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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第四幕 共に過ごした時間が、すべて宝物だったと笑えるように
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天に向かって唾を吐き、真っ逆さまに落ちていく

 ルーシはこんなときでもボスだ。帝王としての哲学は、いつだって生きている。

 剣幕にメントは我を取り戻す。

 その最中。


「……メント、ホープ。この状況で特をする連中を考えろ。警察機関が麻痺している状況で……ぐほッ!?」


 ルーシはついに吐血した。だが、泣き言はいえない。1番泣きたい者の気持ちに寄り添えば、そんな安易な逃げはできないのだ。


「……スパイどもだ。地下から面倒なヤツらがやってくるぞ。だが、所詮は戦闘能力の弱ェー連中だ。この国に侵入できるのなら、あまり強ェーのは使えねェからな」

「……どうしろって?」ホープは真剣に聞く。

「ヤツらを潰せ。私もメリットも動けねェ。だが、ロスト・エンジェルスは必ず守る。泥舟に乗って死んでいくなんてゴメンだ」


 ホープはメントと目をあわせ、この危機的状況を理解する。

 ロスト・エンジェルスが危ない。パーラの暴走でMIH学園周辺は不毛の地と化し、上空では天地変動でも起きそうな爆発音と衝撃がつたわってくる。

 こんなとき、仮想敵国に囲まれたロスト・エンジェルスの偉大さが試されるのだろう。


「異論ねェな? よし……行ってこい!!」

「いわれなくとも!!」

「ロスト・エンジェルスを死なせはしねえ!!」


 ホープにメントが掴まって糸を頼りに、空中浮遊をしながらふたりは内地に潜む敵に向かっていく。


「……猫の手も借りたいんじゃないんですか?」

「アイツらが死んだら誰がパーラの面倒見るんだよ。……親も殺されたアイツを誰が支えるんだッ!!」


 ルーシの目の虹彩が紫色へ変化していく。

 その気迫に圧され、ヘーラーも挑んでいく。


 だが、現実はあまりにも非情であった。


「メリット!!」


 ついにメリットを支える魔力が消え去った。彼女はレジ袋のように盛り上がった地面を滑り落ちていく。


「まだ除去できていねェぞ……」


 ルーシはうつむき、残り200億に迫ったパーラ浄化の方程式から離れそうになった。

 されども、ルーシは諦めない。


(そうだな……怖い? 20000人も殺しておいて怖いことなんてあるか?) 

「ははッ……」


 紫に染まった目が、妖しく光る。


「ヘーラー。メリットの治療をしろ」

「えっ!? で、でも、このまま止めちゃうんですか?」

「良いからやれ!! こっから先はおれが決める!!」

「は、はいっ!!」


 ルーシは首をゴキゴキ鳴らす。

 そして空を見上げる。だいぶ小さくなった悪意の塊を見据える。


「もうブレーキは効かねェ。効かねェのなら壊してしまえ。壊したのなら、あとは真っ逆さまに暴走するだけだろ……!!」


 天に向かって唾を吐くかのごとく愚かしい行為。主文なんていらない。ルーシはいまこのときをもって、死刑囚となったのだ。


「21世紀最大の怪物、いまここで死に花咲かせてやるよ」


 黒い鷲の翼が背中に現れる。ルーシは不敵に笑う。

 もう翼で突っつくような真似をしたところで意味がない。ルーシの身体能力を事実上決定する魔力が尽きかけている。

 しかし、あと30秒保てば解決する。


「墓荒らしに遭わなさそうで安心だ。おれの死体を見てェクソどもは多いからな」


 ルーシは塊へと突っ込んでいった。

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