25 私たちの後日談
ササヤキの体はどんどん消えかかっていた。
「ササヤキさん、しっかりして! お願い、消えないで!」
まこちゃんは必死にササヤキに呼びかけた。ササヤキはうっすらと目を開ける。
「まこ……君に会えてよかったよ……」
「そんな……もう会えないみたいな言い方しないで!」
まこちゃんはササヤキに抱き着いた。
どうしよう……このままじゃ、ササヤキが消えちゃう。誰か、助けて!
「それなら、僕に任せて」
「え? アル?」
なんで、アルの声が頭の中に響くの?
私が周りを見渡してもアルの姿はなかった。
「気のせい……?」
「気のせいじゃないよ」
すると、空から光の玉がこちらに向かってきた。それは音を立てて2つに分かれ、1つはササヤキの中に入っていった。
「うっ……あれ、苦しくない?」
よく見ると、ササヤキの顔色が良くなっていた。体も元通りである。
「よかった、ササヤキさん!」
まこちゃんはうれしさのあまり、ササヤキを強く抱きしめた。
「まこ、苦しいよ」
「ご、ごめんなさい! でも、本当によかった」
「よかったね、まこちゃん」
私がほっとしていると、もう1つの光の玉が私に向かって飛んできた。
「な、なんでこっちに来るのよ!」
私は避けようとしたが間に合わず、光の玉と激突した。
すごい音が響き渡ったので、皆驚いていた。
「いったーい! なんでこうなるのよ!」
「やぁ、かなた。さっきぶりだね」
光の玉は消え、代わりに白猫が現れた。しかも、しゃべってるし。
「なんで、私を知ってるの?」
「何を言っているのさ。僕だよ、アルだよ」
「えーっ!?」
そこにいる全員が驚いた。だって、アルは黒猫で、さっきジャークと一緒に消えたんじゃ……
私が口をパクパクさせていると、アルが首を傾げる。
「おかしいな。もっと喜んでくれると思ったんだけどな」
「アルちゃん、かなたさんはうれしさよりも驚きの方が上回ったようですよ」
「あー、それで金魚みたいな顔をしているのか」
「な、なんですってーっ!」
なんて失礼な奴! あんなに心配してたのに、私の涙を返せー!
「なんだい、かなた。僕はこっちだよ」
「こら、待ちなさい! 絶対許さないんだから!」
私が捕まえようとすると、アルがひょいっと避ける。
それを何回か繰りかえすうちに、私は体力が無くなってきた。
皆は私たちを見て、全員笑いだした。笑ってないで助けてよ。
「それより、よく戻ってこれたね、アル」
「うん。マジカルコードが守ってくれたんだよ」
アルはしっぽをくるりと回してマジカルコードを出した。
「これは、もう力が無いから各自アクセサリーとして持ってても構わないよ」
「え、本当? やったー!」
私は喜んでマジカルコードを手首にはめた。
すると、あかりさんがコホンと咳ばらいをした。
「でも、学校にはしてきたらだめよ。校則違反だからね」
「は、はーい」
ですよねー。私は苦笑いを浮かべたが、ふと気づいてアルの方を見る。
「でも、また会えてよかった。おかえり、アル」
「ただいま、かなた」
私たちが微笑んでいると、まひろちゃんが手を叩いた。
「じゃぁ、皆揃ったところで記念写真撮りませんか?」
「いいね、撮ろう撮ろう!」
それから私たちは見晴らしのいい所を探した。
あ、神社で眠っていた人たちは、すぐに目覚めて何事もなかったように帰っていったよ。
そして、いい所が見つかったので、スマホを階段の手すりに置いた。
「じゃぁ、皆さん笑って下さい!」
まひろちゃんがタイマーをセットして、こちらに合流した。そして、パシャッと音を立てて写真が撮れた。
あれから私たちの日常は平和なものだった。
マジカルクラブはお茶会みたいなものになり、あかりさんとまこちゃん以外の3人がよく食べていた。
つばさちゃんは、あかりさんに勉強を教えてもらっていた。しかし、集中力がなくなり、よく怒られているのを見た事がある。
まこちゃんはよくササヤキと出かけていた。ササヤキもよく笑うようになり、まこちゃんはそれがうれしいみたいだった。
2人ともとても幸せみたいで安心した。
アルの事は大変だった。そもそも色が違うからどうしよう。
「お母さん、アルだよ」
「あら、汚れが取れてきれいになったのね」
「え?」
お母さんはそれ以上何も言わなかった。助かったけど、ちょっと怖いな。
「とても理解のある母君だね」
アル、なにのんきな事を言ってるのよ。私はため息をついた。
そんな私はというと、まひろちゃんといつものランニングをしているところだ。
「はぁ、はぁ、まだ走るの?」
「もう少しで30分ですよ。頑張って!」
「えー……」
相変わらずまひろちゃんはすごいな。私も頑張らなきゃ。
私は魔法少女になって、アルに出会って、仲間が出来て、少し前向きになれた気がした。
本当、そんな気がしたんだよね。
「やったー! 走り切ったー!」
「すごいです、かなたさん。やる気に満ちてますね」
「うん! 今ならなんでも出来そうなくらいだよ」
「なら、今度は勉強を頑張りましょうか」
「今のはなかった事にして下さい」
「だめですよー」
ふと、私は持っていたスマホを見た。その待ち受けはあの時皆で撮った笑顔の写真が写っていた。
「かなたさーん、行きますよー!」
「あ、待ってまひろちゃん!」
そして私はスマホをしまい、また走りだす。明るい未来に向かって。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。




