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0.9 スワンプマン

ニ人は王室を後にし、回廊を歩く。


「エヴァンド、お前今年でいくつになった?」


「14です」


少年は語気を強めて吐き捨てるように言った。


「そうか、あれからもうそんなに経つか…」


こんな時にいきなり何を聞くかと思えばこの人は・・・まさか息子の年齢としも覚えていないとは…


そんな少年の感情の機微を察することなく王は回廊を進む。


「ここだ」


そこは何の変哲もない廊下の石壁だった。


「えぇと〜」


王はなにやら思案しながら石レンガを見渡す。


「おぉ、あったあった」


王が石レンガのひとつを押すとゴゴゴ...という音と共に石壁の廊下が開き中から隠し扉が出現する。


こんなものがあったとは・・・今まで知らなかった。


「行くぞ」


二人は隠し廊下を進んでいく。


隠し廊下の突き当たりにはまたもや扉があった。


「さてと」


ジャラリ...と王はおもむろに懐から鍵束を取り出すと鍵のひとつを手に取り扉へとあてがう。


ガチャリという音がして扉が開く。


二人はさらに奥へ奥へと進んでいく・・・


廊下の壁は奥に進むにつれ、石壁に鉄製の筒が壁天井一面に張り巡らされていき、遂には石壁ですら無くなり異質な景色が拡がっていった。


「ふぅ、これで最後だ」


王は12個目の鍵を差し終えると額の汗を拭った。


「着いたぞ」


王が歩みを止めたのは鉄製の扉の前だった。


何だ、この扉は!?オーク共のカラクリに似ているがそれよりも高度なもの…これは一体?


「かすかに記憶に残っているだろう?」


「ッ!?」


「エレベーターというヤツだ」


「いかんせんこの国では電気エネルギーを引っ張ってくるだけでも大変でな」


王は楽しそうに語った。


「だが安心せい。問題なく動く」


ガシャン


王が錆び付いたレバーを引く。


どこか懐かしさを感じる開閉音がしてドアが開く。


二人はエレベーターに乗り込む。


王は32と記されたボタンを押した。


エレベーターは若干の浮遊感の後、静かに下降していく。


「着いたぞ」


「・・・こ、これは!?」


少年の目前に飛び込んで来たのは全長2メートル程にもなるガラスのような材質で出来た円柱状の装置だった。


下部が赤黒く汚れており、辺りに鉄のような臭いを放っている。


「あ、あぁ…あ」


「納得していただけたかな?」


半刻後――――そこに少年の姿はなかった。


「まだここにおったのか…」


背後から謎の声がする。


「何してるんですか !?…そんな大胆に出てこられては困りますよ。貴方が此処ここにいるところを見られるのは不味いんですから」


蠢く血溜まりからやつれた老人が這い出てくる。


「誰も来やせんよ」


「はぁ…ご機嫌いかがかな?フェニス教皇?いや、元教区長というべきかな?」


「これを息子にみせたのかの?」


「えぇ、きっと納得してくれたはずです」


「そうか・・・して計画は順調かの?」


「はい、滞りなく。いやぁ楽しみですな〜」


「ほっほっほっ」 「ハッハッハ」


「「アッハッハッハッハッハ」」


二人の邪悪な哄笑こうしょうが辺りに響いた。

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