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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第五幕 忍び寄る陰謀、クーアノン
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"スクールカースト"最上位VS最下位

「まあよく考えてみれば、幼児向けの服しかなさそうだが」

「そりゃそうでしょ。サイズが150センチ程度の子になると──」


 ルーシはうつむいて笑みを浮かべる。

 どうにも思ったどおりに話が進むと気分が良い。ルーシには姉のような存在がいる。背丈がルーシより若干低い姉が。


「あら、ごきげんよう」


 明るい茶髪に幼女であるルーシを下回る低身長。整った顔立ち。


「こんにちは、キャメルお姉ちゃん」


 そして、彼女は低身長をすこしコンプレックスに感じている。いつだか訊いた話だ。

 なので、メリットは図らずとも墓穴を掘った。


「いやー、キャメルお姉ちゃん。メリットちゃんに聞いていたんですよ、低身長でも良い服ないかって。そしたら幼児向けの服しかないって言うものだから……」


 いまにも吹き出しそうだ。キャメル・レイノルズのプライドはどんな者でも崩せないことに定評があるのだ。


「……へえ、メリット。貴方私をそう思ってたと」

「……いや、思ってないっすよ。まじで」


 びくびく震えるものだからおもしろい。これがスクールカースト最上位と最下位の会話である。


「まあ、そう思うのも自由よね。確かにこの身長じゃ、幼児用の服ばかりだもの」

「いや、マジで思ってないっす……。その、あの、言葉の綾、あやです」

「そうだよ、メリットちゃん。良い服屋紹介してくれれば、そんなこと思っていないって証明できるよね~」


 ぶち殺すぞ、クソガキ……!! と言いたげな顔でこちらを見てくる。だがルーシは知らん顔である。


「……あした、あした紹介します」

「というか、なんで敬語使うの? 私たち、友だちじゃないの?」

「えっ、あっ……友だちだよ」


 ルーシは別言語で「ハラスメントだよ、お姉ちゃん」とつぶやく。


「なにか言った? ルーシちゃん」

「いえ、なにも」


 飄々としておけば良いのだ。キャメルは堂々とした者を疑わない。


「ところでふたりとも……ちょっと相談があるんだけども」

「メリットちゃんはもう帰らないとまずいんじゃない? お母さんと買い物に行くとかで」

「そ、そうだ。んじゃ、おつかれ。ふたりとも」


 最後は開き直ったらしい。喫煙で肺が傷んでいる少女の全力ダッシュが見られた。


「……メリット、私のこと嫌ってるのかしら?」


 ルーシはまたもや自国語で「自覚ないのか。重症だね」とつぶやいた。


「ん?」

「コンスタンティン語のお勉強しているんです。ついつい口に出ちゃって。いま、『メリットちゃんさようなら~』って言いました~」


 声質を思い切り変えているから、ルーシは(当然だが)とても悪い人間だ。ふたりの反応を見るのが楽しくてたまらないのである。


「すごいじゃない! さすが私の姪っ子!!」


 なお、ふたりは『叔母』と『姪』の関係だ。キャメルの兄とルーシは養子縁組を組んだことになっているのだ。


「……キャメルお姉ちゃん」

「あ……」


『お姉ちゃん』と呼んでいるのにもそういう意図があるのだ。叔母さんと呼んだらかわいそうというちょっとした理由だが。


「ま、まあ。お兄様と私は年齢も離れてるし……そういうこともあるわよね?」

「お父様とお姉ちゃんは15歳差ですものね」

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