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0.4 烙印

カツーン…カツーン…


騎士に連れられ石階段を下ると、目の前には錆び付いた鉄扉が待ち構えていた。


扉を目にしてすぐ、鼻を刺すような異臭に気づく。


「うっ、」


思わず顔を背ける。


そんなことはお構い無しに騎士は僕を引き摺って扉の中へと進んで行った。


騎士の肩越しに垣間見えた景色は地獄と呼んで差し支えの無いモノだった。


まず目に飛び込んできたのは赤黒く変色した木製の磔柱はりつけばしら


周りには人の腕や脚のように見えるものが幾つも散乱している。


一瞬、視界に入ったあまりの惨状に全身が総毛立つのを感じた。


「あ、あっ、あぁ…」


恐怖のあまり叫び声を上げることすらできずにいると、引き摺られ中へと放り込まれた。


すぐさま騎士二人に取り押さえられ磔柱はりつけばしらに押し付けられる。


「い、嫌だ!嫌だぁぁぁぁああああ!!!」


しかし無慈悲に四肢を磔に固定される。


うつ伏せになる形で固定された事で全く周りの状況を窺い知ることが出来ず恐怖だけが募っていく……


薄気味悪い笑い声が後ろから聞こえる。

騎士のモノではない。


誰だ!?


「君はこの国の支えになれるように生まれ変わるんだ。」


ディーンの背後に立った人物は禿げ上がった白髪に片眼鏡をした老年の男だった。


背後からガシャガシャと騎士が動く音が聞こえる。


音が止んだかと思うと今度は火が爆ぜるような音と鉄を引き摺るような音が聞こえ始めた。


一瞬の間の後、突然横に立っていたもう1人の騎士に服を引き裂かれた。


「なっ、何をす…」


言いかけたところで背中にジリジリと何か熱いモノが迫っている事を肌で感じる。


まさか…


「や、やめっ……ッァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!?」


辺りに肉のやける臭いが充満していく…


「じゃ、次行くぞ」


騎士の合図と共に右手にも焼印を押し当てられる。


「ガァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァッ…」


「あー完成か珍しい」


禿頭の老男は感心したように頷いた。


その声を聞いたのを最後にディーンは意識を失った。


「例の橋の下に捨てておけ」


黒騎士の命令に部下2人は頷いた。


――――――――――――――――――

ドサッ…


「ふぅ終わったな」


手の汚れを叩いて落としながら騎士の一人が呼びかける。


しかし後輩らしいもう1人の騎士は何やらガサゴサと麻袋を漁っている。


「先輩これも捨てていいですか?なんか楽器みたいすけど」


後輩らしい騎士が何やら木製の弦楽器らしい物を取り出しながら言った


「そんなもん一緒に捨てとけ」


「わかりましたぁ」


「帰ったら1杯引っ掛けようぜ」


「そうですね」


同刻地下牢―――


「へへっ待ってたぜ、」


囚われていた丸眼鏡の男が黒騎士に近づきなにやら手渡した。


それは紺碧に輝く宝石だった。


「2人共出ろ」


騎士は冷たく言い放った。

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