第34話「奈々の妹」
すると汐花が、にこっとした表情をしながらこう言ってくれる。
「それならこのまま、うちに泊まればん良いんじゃないの?だってその方がいいでしょ!ゼッタイ」
汐花の話を聞いて奈々も笑顔で便乗してくる。
「あたしの家に泊まっていけば良いよ。あたしのところ。妹もいるからきっと楽しいと見うよ!」
いきなり汐花と奈々の2人から声をかけてもらえて、良い意味で困ってしまった。
しかし奈々の家には訪問すらさせてもらったことが1度もないため、汐花に傷つけない程度の返事をしてから、奈々にこう言う。
「しおちゃん、そうってくれてありがとう。今日のところは取り敢えず、奈々ちゃんの家に泊まらせてもらおうかなって思っているから、ごめんね、奈々ちゃん。それじゃ取り敢えず、一度訪問させてもらうことにするよ」
その話を聞いて奈々は、すごくうれしそうな表情をしながらこう言う。
「ありがとう。1度と言わず何度でも良いんだよ。あたしの家はここから15分くらいしたところにある一戸建てなんだ。たぶん歩いてでもいけると思う」
「そうなんだ。15分くらいのところにあるから徒歩でも大丈夫だね」
僕が奈々にそう言っていると、しおちゃんが大人っぽい感じで僕に返事をしてきた。
「まぁ、うちは奈々の自宅はよく分からないけど、ゆっくり楽しんでおいで、将史くん」
その言葉を聞いて僕は、しおちゃんにニコッとした表情をしかからこう言った。
「そう言ってくれてありがとう。しおちゃん!ちょっと楽しんでくるよ」
そして僕は奈々ちゃんの自宅まで歩いて移動して、10分少しで、たどりついた。
すると奈々ちゃんの家のドアを、奈々ちゃんが開けてくれた時に、何故か学生服を着た女性がいて、うれしそうな表情をしながらいきなり僕に話しかけられた。
「あ、こんにちは。あなたがもしかしてお姉ちゃんの彼氏さん?私は奈々ちゃんの妹の石塚 舞って言います。舞ちゃんって気軽に呼んでくれて良いからね」
これには僕は、顔を赤くしながら舞さんにあわてて返事する。
「こ、こんにちは。彼氏ではなく僕は働いているところのメイド長の小川将史と言います。将史と呼んで
もらってかまいません。これからよろしくお願いします」
舞さんにそう言うと奈々ちゃんがすごく恥ずかしそうにしながら妹の舞さんにこう言う。
「舞、あたし彼氏出来たなんて言った事、1回もないよ‥」
すると舞さんが苦笑いしながら、奈々ちゃんに返事する。
「あっ、そうだったかな。それじゃ私の記憶違いだね。ごめんなさい‥。でも家族を含めても男の人が家の中に入って来てくれる事って何年ぶりかな?」
舞さんのを話をきいて、奈々ちゃんは少し考えてからこう言う。
「うーん。たぶん8年か9年は経つんじゃない。お父さんが病気で死んでしまったのがだいたい、そのくらいの時だと思うから」
「あっ、将史くん部屋の中入ってくれて良いよ。ごめんね、ちょっと色々姉妹で個人的な話をしちゃって‥」
僕は明るめの表情で舞さんに返事をしながら、家の中に入らせてもらう。
「‥いえいえ、そんな全く気にしなくて良いから。大事なお話をされていたわけですし。それじゃ少しだけ失礼します」
こうして僕は初めて奈々ちゃんが住んでいる石塚家に訪問させてもらうのであった。




