24 別れの時
どこを見渡しても暗い闇の中。かろうじて自分自身の体が見えるぐらいだ。
「ここはどこ? 皆は……」
「ここは闇の中だ。どうだ、さみしいだろ? 怖いだろう?」
私が声のする方を向くと、ジャークがゆっくりとこちらに近づいてくる。
「さぁ、絶望するんだ。お前に勝ち目は無い」
「そんな事ないわ!」
私は歩いてくるジャークを見つめる。
「なぜ、そう言いきれる? お前はひとりぼっちじゃないか。そんなお前に何が出来る」
「私は1人じゃない。近くにいなくても心は通じ合ってる」
「ふんっ。くだらんな」
ジャークは鼻で笑った。それでも私は続ける。
「私は今日がとても楽しかった。皆で遊んだり、食事をしたり、買い物をして笑いあったり」
私は手を握りしめる。とても力強く。
「こんな日がずっと続くように私は願った。それは今も変わらない。私たちは負けない! あなたに勝って未来を取り戻すんだ!」
すると、私の体やその周りが輝きだした。
「な、なんだこの光は!」
ジャークは光に驚き、少し後ずさった。私が後ろを振り向くと、4つの光が見えた。
「皆、私はここだよ!」
私が叫ぶと、まひろちゃんたちの姿が見えた。
「かなたさん! よかった、また会えて」
「とても強い光が見えたから、すぐ駆けつける事ができたの」
「全く、かなたはやる時はやるんだからな」
「本当ですね」
「えへへ……自分でもびっくりだよ」
4人にそれぞれ言われて、私は少し照れくさかった。
「全員揃ったところで、俺に勝てると思うのか!」
そうだ、まだジャークの闇の方が上だ。
私が悩んでいると、頭の中にアルの声が響いた。
「4人の力をかなたに与えるんだ。そうすれば、新しい力が目覚めるよ」
「わかった。皆、私に力を貸して!」
私の言葉に、4人は顔を見合わせたが、何かを察したのか頷き私の肩に触れた。
「かなたさんに、私たちの力を!」
すると、私の中に皆の力が流れこんできた。これなら、いける!
「ジャーク、覚悟しなさい! エターナルライトシャワー!」
マジカルステッキから放たれた大量の光は、ジャークに向かっていき飲みこもうとしていた。
「そんな光に負けるものか!」
ジャークは黒い電撃でそれを防いでいたが、私たちも負けないように力をこめた。
「はああぁぁー!」
その光はどんどんジャークに近づき、ジャークを飲みこんだ。
「そ、そんなバカなーっ!」
ジャークの叫びが響き渡る。やがて光は消え、暗かった闇も少しはれていった。
「はぁ……はぁ……な、なんとか勝てた……」
私たちは力を使いすぎてへとへとだった。
「ま……まだ終わりではないぞ。俺はまだ立っているのだからな……」
ジャークもフラフラだったが、まだ立っていた。
「うそでしょ? あれだけの攻撃を受けて立っていられるなんて」
私たちはもう戦える力がなかった。途方に暮れていると、ジャークが笑いだした。
「はははっ! そうだ、その目だ。俺が見たかったのは。さぁ、そうして絶望したままこの世界と消えるがいい!」
ジャークは最後の力を使って、黒い巨人へと変わっていった。
「あ、あんなのと一体どうやって戦えばいいの……?」
「それは、僕に任せてほしい」
「あ、アル?!」
いつの間にかアルが私たちの前に来ていた。
「何かいい方法でもあるの?」
「マジカルコードを僕に預けてほしいんだ」
「え? でも、これがなかったら私たち魔法少女になれないんだよ?」
「それでいい。君たちはよくやったよ。後は僕が終わらせる」
「終わらせるって……」
「マジカルコードの真の力を発動させて、ジャークを消滅させるんだ」
「それをやって、アルは大丈夫なの?」
「それは保証出来ないね」
「そんなのやだよ!」
私はアルを抱きしめた。また強く抱きしめてしまったので、アルが苦しそうに身をよじった。
「かなた、苦しいよ。仕方ない事さ。君たちを巻きこんでしまった僕にも責任がある」
「だからって、アルがやらなくてもいいじゃない!」
「僕じゃないとだめなんだ。さぁ、ワガママ言ってないで離してくれないかい?」
私の肩にまひろちゃんが手を置いて促した。
「ありがとう。皆に会えて本当に楽しかったよ」
アルがしっぽをくるりと回すと、マジカルコードが離れてアルの所に集まっていった。
「マジカルコードよ、その力をもって邪悪な闇を滅せよ!」
すると、マジカルコードが光りだし、巨大な光の玉になってアルを包みこんだ。
「アル……」
「じゃぁね、かなた。そして、皆。今までありがとう。さよなら」
アルはそう言うと、ジャークに向かっていった。
「俺を消す事など出来るものかー!」
ジャークは光を掴もうとしたが、するりと避けられそのまま巨大な光はジャークにぶつかり飲みこんだ。
「ぎゃああぁぁー!」
「アルーっ!」
そのまま光とともに、ジャークは消えていった。最後に光の柱が現れ、空へとのびていった。
「アル……本当に消えちゃったの?」
「かなたさん……」
私は涙が止まらなかった。私の震える肩をまひろちゃんが抱きしめてくれた。
他の皆も切なそうな顔をしていた。
「うっ……」
「ササヤキさん、どうしたんですか?!」
いきなりササヤキが苦しみだしたので、まこちゃんがとっさに支えた。
「まさか、ジャークが消えた事で体のバランスが崩れているのかも」
「そんな……!」
あかりさんの言葉に、まこちゃんは顔を青ざめた。
「何か方法はないのかよ!」
「マジカルコードも無い私たちでは、出来る事は何もありません……」
そんな……ただ、見てる事しか出来ないの?
私は手を強く握りしめた。




