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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第四幕 共に過ごした時間が、すべて宝物だったと笑えるように
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金鷲の翼(*)

 最終決戦。

 戦局は相変わらずの悪天候。死傷者も現れ始めただろうに、あのふたりは戦闘をやめようともしない。集中し過ぎて周りが見えなくなっている。


「そもそも近寄れるのか。あれに」


 アーク・ロイヤルはそうつぶやいた。

 現在、クール・レイノルズとジョン・プレイヤーの闘いはピークを過ぎつつある。されども、漂う魔力の圧はアークひとりでどうにかできる話でもない。


「でも、できなきゃ死ぬだけだ。死にたいとは思わないね」


 どちらを叩くか。

 対峙するクールとジョンは頻繁に勝敗の優劣が揺れ動いている。だから不利なほうを止めて有利なほうを正気に戻す……なんて真似はできない。


「狙うは……クールくんだ」


 しかし手をこまねいている暇がないのも事実。もしかしたらアークの存在を認識するかもしれないと、知り合いの一手に懸ける他ない。

 アークは全速力でクールとの間合いを詰める。


「クールくん!! もう辞めるべきですよ!! これ以上死んだら……」


 だが、声は届くはずもない。アークは炎の塊による手痛い仕返しを食らい、地面まで真っ逆さまに転がり落ちていく。


「アーク!!」


 アークの意識が飛びかけていることを知ったのは、クールとジョンの戦闘の見届け人を行っていた、クールの懐刀ポールモールだった。

 ポールモールは空間移動でアークの元へ向かい、少年を回収する。


「オマエ、無茶な行動するなよ! ピークアウトはまだ来てないぞ!?」

「……ポールさん」

「あのアルビノの子が電気を溜めてるんだろ? だったら決着を急ぐな! 死にに行くようなものだからな?」

「……いや、あの雷は別の方法に使われるはずです」

「あ?」

「このNLAでもうひとつ戦争が起きてる……。それを解決するのはルーシだけど……このままじゃみんな死んじゃうんです」


 アークは吐血しつつ、なにかを知っているかのように語る。


「……内蔵やられてるだろ? 背負いすぎだよ、オマエ」

「誰かが責任を負わないと、いつまで経っても”勇者なき平和”は訪れないので……」

「……チッ」


 ポールモールは舌打ちをする。この頑固さ、まるでクールのようだ。

 しかし、クールと違ってアークは子どもである。ポールモールは外道なマフィアだが、それでも最低限の倫理性くらいある。


「……ルーシがなにをするんだ? それ次第で、アニキとジョンさんの動きは変わってくるんだろう?」

「ルーシは……」


 ゲホゲホと咳き込む。もはや限界が近い。されども、アークはルーシが吐露した最終手段を告げる。


『なあ、アーク。私は常に最悪と最善を考える。意味、分かるかい?』

『さあ、君は嘘つきだからね』

『言ってくれるなぁ。拗ねちゃうぞ? まあ良いや。最悪の状態に備えて、伝えておきたいことがある。クールにも、メリットにも話していないことだ。良いか──』


「最終的解決方法として、『金鷲』の翼を解除しすべてをぶっ壊すつもりです。でも、その先に待ち受けてる未来は、当人にもわからないと……」


 つまるところ、このままではこの場にいる全員が死ぬというわけだ。

 シエスタもピアニッシモもクールもジョンもキャメルもアークも。

 だが、そんなことをすれば後々首を締められるのはルーシだ。なにか裏があると考えられる。


「でも……クールくんとジョンさんが協力して魔力を放射すれば、ぼくたちも助かるだろうって……」


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