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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
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空から妹が!? 

 自信満々というより、なぜそんな些細な話で喚いているのか分からないといったクール。

 もしかしたら、とリヒトも思い始める。


「……できるのか? 社長の悲しむ顔は見たくねェんだ」

「オマエ、良いヤツだな~。おっちゃんも嬉しいよ。オマエらごときがおれにその口をきけて、そのボスの妹となりゃ大したものだろ? ひと肌脱いでやろう。おれがなんかするわけじゃないけど」


 クールが退室した。おそらくルーシを追いかけに行ったのであろう。


「こっちのほうが常識破りしてると思ってたけど、やっぱ社長の仲間だよな~……。意味分かんねェヒトだ」


 *


 高層ビルの屋上にて、風を浴びながら、銀色の髪をなびかせてタバコを咥える幼女がいた。

 その近寄りがたい場所に、クール・レイノルズは平然と割り込む。


「姉弟。妹がいたことくらい話してくれよ」

「……ああ、悪かったな」

「天界には1回行ったことがあるんだよ。特段思い出はないんだが、あそこに住む連中にはひとつ共通点がある」

「……なんだ」

「別次元の世界をつなげられる力さ。姉弟、おれに隠し事し過ぎだよ。あのピンク髪のアバズレビッチ、天使なんだろ? 魔力の流れが逆だし」

「……そうだな。オマエを信用しなかった私の失態だ」

「暗い顔するなよ。ED患者じゃあるめェ。その天使を呼べるか? 面白い現象見せてやる」


 ルーシは思わせぶりなクールの態度にも「ああ……」と鳴き声をあげるだけだった。

 携帯を取り出し、通話をし始めたら、そのピンク髪の天使は現れた。


「なんですか? まだ私悪いことしてないですよ?」


 ルーシは黙り込む。代わりにクールが彼女に口を聞く。


「天使をひとり呼び出せ。名前はタイペイ。階級は守護天使だ」


 女優並みの美貌を誇るピンク髪のヘーラーは、「……は?」と口をあんぐり開ける。

 面倒くさそうにクールが最前のセリフを繰り返すと、ヘーラーは顔を歪めた。


「え? 上司の上司呼ぶんですか? ルーシさんに殴られたくらいじゃ死なないですけれど、天使は天使も殺せるんですよ? 私、殺されたくないんですけれど」

「知らねェよ、オマエの事情なんざ。オマエのお付きの姉弟ルーシが困ってるんだ。なんとかしてやるのが、天使の筋ってものだろうが」


 1日15時間眠らないと気が済まない、生き物として失格品なふたりは、なぜかルーシも知り得ない情報を握っているようだった。

 そのため、遠くを見ていたルーシはようやくふたりの方向に目線をあわせる。


「……おめェら、なんの話している?」

「ああ。天使は非常事態のとき、自らの世界からヘルプを呼べる。このピンクが喚けば、一定時間好きな天界人を召喚できるわけだ。酒飲み潰れで脳も壊されてるだろうから、一瞬で通るさ。だろ?」


 クールはヘーラーを睨む。口調とは裏腹にまったく笑っていない。

 そもそも種族として違う位置にいる者に睨まれ、恐怖と尿意を覚えたヘーラーは、情けないことに人間の命令に従ってしまった。


「うぅ……。私は天使なのに──、ひゃ!? 拳銃向けないで!! 呼びますから!! タイペイさーん!!」


 ルーシ・スターリングは、空から死んだはずの妹が降ってくる奇妙な体験を果たした。

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