07 すれ違い
私たちはキラメキと戦った後、またランニングを始めて最初にいた公園に戻ってきた。
「ふー。なんとか終わったー……」
「お疲れ様です、かなたさん。では、これから毎日続けていきましょうね」
「えっ! これから毎日?!」
「そうですよ。私も一緒に頑張りますから! ね?」
「そ、そんなー……」
私はがっくりして余計疲れが出た。まひろちゃんを見れば、涼しい顔をしていた。そして、公園の時計を確認する。
「そろそろ学校に行く時間になりますので、ここで解散しましょう。では、また学校で」
まひろちゃんはそれだけ言うと、また走って行ってしまった。
「これじゃ身が持たないよ」
「まひろに比べて、かなたは体力がないね」
「まぁ、体育の時間は嫌いだったなー」
私はため息をつきながら家に帰った。そして、身支度を整えて朝食を食べてまた家を出た。
学校に着くと、クラスの皆がなんだか騒がしかった。
「おはよう。今日はなんか騒がしいね」
「おはよう、かなた。今日はこのクラスに1人生徒が増えるんだって」
私は嫌な予感がした。少ししてチャイムが鳴ったので、皆席に着いた。
教室のドアが開き先生が入ってきた。そして、その後ろにいる生徒を見て私は納得する。
「えー、今日から皆と一緒に学ぶ生徒を紹介する。じゃぁ、自己紹介して」
「はい。皆さんはじめまして。早乙女 まひろと申します。よろしくお願いします」
皆が拍手をすると、先生が私の隣を指さす。
「じゃぁ、姫野の隣が空いているから、そこに座ってくれ」
「わかりました」
そしてまひろちゃんは私の方に歩いてくる。私に気づくと微笑んだ。
まひろちゃんは席に着くと、私に話しかけた。
「きょうからよろしくお願いしますね、かなたさん!」
「よ、よろしく」
「では、授業を始めるぞ」
それからのまひろちゃんはすごかった。授業中は手を上げて進んで解答していたし、体育では、走るのも速く、バスケも皆まひろちゃんに追いつけず何回もシュートを決めていた。
「早乙女さん、すごいね!」
「身体能力高すぎでしょ!」
「そうだねー……」
まひろちゃんのすごさに皆驚いていたけど、私はなんだかモヤモヤしていた。
なぜだろう。同じ仲間が注目されているのにあまりうれしくなかった。
そして放課後、私たちはあの小屋に向かった。
「今日のまひろちゃん、すごかったね」
「そうでしょうか。小さい頃母に鍛えられましたので」
「へぇー」
私たちが小屋に着くと、アルがもう先に待っていた。
「やぁ、お疲れ様。まひろ、学校はどうだい?」
「すごく楽しい所ですよ。かなたさんとも同じクラスになれましたし」
「それにしては、かなたは浮かない顔だね」
アルに言われて私は驚く。そんな顔してたのか。まひろちゃんも心配そうに私を見ていた。
「かなたさん、どうかしましたか?」
「どうもしないよ! さぁ、早く中に入ろう!」
私がごまかすように急いで中に入ろうとすると、まひろちゃんに手を掴まれた。
「だめですよ。何か悩み事があるなら私に話して下さい」
「な、悩みなんてないよ」
「なら、なぜ私を見ないんですか?」
私は、まひろちゃんに背を向けたままだった。まひろちゃんは手に力をこめる。
「私たちは同じ魔法少女なのですから、隠し事は無しですよ」
「なんでまひろちゃんが全部決めるのよ!」
私は、まひろちゃんの手を振り払った。そしてまひろちゃんの方を向く。
「かなたさん?」
「まひろちゃんはすごいよ。今日もすぐ皆の人気者だし、魔法少女だってちゃんと戦えてたし……」
「かなたさん、それは違いますよ」
「何が違うって言うの?! 何もかもが違うじゃない! 魔法少女はあなただけでやればいいじゃん!」
私は言いたいことを言ってその場から逃げ出した。
まひろちゃんは小屋の中で落ちこんでいた。すると、アルが机の上に飛び乗る。
「まひろ、かなたは何に怒っていたんだい?」
「わかりません……でも、私が何か傷つけることをしたのでしょう」
「まひろは、かなたのためにやっていたんだろう?」
「えぇ。でも、それが、かなたさんを追いつめたのかもしれません」
「かなたを追いかけよう。ちゃんと話したらわかってくれるんじゃないかな」
「でも私が行ったら、またかなたさんは怒るかもしれません……」
「それでもかなたを思うなら、追いかけるべきだ。君たちは仲間なんだろう?」
「……そうですね。アルちゃんの言う通りです。かなたさんともう一度話してみます!」
まひろちゃんは急いで小屋を出た。アルもまひろちゃんに続く。
私はどこにも寄らずにただただ走っていた。走るのは嫌いじゃないけど、今は走っていないとモヤモヤが消えてくれない。
「私、なんてこと言っちゃったんだろう……もう、まひろちゃんに会えない……」
私は今日走っていた土手を走っていると、小石につまずいて大胆に転んだ。
「きゃぁっ!」
「あらあら。なんとも無様ですね」
私は転んだところを見られて恥ずかしくなり、声のする方を見るとキラメキが宙に浮かんでいた。
「き、キラメキ……なんでいつもタイミングが悪いのよ!」
「そんなの知りませんよ。おや? 今日は1人なのですか? もう1人はどうしたのです」
「あ、あんたには関係ないでしょ!」
「関係大アリです。これを使って魔法少女を倒せたのに、つまらない」
「それはあなたの都合でしょ! 私1人で大丈夫なんだから!」
私はマジカルコードを握りしめた。しかし、魔法少女にはなれなかった。
「ど、どうして?!」




