表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第四幕 共に過ごした時間が、すべて宝物だったと笑えるように
85/290

LTASと地獄が直通中(*)

 それがゆえ、アークはふたりを止めようとした。このふたりの魔力ならば、奥の手が暴走することも防いでくれるとルーシは考え、アークは納得したわけだ。

 それでも、未だアークたちはクールを止められない。

 ならば、倫理性や人間性を懸けて、そんなことくらい大人がすべきではないだろうか。


「……わかった。あのお二方はおれたちが止める!!」


 背丈の高い黒人と狐のお面をした女が現れた。


「聞いての通りだ。全員で突破するぞ」

「御意」

「かしこまりました」


 時間は少ない。慣れっこだ。

 だからポールモールはふたり──(みね)八千代(やちよ)を空間移動で空へ舞い上がらせ、自身もすべての魔力を空中高くから放射した。

 そしてついに、ふたりが揺るいだ。


「……あ?」ジョンが異変に気がつく。

「身体が動かねェな。ポーちゃん、横槍か?」

「大人が果たす義務を子どもが果たそうとしてたので、それを取り戻しただけです。いますぐ喧嘩をやめてください」


 クールとジョンは互いの目をにらみ合う。

 そして、首を振って不機嫌そうに地上へ降りていった。


「ッたく、ずいぶん荒れちまったな。なのに、蹴りがつかねェのか」

「仕方ねェだろ。まったく、オマエのところの子分は良い働きするねェ。始末書じゃ済まなかったぞ、こりゃあ」


 いい加減な態度。投げやりである。

 しかし納得してもらうほかない。このふたりが必ず鍵になるからだ。


「お二方、これからルーシがなにかをするつもりらしいので、魔力を開放する準備をしておいてください」

「ルーシ? たしかおめェの娘だよな?」

「ああ、腕が立つんだ。しかしなにかをする? なにをするってんだ──」


 刹那の出来事である。

 街からついに電気が消え去った。電流が半強制的に一点へ集められ始める。


「おお? 電気が抜けてくんだけど」

「お兄様……? なんで止まったのかしら──」


 そして、金色の翼が輝き始める。

 ロスト・エンジェルス本島はおろか、きっと海を挟んだ先にある他国からでも見えるであろう『金鷲』の翼だ。


「なるほどねェ……」クールはニヤリと笑う。

「魔術では動いてねェな。とんでもねェのを娘に持っちまったようで。クール」


 ふたりは顔をあわせ、少年期に戻ったかのような笑顔を浮かべる。

 だいぶ消耗しているが、これをはねのけられない『ロスト・エンジェルス最強』など、その称号にふさわしくないのは明白だ。


「さて、と。子どもたちを守るかぁ」

「つか、キャメルも来てたのか。おれら、やりすぎたみてーだ」


 ふたりの化け物が腕に魔力を溜め始める。

 峰と八千代もそれに乗り、合わせてポールモールも防衛を開始しようとするが。


「……ルーシのもとにいくらか魔術使ってる人がいるはずです」


 アークの視野は非常に広かった。あの場にはルーシの友人がいるのだろう。


「その人たちを助けなきゃならない。ポールモールさん、お願いします」


 ポールモールはなんとも優しげな笑みを見せる。


「わかったよ。こっちはもう戦力過剰だ。ただし覚悟しておけよ? 無神論国家と地獄は直通してるんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ