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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第四幕 共に過ごした時間が、すべて宝物だったと笑えるように
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我が盟友、メリット

 ルーシ・スターリング最大の危機。

 それをあざ笑うかのごとく、天候も悪くなってきた。

 されども、ルーシは不気味な笑顔を崩さない。


「悪い天気だ。おれがなにかしようとすれば、いつもお天道様はツバを吹きかけてきやがる」


 パーラの暴走。それを止める手立てはひとつしか思いつかない。

 それは超能力を使うことだ。

 ルーシは前世にて()()()()であった。存在しない現象を引っ張り出し、それを自在に操る怪物だったのだ。

 ならば、パーラがもとの状態へ戻るような法則・現象を引っ張り出せば良い。


「まずは干渉からだな」


 現在、パーラは魔力をまとっている。触れればシュレッダーのように身体を粉々にするだろう。

 そして、さしものルーシも攻撃を受けながら原理を導き出す器用な人間でもない。


「ポールか(みね)を……。いや、アイツらはクールへ向かわせたな。あのイカれた攻撃を受け止められるヤツらといえば──」


 刹那、ルーシのもとに瓦礫が飛んでくる。

 しかし、ルーシは一歩も動かない。

 その態度に呆れ、それを壊したのはメリットだった。


「よォ。調子は?」

「便秘3日目」

「メントとホープはどこ行きやがった? この忙しいときに」

「さあ。気絶してるんじゃない?」

「情のねェヤツだな。友だちだとは思わねェのかよ?」

「死ななきゃ良いでしょ。で? あれ止める方法考えた?」

「一応は」

「私の役割は?」

「私を守れ。崩すのに時間がいる。私の脳髄が吹き飛んだら、ロスト・エンジェルス本島も吹き飛ぶと思え」


 メリットはメガネを外し、ケースのなかにそれをしまい込む。


「3分稼ぐ。カートンね」

「あいよ」


 そのままメリットは薄い膜をルーシの正面に貼る。

 メリットだって痛いほど理解しているのだ。この場面を切り抜けるには、どうあがいてもルーシが必要であると。


「勇者になったみてーだぜ」

「アンタ、ロスト・エンジェルスの国歌名知ってる?」

「あ? なんだよ藪から棒に」

「『勇者なき平和』って名前。クソガキ、アンタには勇者は似合わないし、そもそも勇者なんて現れちゃならない」

「退屈だねェ……」


 メリットが3分間の時間稼ぎを約束し、ルーシはパーラの脳内へ入り込む。


「……だいたい3000億個ってところか」

「バグの数?」

「そうだ」

「3分じゃ保たなそう」

「いや、なんとかして見せる。任せたぞ、盟友」


 メリットはぴくりとも笑わない。この無表情も見慣れたものだ。

 そんな見慣れた光景を守るため、殺人鬼が勇者になろうとするのだから、現実とは陳腐だ。


「おい、自称天使」

「……なんですか」


 ヘーラーは怯えているが、脳くらい動くだろう。


「演算補助しろ。連合軍の最高司令官みてーに梅毒じゃなければ、すこしばかり状況がマシになるはずだ」

「……ルーシさんは本気で勝つつもりですか? こんな状況、神でないと切り抜けられないのに」

「勝つ? 違うな。終わらせるんだよ」

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