悔する間も無く理由すら分からず絶望に落ちるだろう!」
老人は狂気じみた言葉を吐くが、剣を向ける兵は微動だにしない。
「これはきっかけに過ぎない、全てはお前達が始めた事だ。さあ、やるがいい」
老人の言葉を聞くと兵は老人の口に剣を刺す。
「ごがぁ……」
そして剣を振り上げると、老人の頭は剣で斬られる。そして、支えを失った老人は倒れ、血溜りができる。
老人が倒れた瞬間赤子が泣き出した。
「ふぅ……これで任務完了だ」
兵は赤子を一目見て小屋から出ようとするが、脇に居たもう一人の兵が止める。
「ですがあの赤ん坊は……」
「ここは全部燃やすんだ……赤子が脱出するなんて無理だろう。それともお前達のどちらかが止めを刺すか?」
隊長と呼ばれる兵は、その場にいる二人の兵に聞く。
「いえ……自分、この前妻と子供が産まれたばかりなので赤子を手にかけるのはちょっと……」
「自分はもうこんな虐殺嫌ですよ……」
二人の兵は隊長の言葉にあからさまに拒否した。
「だったらこれで終わりだ。わざわざ手にかける必要はないだろう」
「そ、そうですね……」
「ならここも火をつけ戻るぞ」
「はい」
三人の兵は周囲の建物に火をつけた後、赤子の泣き声を背に、燃える小屋を後にする。
しばらくし炎は広がり、今にも焼け落ちそうな小屋に一頭の大きな狼が近づく。
その狼は泣く赤子が居る小屋に入り、赤子を包む布を咥えそのまま村落の外へ消えて行った。
それから数日後。
耳の尖った小さな老婆は林へ木の実を取りに来ていた。
「ふう、こんなところかしら。森の精霊よこのお恵みに感謝いたします」
老婆が祈った後、帰ろうと振り返ると老婆の背丈と同じくらいの狼が居た。
「ひっ狼!?こんな道の近くで……?」
しかし狼は老婆を襲うそぶりは見せず、そればかりか赤子がくるまれた布を咥えていた。
「赤ん坊?」
狼は老婆の目をしばらくじっと見ると、咥えていた赤子を離しその場に置き去って行った。
「あっ……」
残された老婆は茫然としていた。
「なんだったの?それにこの子は……」
文を書くのも投稿するのも初心者で非常に緊張しています。
至らぬ点は多々ありますが、よろしければ私の頭の中にある世界を覗いて見てくれるとうれしいです。
※この作品はAIの力を借りて誤字脱字のチェックや表現調整をしていますが、物語・設定・キャラクターはすべて作者自身の創作です。




