12 生徒会長・あかりとの対話 1
次の日、私、かなたはアルに起こされることもなく、目覚まし時計よりも早く目が覚めました。
「というか、あまり眠れなかった……」
仲間も増えて、緊張感が増したみたいで、あまり眠れませんでした。
「少し早いけど、公園に行ってみようかな」
時計を見れば午前6時半だった。まだ誰も来てないだろうな。
私はそう思いながら、着替えて静かに家を出た。
公園に着くと、アルの声が聞こえた。
「おはよう。君がここに来るなんて珍しいね」
私はドキッとして辺りを見回したが、どうやらアルは私ではなく別の人物に話しかけているようだった。
「あかり、まだ戦う気にはなれないのかい?」
あかりと言われた女の人は、あの赤い髪の生徒会長だった。
「やっぱり生徒会長が魔法少女だったんだ……」
私は声を出さないように茂みに隠れた。1人と1匹は話を続ける。
「アル、前にも言ったけど、私は負けたのよ。マジカルコードも壊れてもう私は戦えないわ」
「それでも君に戦う意思があるのなら、かなたたちを手伝ってほしいんだ」
「あの子たちには荷が重いわ。すぐにやめるように言わないと」
「それじゃぁ、ジャークの好きにさせてしまうよ!」
「アル。あなたの都合であの子たちを巻きこまないでちょうだい。あの子たちには私から厳しく言っておくわ」
あかりさんはそう言うとアルに背を向けた。
「ちょっと待ったーっ!」
気づいたら私は茂みから飛び出していた。アルとあかりさんは驚いている。
「あ、えーっと……」
「あなたは確かあの小屋にいた生徒よね?」
「あ、はい、そうです。あの、あかりさん! 私はアルの力になりたくて魔法少女になったんです」
「だとしても、あなたが戦う必要はあるの?」
「そ、それは……」
「危ないことはやめて、普通の生活に戻りなさい」
あかりさんはそれだけ言って公園を出て行ってしまった。私は何も言えずに立ち尽くしていた。
「アル、ごめんね。私何も言えなくて……」
「構わないよ。僕は気にしていないから」
「でも、あかりさんも魔法少女だったんだね」
「彼女は最初の魔法少女さ。でも、ジャークに負けてしまった。それが彼女の心に傷を作ってしまったみたいだ」
「あかりさんにも、一緒に戦ってもらいたかったんだけど」
「今の彼女に、その気はないみたいだよ」
「うん。話を聞いてたけど、そうみたいだね」
「やっぱり盗み聞きしてたようだね」
アルにそう言われて私はハッとした。まさかアルにはめられるとは。
「まったく、珍しく早起きをしたと思ったら、そんなことをしてたのかい?」
「ち、違うよ! たまたま聞こえただけだもん!」
「何がたまたまなんですか?」
声のする方を向くと、まひろちゃんたちが公園に着いていた。
そして、私は今までの事をまひろちゃんたちに話した。
「そうですか、生徒会長が……」
「その人も変身出来たらいいんですが……」
「でも、生徒会長はあたしたちをやめさせるつもりなんだろ?」
「うん。本人はそのつもりらしいよ」
私の言葉に、つばさちゃんは拳を手で叩いた。
「勝手すぎるぜ。生徒会長に頼らなくても、あたしたちだけでなんとかなるよな!」
「でもつばさちゃん、敵がどんどん出てきたら私たちだけで戦うのは難しいですよ?」
まこちゃんが不安になるのもわかる。私たちは戦いに慣れていない。強い敵が現れたらどうしよう。
私が俯いていると、まひろちゃんが手を握ってくれた。
「大丈夫です! だから今からトレーニングするんですよ」
「トレーニング?」
「そうです。まずはランニングからですよ!」
「おっしゃー! 気合が入るぜ!」
「あまり飛ばし過ぎはだめですよ?」
「走るの苦手だなー……」
「それでは、参りましょう!」
それから私たちは、土手を長く走り、公園に戻って攻撃のかわし方や、フォーメーションを考えたりした。
「あら、もうこんな時間ですね」
「はぁー……疲れたー……」
その場にへたりこんだのは私だけで、つばさちゃんとまこちゃんは平気そうだった。
「つばさちゃんはともかく、まこちゃんは大丈夫そうだね」
「そういうかなたちゃんは、体力無いですよ?」
「これでもまひろちゃんに鍛えられたんだけどなー……」
「かなたはもう少し体力つけようぜ」
「はーい」
「君たち、話してるのはいいけど、学校はいいのかい?」
「はっ! そうでした。では皆さん、また学校で!」
「あたしたちも行こうぜ」
まひろちゃんとつばさちゃんに置いていかれないように、私とまこちゃんも急いで追いかけた。
私は走って家に戻り、準備をしてから学校に向かった。学校では、朝から居眠りをしてしまった。
「こら、姫野! 寝るんじゃない!」
「は、はい! すみません……」
慌てて立ったので、皆から笑われてしまった。隣のまひろちゃんは気まずそうだった。
そして昼休み。私たち4人はあの小屋の近くでお弁当を食べていた。
「はっはっは! それで朝から寝たのかよ」
「だって眠かったんだもん」
「だからって、そんながっつり寝る奴がいるかよ」
「そういうつばさちゃんも、朝から寝てて先生に怒られていたじゃない」
「こら、まこ! バラスんじゃねーよ!」
つばさちゃんとまこちゃんは違うクラスなので、こういう時しか会えません。私たち3人が談笑していたら、まひろちゃんがはしを置いた。
「あれ? まひろちゃん、どうしたの?」
「すみません。私のせいで皆さんを疲れさせて授業の妨害をしました」
「そんなことないよ。寝たのは私たちのせいだし」
「そうそう。まひろが気にすることないって」
しかし、まひろちゃんは首を横に振った。
「いいえ。これからは朝ではなく放課後にトレーニングをしましょう」
あ、トレーニングはやるのね。私が苦笑いを浮かべていると、アナウンスが流れた。
「姫野 かなたさん、早乙女 まひろさん、結城 つばささん、池上 まこさん。放課後生徒会室に来て下さい」
「え、何の呼び出しだろ……」
私は不安になりながら昼休みを終えた。




