23 闇の王・ジャーク
「行くよ、皆!」
私たちは勢いよく駆け出した。
「「はあぁっ!」」
まずは、つばさちゃんとまこちゃんが影にパンチを繰り出した。影は消えたがまたすぐに別の影が向かってくる。
「2人とも避けて! ライトシャワー!」
大量の光が影たちを飲みこむ。しかし、消せたのはわずかだった。
「やばい、数が多すぎる! 全部消せない……」
「かなたさん、私に任せて。ミラクルチェーン!」
まひろちゃんが両手に光をまとわせ、黄色い光の帯を出した。帯に捕らわれた影は消えていく。
「ジャーク!」
あかりさんは1人ジャークの所まで行った。
「なんだ、赤の魔法少女。復活出来たのか」
「えぇ。皆のおかげでね。次は負けないわ!」
「面白い。ほら、やってみろよ」
「言ってくれるわね。ファイヤーブレード!」
炎の刃がジャークに向かっていく。しかし、ジャークに当たる前に水の柱ができ、炎の刃は消されてしまった。
「なっ?!」
「何を驚いている?」
目の前にいたジャークは消え、いつの間にかあかりさんの背後に立っていた。
「な、なぜ後ろに? さっきまで前にいたのに!」
あかりさんはすぐに振り返って剣を構えるが、ジャークの方が速かった。
「驚く事はないだろ。これはさっき吸収した奴らの技なんだからな」
そして、ジャークは素早い動きであかりさんに打撃を繰り出してくる。
「くっ……」
あかりさんは技を防ぐ事しか出来ないでいた。そこへつばさちゃんが駆けつける。
「あかりさん、助太刀するぜ! アクアスクリュー!」
つばさちゃんは両手を前に突き出し、水の渦を出した。
「遅い!」
ジャークはすぐに消え、つばさちゃんの背後にまわりこみ、蹴りを入れた。
「うわっ!」
「結城さん!」
あかりさんはすぐにつばさちゃんの所に駆けつけようとしたが、ジャークはそれを許さなかった。
「赤の魔法少女よ、俺を忘れるなよ」
「きゃぁっ!」
黒い電撃があかりさんを襲った。
「あかりさん、つばさちゃん!」
「さぁ、残りは3人だな」
「くっ……」
「2人になんて事を。許しません!」
「ほぅ。許さないならどうするのかな?」
「こうするんです。ウインドネイチャー!」
突然突風が吹き荒れた。その風はジャークに向かっていく。
「ふんっ。そんな風、闇の前では無力だと言うのに」
ジャークが片手で払うと、すぐに風はなくなってしまった。
「そんな……」
「なら、私が動きを止めます。ミラクルチェーン!」
まひろちゃんがまた帯を出したが、それより先にジャークが動いた。
「お前たちの攻撃は、あくびが出るほどに遅いな!」
すぐそばまで来たジャークは、まひろちゃんとまこちゃんを蹴り飛ばした。
「あっ! 2人とも!」
周りを見れば、4人とも倒れていた。立っているのはもう私だけ。
「私がなんとかしなきゃ……」
「おや? お前には何もしないぞ?」
「はぁ?」
何を言っているんだ、この男は。私が呆然としていると、ジャークは嫌な笑みを浮かべた。
「だって、あの中じゃお前が1番弱いからな」
「な、何を……」
私は言い返す事が出来なかった。だって、本当の事だから。
すると、ゆっくりとジャークが私に近づいてくる。
「お前の事は、キラメキたちを通してよく見ていたぞ。お前の心は弱い。すぐに折れてしまう」
ジャークはだんだん近づいてくる。気づけばもう目の前に来ていた。
「お前が魔法少女になれたのは奇跡としか思えんな。お前には最初からそんな資格などないのだから」
ジャークの言葉が頭の中に響いてくる。
「そ、そんな事、わかってるよ……」
私は皆より弱い。そんな事、わかってる。
私は震える唇でなんとか言葉を発した。
「いや、わかっていない。お前の心を折るのはたやすいからな。お前は誰も助けられない」
私は、誰も助けられない。ジャークの言葉が心の中に落ちてくる。
だめだ、耳を貸したらだめなのに……
私の頬に涙が流れた。もう、戦えない……
「あきらめるな、光の魔法少女!」
ジャークに向かって黒い球が飛んできた。それは、目の前で爆発した。
「きゃぁっ!」
「な、なんだこれは!」
爆発した煙はジャークの視界を遮った。
「えっ、この煙は一体……」
「大丈夫かい、かなた」
「アル、ササヤキ!」
さっきの黒い球はササヤキが投げたものだった。
「情けないな、光の魔法少女。ジャーク様の言葉に圧倒されるとは……」
「だ、だって、しょうがないじゃん! 本当の事だもの」
私は爆発の勢いで尻もちをついていた。ササヤキに言われて手を握りしめる。
「それは違うよ、かなた」
「違うって、何が?」
「僕は君に助けられたよ。力になりたいと言ってくれただろう?」
「それは、アルが必要としてくれたから……」
「君には誰かを動かす力があるんだよ。皆だってそうさ」
アルに励まされて、また涙がこぼれそうになった。でも、ぐっとこらえて前を向く。
「ありがとう、アル。私はもう大丈夫だよ」
すると、勢いよく煙が払われた。現れたジャークの目は怒りに満ちていた。
「この裏切り者め……邪魔をするなーっ!」
いきなり突風が吹き荒れ、アルとササヤキは吹き飛ばされた。
「うわぁっ!」
「くっ……」
「アル! ササヤキ!」
「さぁ、お前も闇に屈するがいい!」
すると、ジャークは黒い闇で周りを覆った。もう建物や人の姿も見えない。本当の闇の中だった。




