08 友達
私が戸惑っていると、キラメキは首を傾げた。
「おや? なかなか変身しませんね。ならば、こちらからいきますよ!」
キラメキはそう言うと、持っていた黒い球を飲みこんだ。すると、黒い光がキラメキを包みこむ。
「ああぁぁー!」
キラメキの叫びとともに現れたのは黒い巨人だった。うっすらとキラメキの面影もある。
「な、何よこれ……は、早く逃げないと!」
私が慌てて走り出すと、巨大な手がせまってきた。そして逃げきれずに捕まってしまう。
「きゃぁっ!」
「捕まえましたよ。さぁ、マジカルコードを渡しなさい……」
「くっ……! 誰が渡すもんですか!」
「ならば、あなたを始末してからもらうことにしましょう……」
キラメキはそう言うと、手に力をこめる。私は苦しくなり意識が飛びそうになる。
「くっ……」
「どうしました? ほら、早く変身しないとつぶされてしまいますよ?」
わかってる、そんなのわかっているのになぜ変身出来ないの?
私が涙を浮かべていると、遠くから声が聞こえた。
「私のお友達に何をしているのですかーっ!」
「ぐはっ」
やってきたまひろちゃんに殴られて、キラメキがよろけると手の力が抜けて私は下に落ちた。
しかし、まひろちゃんがキャッチしてくれたので怪我をせずに済んだ。
「かなたさん、大丈夫ですか?」
「まひろちゃん、どうしよう……私、変身出来なくなっちゃった……」
「えっ」
「私がまひろちゃんだけで魔法少女やればいいなんて言ったから……」
私が震えていると、まひろちゃんがそっと抱きしめてくれた。
「大丈夫ですよ、かなたさん。私は気にしていませんから」
「でも……」
「私の方こそごめんなさい。かなたさんの気持ちを考えてなくて、自分の気持ちばかり押しつけてました」
まひろちゃんはゆっくりと話し出す。私は静かにそれを聞いていた。
「私はかなたさんがいたから、魔法少女になれたんです。だから、自分を責めないで。また私と一緒に戦ってくれませんか?」
私が黙っていると、まひろちゃんの後ろからアルが顔を覗かせた。
「かなた、君はどうしたいんだい?」
「私は……」
私はマジカルコードを強く握りしめた。
「私はもう一度、まひろちゃんと一緒に戦いたい!」
すると、私がはめていたマジカルコードが光りだした。
「この光は、まさか!」
「マジカルコードが、かなたの思いに応えたんだよ。さぁ、変身だ!」
「うん!」
そして私はマジカルコードを強く握りしめた。まばゆい光が私を包みこむ。
光が消えると、私は魔法少女に変身出来ていた。
「よかった……変身出来た……」
「よかったです! かなたさん」
「ぐぅぅ……魔法少女が2人になったところで、私に勝てる訳がありません……」
キラメキだった巨人は起き上がると、黒い炎の球を放ってきた。
「行こう、まひろちゃん!」
「はい!」
私たちは一気に駆け出し、炎の球を避けていった。
「はあぁっ!」
2人で放った拳で巨人は少し後ずさった。
「くっ……この前とは違う!」
それから私は拳を、まひろちゃんは足技を繰り出して戦った。最後の一撃が当たって巨人は悲鳴を上げた。
「ぐあぁぁっ!」
「逃がしません! ミラクルチェーン!」
まひろちゃんは、黄色い光の帯を巨人に巻き付かせ、大きく振り回し空へと投げ飛ばした。
「かなたさん、今です!」
まひろちゃんに言われて私は空にステッキを向ける。
「や、やめろ!」
「さっきはよくもやってくれたわね。私だってやる時はやるんだから! ライトシャワー全力放射!」
「ぎゃああぁぁー!」
私の全力の技を受けた巨人は、悲鳴を上げて光の中に飲みこまれていった。
光が消えるとキラメキの姿はか細くなっていた。
「こ……この私が負けるとは……」
キラメキは空を見上げた。そして私たちを見る。
「これで終わったと思わないことですね。まだ他の奴らもやってきますから覚悟しておきなさい……」
キラメキはそう言うと、光になって消えていった。
「や、やったー……倒せたよ」
「でも、あんなのがまたやってくるのですね」
「そうだった! 確かそんなこと言ってたよ、あいつ」
「でも、かなたさんが変身出来てよかったです」
「あ、えっと……ありがとう。でも、学校では酷い事言ってごめんなさい」
「私の方こそ、かなたさんの気持ちを無視してごめんなさい」
2人して頭を下げたので、私が顔を上げるとまひろちゃんも顔を上げた。目が合ってお互い笑い出した。
「じゃぁ、お互い様ってことで」
「そうですね。じゃぁ、今度こそよろしくお願いします、かなたさん!」
「こちらこそ、よろしくね! まひろちゃん」
それから私たちは変身を解いて手をつないで帰った。
朝の公園まで来て私が手を離そうとすると、まひろちゃんは手を握ったままだった。
「どうしたの? まひろちゃん」
「あ、あの……あの時はとっさに言ってしまいましたが、かなたさん! 私と友達になってくれませんか!」
私がぽかんとしていると、まひろちゃんは顔を赤くした。
「やっぱりだめですよね! 私の気持ちばかり押しつけてしまうなんて……」
まひろちゃんは顔に手をやった。私は少し微笑んで、まひろちゃんに近づき手を顔から離させた。
「何言ってるの、まひろちゃん。私たちもう友達だよ」
「かなたさん!」
まひろちゃんが喜んで思いきり抱きついてきたので、私は後ろに倒れそうになった。
「やれやれ。世話の焼ける子たちだね」
アルが遠くでくつろぎながら私たちを見ていた。




