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16 助けたかった

「うっ……ここは……」

 まこちゃんが部屋を出ている間に、ササヤキが目を覚まして辺りを確認する。

「どこかの部屋なのか? 僕は確か河原に倒れていたはずなのに……」

 ササヤキが体を起こして考えていると、ドアが開いてまこちゃんが入ってくる。

「あっ、目が覚めたんですね、よかった。具合はどうですか?」

「なっ! 魔法少女?!」

 ササヤキは驚いて、すぐにまこちゃんと距離をとった。

「あっ! だめですよ、急に動いちゃ。傷にさわりますよ!」

「うるさい! なんでお前がここにいるんだ」

「だって、ここは私の家ですから」

「は?」

「ほら、立っていないでベッドに座って下さい。包帯を取り替えないと」

 まこちゃんに促されて、ササヤキは警戒しながらベッドに座った。

「なんで敵である僕を助けたんだ? そのままにしておけば、僕は消滅していただろうに」

「そうかもしれないけど、私が助けたかったの。理由はそれじゃだめかしら」

「ふんっ。お人好しな奴め。後悔しても知らないよ?」

「そうですね。でも、あそこで助けなかった方が私は後悔すると思うの」

 まこちゃんは包帯を巻き終わると、一緒に持ってきたおかゆをササヤキに差し出した。

「なんだ、これは?」

「おかゆですよ。一応何かお腹に入れてた方がいいと思って」

「……僕たちに食事は不要だ」

「あら、そうなんですか? どうしよう、せっかく作ったのに……」

「……待て。しょうがないから食べてやる」

 ササヤキはぶっきらぼうに言うと、おかゆをもらって一口食べた。

「……おいしい」

「本当! よかった、体にいいように卵を少し入れてあるの」

「……おかしな魔法少女だな」

「あの、私は魔法少女ですけどちゃんと名前があるんですよ。私は池上 まこです」

「まこ……僕はササヤキだ」

 お互い自己紹介を終えると、まこちゃんはくすりと笑う。

「不思議ですね。さっきまで戦っていたのに、こんな風におしゃべりが出来るなんて」

「……油断するなよ。僕はいつだってお前を倒す事が出来るんだからな」

「わかってます。でも、今は安静にしていて下さいね」

 まこちゃんに言われて、ササヤキはそっぽを向いた。それを見てまこちゃんはまた微笑む。

「あ、そうだ。明日は学校休みますって連絡しないと!」

 まこちゃんは急いでスマホを取り出し、アプリを起動させた。

「えーっと、ちょっと具合が悪いので学校休みます。っと、これでよし!」

 まこちゃんが、メールを打っていると、ササヤキがゆっくりと手を伸ばす。

「あれ? どうかしました?」

「……いや、なんでもない」

 ササヤキは伸ばしていた手をすぐに引っこませた。

「他の奴らに僕の事を知らせなくていいのか?」

「それも考えたんですが、やめておこうと思いまして……」

「やっぱり後ろめたいか?」

「そうではなく、ただ怪我人を会わせたくないだけです」

 まこちゃんはため息をついた。

「だって、あなたの事を言ったら、つばさちゃんが勢いよく乗りこんできそうなんだもの。そんなの嫌です」

 まこちゃんが頬を膨らませると、ササヤキは笑いをこらえるのに必死だった。

「どうかされました?」

「まこ。お前は面白い奴だ。今、自分がピンチなのも知らないで」

 ササヤキの言葉に、まこちゃんは首を傾げた。

「僕がお前を人質にして、魔法少女たちを倒す事だって出来るんだよ」

「あなたは、そんな事しません」

「なぜ、そう言える?」

「だって、私はまだ自由だからです。それに、あなたはしないって信じてる」

「……同情のつもりか」

「勘違いしないで、そんなつもりじゃないの!」

 ササヤキの怒りに、まこちゃんは急いで両手を振った。

「ただ私が信じたいだけです」

 まこちゃんの言葉に、ササヤキはため息をつく。

「……世話になったね。僕はもう行くよ。おかゆ、おいしかった」

「待って! 今日1日はここで休んだらどうですか」

「魔法少女となれ合うなんて、それこそジャーク様への裏切りだ」

「そんな……」

 ササヤキは窓を開けてまこちゃんに振り向く。

「じゃぁね、まこ」

 ササヤキはそれだけ言うと、外に飛び出していってしまった。

 残されたまこちゃんは、食べ終わった食器を見て微笑む。

「きっと、戦わないでいい未来が来ますよね……」

 まこちゃんはそう呟くと、食器を持って部屋を出た。


今回はササヤキとまこの会話が主です。

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