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第8話「最低よね」

 僕は苦笑いしながら小さな声でこう言う。


 「それなら桜の方が出来るよ。僕なんか上城さんの心を良いように変えてあげられる力なんてないから」


 すると、公園にたどりついた桜が、いきなり怒り出して大きな声で僕にこう言ってくる。


 「このあたいをここまで困らせるとは、大したものだ。あたいは一言も店から出て良いとは言ってない。あんたなら汐花を変えることは出来る。なぜならこのあたいを変えられたのだから。」


僕は慌てて桜の前で、頭を下げながら必死に謝る。



「ごめんなさい。勝手に店を出てしまって…。おまけにご迷惑と心配をかけさせてしまいまして‥」


すると桜が泣き出しながらキツめの口調でこう言いながら、僕を強くだきめてくる。


 「あんた、あたいがどれだけ探しまわったと思ってるの!本当にバカだな。連絡先の交換もまだしてないから電話すら出来ない状況だし。このまま見つからなかったらどうしようって何度思ったことか!妹の真央のところに一緒にいたから良かったものの。今日から店が営業するまであんたはあたいの家に住んでもらうから。これがペナルティよ!」


 その話を聞いて僕を優しくだきしめなから笑顔で、こう言った。


「本当にごめんね。連絡先なら後でちゃんと教えるし、桜が本当に良いなら、桜の家で営業再開日までお世話にならせてもらうよ。でも真央さんとか家族の人は良いんですか?」


 僕が心配そうに言った事に対しては、泣きなから大きな声でこう言う。


 「ペナルティを受けるやつが、そんなこと気にするな。分かったならさっさといくぞ、妹の真央もパトロールの時間が終わってこれから忙しくなるんだから、分かったか」


「はい。分かった。それじゃ桜、家までの案内をお願いするね。真央さんありがとうございました」


すると真央さんが、すごく笑顔で僕に返事をする。


「せんせん良いよ。色々あると思うけど桜のこと、よろしくね!」


それから僕と桜は、25分くらい歩いてから桜の自宅にある「みかん荘」というマンションにたどりついた。


3階建てのマンションで、意外とキレイところで、八田家があるのは3階の307号室で、僕たちは階段を登って辿り着く。


 桜が鍵を開けてくれて、ドアを開けなから僕にこう言ってくれる。


 「どうぞ、あたいは今、妹の真央と2人くらして、部屋に空き部屋は無いからあたいの部屋にいたらいいから入って、まっすぐ行って左の2つ目の部屋ね。1つ日は真央の部屋だから、まちかっても入らないように」


「そうなんだね。ありがと。それじゃおじゃまします」


 そう言ってから言われた通り、桜の部屋のドアをゆっくりと開けさせてもらうと、そこにはとんでもないの状態になっている。


 具体的に女性でありながらも下着や肌着やシャツなどが全体にちらかっており、僕が少し立ち止まってしまうと桜が、泣きそうになりながら力強くこう言う。


 「これが素のあたいの姿だよ。すわれる場所なんてほとんどないでしょ?一応これでも片づけはしたけど、しようと思ったときは、けっこう散らかってたの。別に好きなだけ笑って良いよ。人を騙す上に部屋を片付けられない女って最低よね。」


僕は桜の背中を優しく触ってからこう言う。


「お帰りなさいませ。お嬢様。今からお掃除と片付けをさせて頂いても宜しいでしょうか?」


 すると桜が涙を流しながらも嬉しそうな表情で、僕に強く抱きついてくれた。


 こうして再会することが出来た僕と桜。


 残すは、上城さんとの再会を目指して地道にこれからがんばってゆくのであった。

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