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ブラック神殿から辺境に左遷された元S級神官ですが、捨てられ聖女を拾ったので最強聖女に育てようと思います  作者: 遥風 かずら
第一章 辺境

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17.カニャン、見よう見まねで覚える


「いいかい? 俺がする動きを真似てそのとおりに攻撃するんだよ?」

「リナスの動きを?」

「そうだよ。そうすればきっと当たるからね」

「……? でもリナスの前にワーム、いない。わたしの目の前には、いる。リナスは当たらない。わたしは当たる。それで合ってる?」


 カニャンの疑問はもっともなことだ。

 だが俺が持つ疑似杖では、たとえ目の前に敵がいてもダメージすら通らない。


 せめて俺の動きを見よう見まねでしてくれた方が確実だ。

 そうすれば、何度も地面から出たり入ったりするワームには確実に命中する。


「いいかい? 上に振り上げて……」

「うん。上にした」

「そしたら、地面に出て来た時を狙って振り下ろす!」

「ん、分かった。やってみる」

「じゃあ、ワームが出て来たと同時に振り下ろすから同時に!」


 地面から何度かワーム族が出たり入ったりを繰り返す。

 

 こいつらの()()()()()は、ダメージを負わない限り地中を大きく動かないことだ。


 カニャンが俺の真似をして攻撃を当てたとしても、大したダメージにはならないはず。そういう意味でも、カニャンの修行相手にはもってこいだ。


 そう言ってると、ワームが出て来る音が聞こえて来る。

 そのタイミングで、


「――今だ! 振り下ろし!!」

「んっ!」


 俺の振り下ろす動きを真似て、カニャンの剣がワームに命中しガンッ、とした鈍い音が響く。


 しかし大したダメージではなかったせいか、ワームはすぐに地中に潜ってしまう。

 致命傷は負わせられないが、今はこの動きを覚えてもらうしかない。


「ワームは次、いつ出て来る?」

「それは分からないけど、俺よりはカニャンの耳の方がよく聞こえるはずだよ」


 ワームがどこから出てくるかは"音"で判断する必要がある。

 今は戦い方と、気配を感じるための慣れが必要だ。


 離れた所で眺めている彼女たちには分からないことだろうけど。


「……猫相手にあるじは何をしているのかしら?」

「それはですねー、カニャンちゃんに攻撃のやり方を教えているんですよー」


 ――などなど、アグリッピナが丁寧に説明してくれていることを願うばかり。


「攻撃力の無いあるじの疑似杖の動きを見て、猫が覚えるとでも?」

「覚えると思いますよ。あの子はリナスさんを常に見てますからね!」

「武器を振れないあるじが攻撃を知らない猫に……フン、弱者め」


 暗器と体術を使いこなすサリルから見れば、俺の教えは手ぬるいだろうな。

 

 そうだとしても、間違った教本の教えを覚えてしまったカニャンには初めから教え直す必要があった。そうなると今は、多分こうする方が成長につながるはずだ。


「……にゃあっ!! 音、よく聞こえてくるようになったかも」

「その調子だよ!」

「今度出てきたら、思いきりやってみる。いい?」

「もちろん、カニャンが好きなタイミングで振り下ろせばいいよ」


 地味な教えでも、まずはここから始めよう。

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