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2

 

「嘘だろ……」

「先輩?」


 木下が居る位置からは見えなかったのか木下が問いかけると、松本は無言で木下がその手帳が見える位置に向けると、木下も目を見開いた。


「先輩……ッ! これって」


 その生徒手帳に書かれていた名前は『木田悠馬』であった。

 貼り付けられた顔写真を見ると遺体で発見された木田と目元がそっくりであった。


「犯人は木田健人の息子?」

「……」

「まだ、苗字が同じだって言う可能性は……少ないがある」


 木下の質問に松本が答えられないでいると脇から篠田が代わりに答えた。


「……わかんない。」

「だな。」

「篠田、助かった」


 松本は礼を言ってから遺体に近づき、先ほどの生徒手帳の顔を見比べる。篠田は「じや、俺はこれで」と言い鑑識の車に帰って行った、これから遺体の収納を行うのであろう、担架が準備されている。



「女性の犯行じゃない、力の入り具合から見て男、わかるのはそんだけだな。そんなわけないと思いたいが……あとは防犯カメラ探しと聞き込みって言っても人通りが少ないな、そっちは厳しいかもしれない」


 つぶつぶ1人で呟いている松本の背後で同じように遺体を見ていた木下が電柱に設置された防犯カメラを指差さながら言った。


「防犯カメラが目の前にありますね」

「商店街の防犯カメラか」


 防犯カメラが取り付けられた電柱には『大江商店街』と書かれたプレートが取り付けられあり、防犯カメラにも同じ名前が書かれたテープが貼り付けられていた。その下にシリアルナンバーがあったのを松本は見て、少し笑みを浮かべた。


「先輩?」

「うん? なんでもない」

「今もの凄い悪い顔してましたよ」


 篠田にそう指摘されたが松本は聞く耳を持たずに歩き出し商店街の方へ歩いて行った。


 2


 大江商店街事務所入り口と言う看板を見つけた松本はその通り、階段を登って行ったが事務所には人の気配はなかったため、その下の和菓子店の店主である田口に聞くと自分がこの商店街の会長だと言った。



「ええ、防犯カメラを設置したのは商店街です」


 大江商店街の事務所に足を運んだ2人はこの商店街の会長である、田口に話を聞いていた。「お茶です」背後から副会長で田口の妻の絵梨花が盆にお茶と2人が経営する和菓子店で商品である大福を出してきた。松本は少し頭を下げ、ありがとうございますと一言言った。


「田口さん、後でちゃんとお金は払います、領収書もらっていいですか?」

「いえいえ、そんなこと気にしないでください」

「いえいえ、そこはちゃんとやっておかないと」


 田口はわかりましたと言って妻の絵梨花に話し終わったらでいいからと一言告げ、絵梨花が出ていくのを見て話を再開した。


「3年前に窃盗被害がありまして、商店街全体で話し合った結果。人通りの少ない裏路地とよくわかりませんが、まぁ、人通りの少ないところに設置することにしたんです」


「カメラは裏通りにしか設置してないんですか?」


 松本にそう聞かれた田口は否定した。


「いえいえ、表通りにもありますよ。テナントさんが許可してくれたところはつけました」


「そうですか、で防犯カメラの映像を少し見たいんですよ、出来ますか?」

「えぇ、そのぐらいは可能ですけど……」


 田口はハンカチで汗を拭きながらそう答えるが、言葉尻近づくに従って何か言いにくそうにした。


「どこのカメラかわかりますか?」

「あぁ……シリアルナンバーですか」


 松本は先ほど見たシリアルナンバーを思い出しながら言った先ほどの悪そうな笑みを思い出してほしい。


「えぇ、そうです全部の防犯カメラにはシリアルナンバーが振ってあってそれで全部把握してるんですよ、申し訳ない」


 田口は少しだけ頭を下げた。

 松本は視線をスーと木下の方へ向けると、木下はすごく嫌な予感がしたのか嫌そうな表情を見せた。


「と言うわけだ、木下言ってくれ。写真撮って送ってくれても構わない」

「NOはないんですね」

「あったら頼んでない」

「わかりました、行きますよ」


 木下は一つため息をつくと、立ち上がり、防犯カメラがあった電柱は向かう。


「申し訳ない」

「大丈夫です」


 田口の謝罪にそう答えるのみであった。


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