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OB会

フリー編

プロジェクトも佳境にさしかかる中、チーム編成が変更され町田遊軍というチームに配属された。

JCLの対応もある中、何をやるのかも分からないチームに配属され、心配だけが増すばかりだった。

【OB会】

想定していた通りに金曜日の夜は徹夜となった。

JCLの修正と実行を繰り返し、プログラムを見直し修正しを繰り返し、そんな状況で結合試験に入っていた。


サブシステムごとで、それぞれで結合試験は行われるが、JCLチームとしてはサブシステムを横断して確認をしている。

そのため、小森JCLチームリーダーと私は自身のサブシステムだけでなく、他のサブシステムも分担して対応をしてるのだった。


金曜日はJCLを実行し、土曜日は試験結果の確認、そして、日曜日にその修正ということで、いちおうは家に帰れる時間ができるように、分担が決められた計画となっていた。

そのため、私は本来は土曜日は休みのはずだったのだが。。。

町田遊軍対応ということで、夕方4時に出社することになっていた。


朝方、始発より少し後の小田急線に乗り、空いてる車内、座って眠りながら帰った。

そのままシャワーを浴び、楽器を持ってOB会のライブ会場へ向かったのだった。

家から30分ほどで着く距離にあったのが救いだった。


数年振りに会う旧友や先輩方と会話をしながら、演奏を聞き、そして、自身のバンドで演奏をした。

久しぶりの演奏は仕事の疲れを吹き飛ばしてくれた。

これから仕事だからとお酒は断りながらも、楽しい時間を過ごすことができた。


そういえば、前職を辞めてから、転職活動もままならず、仕事を得たと思ったら徹夜続きと苦しい日々が続いていた。

こんなに笑ったのは久しぶりだな。と気心知れる仲間がいる大切さが身に染みた。


午後になり、そろそろ仕事へ・・・と。先輩たちに挨拶に回り、そして、幹事の仕事を引き継ぎながら、後ろ髪を引かれつつもライブ会場をあとにした。


もっといたかったが、仕方ない。


また、あの徹夜の日々に戻る。

気持ちを入れ替えざるを得なかった。


【遊軍対応】

16時に仕事場についた。

土曜日だが今日はスーツだ。

朝、帰宅するときにPMの山崎さんから念のためスーツで来て欲しいと言われていたのだった。


「念のため・・・?」


土曜日、日曜日、と、徹夜になっても、そのまま月曜日も勤務ができるように。ということだ。


プロジェクトはまさに佳境。


まずは、このサブシステムごとの結合試験が終わらないと、先に進むことはできない。

そして、その結果をお客様に報告し、お客様にもご納得いただいた上での総合試験、納品となるのだ。

その結合試験でさえ、まだ今の段階では先行きが見えない状態である。


今、必要なことを、ひとつひとつ着実に進めるだけである。

自分の席で作業を進めていたが、町田さんはまだ来ない。


「もう15分すぎてるけどな。どうしたんだろう?」


心配しながらいると、Tシステムの薩田さんが、やってきた。


薩田:「町田さんから電話があって、新しい人が3人くるので、JCLを教えてあげて欲しいって言ってました!」


薩田さん、徹夜明けなのにいつも通り元気だ。


私:『え?JCL教えるって?何のJCLを教えるんだろう?』


薩田:「はい。このジョブのJCLの作り方を教えてあげて欲しいということですよ。」


薩田さんからA4の紙で3枚のジョブフローを渡された。


私:『あ、ありがとう。これって、最初から作るのかな?何か途中まで作ってあるか?分かるかな?』


薩田:「いえ。全然知らないっす!」


私:『町田さんに確認してもらえるかな?あと新しい人たちが来たら教えてほしいんだけど…』


薩田:「分かりました!」


【3名の参画者】

しばらして、新たに参画する3名やってきた。

Nの汎用機の経験がある人たちらしい。

H社の汎用機の経験はないらしい。。。

らしい。。。


「町田さんも人入れるのはいいけど・・・ある程度前提知識がある人たちだったら、いいのにな?」


と、思いながら、3名にJCLを教えることとなった。


まずは、新しく入った3名にプロジェクトの状況を説明した。

JCLも微妙に違うが、おおよそ対応できそうな感じではあった。


その3名に、スケジュール的に問題ないか?確認した。

しかし、彼らは現場に常駐することはないらしい。

持ち帰って、指摘点を修正するだけということだ。


そのため、今日、これから内容を確認して、不明点を私に確認する、というのが今日、一番の目的ということだ。

町田さんからは、とりあえず、JCLを数本、仕様通りに作ってくれれば良い、ということを言われているとのことだった。


何かあったら声をかけてもらうようにお願いし、私は席に戻って自分の作業に取り組んだ。


昨日の結合試験の結果確認をしている課金サブシステムのSEの赤井さんが項垂れながらやってきた。


赤井:「いやー結果がおかしいんだよね。JCL動いてるし、プログラムも正常に終わってるけど、なんでだろうか?単体レベルではあってるから、問題ないと思うんだけどね。」


私:『そうですよね。入出力のファイルは仕様書通りにJCLも書いてますが、そもそも、ファイル系の確認って、誰かやってるんでしたっけ?私が最初に見たときに、テンポラリーファイルになってたりと、書き方がおかしかったのはあるのですが、それって、入出力ファイルの妥当性も、ちゃんと確認できてないような気がするんですけどね。』


赤井:「確かにそうだな。見てみるか。ありがとう。」


【JCL直したいんだけど!】

赤井さんと入れ違いに、3名の参画者のリーダーの上田さんから声をかけれれた。

おおよそ見終わったらしい。1時間程度で、一通り目を通したので、理解があっているかの確認と、分からない部分を教えて欲しいとのことだった。


上田さんから、一通りのJCLの流れとして、理解している部分を説明してくれた。

その中で、分からない部分、汎用機メーカーで異なる作法とでもいうのだろうか、そういった部分を中心にいくつか質問があった。

N社の汎用機しかやっていないと言っていたけど、しっかりと理解してくれていてありがたい。


上田:「それで、最後の部分なんですが、繰り返しているジョブを繰り返し処理で書き直したいんですが、いいですか?」


私:『あ、それはできません。』


上田:「繰り返しなので、まとめて書いた方がいいと思うですよ。」


私:『いえ、それは分かるんですが、できないんです。』


上田:「いやいや、おかしいでしょ。繰り返し処理を使わないなんて、普通ないですよ。」


「あ!たぶん話があってないな、これ。」と気づき、説明をしようとした。


私:『そうじゃないんです。繰り返しはできないんです。』


上田:「あのね。こういうことだよ。」


と、上田さんは少し怒り気味に、しかしとても真面目に、ホワイトボードに懇切丁寧に、ジョブフローを書き始め、4箇所の同じ処理を、いわゆるfor文の中に一つ書いて、4回繰り返すというフローに書き直した。


私はその初心者に繰り返し処理を教えるような図を見て失礼ながら、笑ってしまった。


上田:「わかりますかね?これ」


私:『はい。その内容も、上田さんがやりたいことも、よく分かりますよ。繰り返し処理ができないのは、プロジェクトのルールとかではなくて、H社のJCLで繰り返し処理がないんです。すみません。』


上田:「ええ!?そうなんですか?それはできないですね。」


上田さんにも分かってもらえたようで、諦めてJCLを仕様通りに書いてくると、帰って行った。

平日は他のプロジェクトに参画してるので、土日だけで対応することになってるらしい。

以前、町田さんにお世話になった関係で今回も手伝いできたということだった。


しかし・・・

もう8時を過ぎようとしているのに町田さんは来なかった。

そして試験結果が思わしくなく、SEたちはまだ忙しそうにしている。

どうやらこのまま明日までに、修正点を洗い出さなければならないらしい。


そして、当然のように、私も明日の朝まで赤井さんと試験結果とJCLの見直しをやることになった。


町田さん 明日来るのだろうか。。。


つづく


※この物語は経験をベースにしたセミフィクションです。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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