新たな仲間は……?
えっと……?どういう状況?事案?
「え、えとお……ボクっ……わ、わたくしゅは、あなた方の……パーティーに……」
「えっ!?もしかして私たちの仲間になってくれるの!?大歓迎だよー!よろしくー!」
「え!?そ、即決ですか……!?」
「ちょっと待ったあ!まずこの娘の話を聞こ?あなたのお名前は?」
「それが……分からないんです。お、覚えてなくて……」
……覚えてない?
「記憶喪失ってこと?どこから来たかとか、親はいるのかとか、何も覚えてないの?」
「は、はい。まったく……」
うーん……ちょっと怪しい。人間の姿をした魔物……魔王軍幹部が私たちを騙そうとしている可能性もある。こんな序盤からホイホイ幹部に攻めて来られても困るけど。
「そうだ、冒険者登録の時はどうしたの?」
「名前なんて無くてもいいって……こ、これ、冒険者カードです」
見ると、名前の所が空白になっていた。これで彼女が言っている事は事実ということになる。きっと薄情で適当な受付係に当たってしまったのだろう。
「じゃあじゃあ、私が付けてあげるよ!うーん……なんか怯えてるから……オビエ!」
「いや適当過ぎるでしょ。却下よ却下」
「……!!オビエ……オビエ……いいですね!妙にしっくりきます!」
……ほんまかいな。
「ほんとにいいの?もっとよく考えた方が……」
「いえ、オビエがいいです!そう呼んでください!」
「そうなの?じゃあそうするよ」
意外に自分の意思はしっかり持ち合わせているようだ。
「じゃあ、改めてよろしくね!オビエ!」
「は、はい……!よろしくお願いします!」
「違う違う!そこはよろー!って言うの!」
「純粋な女の子をチャラくさせようとすな」
「は、はい!えっと……その…………よろー!……です!」
……いやクッソかわいい。クッかわだわクッかわ。
……こうして私たちのパーティーに新しい仲間が加わった。