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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
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病的性欲

 久しぶりに戻ってきた本島。夏休みの間、麻薬と武器を製造するためにちいさな島に潜んでいたルーシは、当然キャメルとメリット以外には会っていない。

 そして仕事は順風満帆に進んでいる以上、ルーシのようなイレギュラーしか起こさない存在はいないほうが良い。こういうときは他の連中に託して、危険思想者(ルーシ)は恋人を呼び出せば良いのだ。


「よォ。帰ってきたぞ」

『ルーちゃん!! どこ行ってたの!?』

「夢の国だな」

『夢の国なら行ってみたいな! 今度連れてってよ!』

「補習地獄で本島を出られないだろうに。次のテストでも赤点とったら、クビが見えるぞ?」

『んー……。なんで私MIH学園に入っちゃったんだろ。勉強難しいよ……』

「メントといっしょに勉強会だな。学校終わったら教えてくれ」

『えー……。勉強やだなー……』

「学生なんだから仕方ない。切るぞ。近いうち会おう」


 ピクニックに訪れる市民の多い、人工的自然あふれる公園のベンチにもたれながら、ルーシはパーラとの通話を終わらせる。暇さえあればタバコを咥えている人間だから、禁煙区域でないことを確認して咥えようとしたときだった。


「やあ」

「ランニングかい? アーク」

「そんなところ」


 アーク・ロイヤルが現れた。金髪の翠眼、女性風な顔立ち、若干パーマのかかった長髪は、前世いた日本の人々のごとく眉毛まで隠している。


「オマエ、運動好きなんだな」

「まあね。ゲーム10時間連続でやるには、筋力も必要になってくるから」

「ゲームか……」


 ロスト・エンジェルス連邦共和国。18世紀末期の島国に家庭用ゲーム機があって、パソコンでゲームもできて、配信者が荒稼ぎしているのだから、未だルーシも腑に落ちない。


「FPSとかやんないの?」

「たまにやるかね。パーラが勧めてくるんだ」

「……良いよね、ルーシはさ」

「なにがだよ」


 アークは黙って携帯電話の画面を見せてきた。そこには、毛布がもぞもぞ動く絵面が広がっている。それだけでは自慰でもしているのだろうと考えて終わるが、次の画面を見たとき、ルーシは思わず吹き出してしまった。


「たしかにな! パーラはこんなことしねェし!」

「……幼なじみの部屋に押し入って────、してくる娘と付き合うのってさ……無理だよ」


 アークは苦虫でも噛み潰した顔で、画面に映るキャメル・レイノルズを拒絶した。


「良いじゃねェか! コイツ頼めばなんでもしてくれるぞ?」


 ルーシは笑い散らして、腹部の筋肉がつってしまうほどだった。


「不法侵入だよ? 起きる度に疲れてるから定点カメラつけたらこれ。キャメルの性欲って病的じゃない?」

「ロスト・エンジェルスには性依存症が100万人いるんだぜ? だがこりゃひでェ。もう豚箱に入ってもらえよ。それともなきゃ、話し合うしかないな」

「嫌だよ……ふたりで会うとろくな目に合わない。カマキリのメスが、交尾のあとオスを食べてしまうような感覚に襲われるんだ」

「オマエって女運ねェな~。まあ端から見ている分にはおもしれェけど」

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