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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第三幕 すべての陰謀を終わらせる陰謀、壮麗祭
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ルーシの危機

 最終日。いよいよ、決勝戦が始まる。

 しかしそんなこと、ルーシにはどうでも良い話しだった。

 まず、ルーシの持つ会社『スターリング工業』に一斉捜査(ガサ入れ)が入った。すでに100名弱もの者が逮捕されている。警察機関がスターリング工業壊滅に向けて動き始めたのだ。この事案の対処はクールと(みね)にまかせてあるが、果たしていつまで全面戦争が避けられていられるか、といったところだ。

 続いて、パーラの体調だ。彼女は地毛がピンク色で、二週間に一回金髪に染めているのだが、本来染めに行く時期になっても体調不良で美容室へ行けないのだ。根元がピンクになっていて、しかしそれすらも気にしていられないほど、パーラに生気がない。


「……病気になったことねェからわからねェな」


 正直、仕事を優先しなくてはならないが、見舞いくらいはできる。

 パーラは意固地になって入院したくないとぼやく。嫌な記憶を思い出してしまいそうだからと。そしてみんなと一緒にいたいとも。彼女の意志を尊重し、ルーシたちはパーラの自宅に集まっていた。


「バカとなんやらは風邪引かないから」

「風邪ってわけでもねェだろ、この状況」


 ルーシとメリットは落ち着き払っていた。慌てたところでパーラが治るのか、という話しである。

 対照的なのはメントとホープ。時々うめき声を上げて汗を流すパーラを見ては、落ち着いていられないのか、病人食を用意し、水分補給をさせようとしている。


「結局、なんの理由か、だ。もう一度医者呼ぶぞ」


 当然ルーシのポケットマネーで医者を呼ぶ。もう五人目だ。そろそろ病名が発覚しても良い頃合いだが、彼らはさっぱり見当がつかないという。


「パーラ……」メントの声に力はない。


 この元気な獣娘が病気にかかるものか? メントとパーラの付き合いは長いが、彼女ほど健康な子も珍しいくらいなのに。


「……魔力が原因?」


 そんななか、ホープはなにかに気がつく。


「魔力? ……そういうことか?」


 それに答えるはルーシ。


「パーラちゃんは微弱な魔力しかもってなかった。でも、いまはウチでもわかるくらい魔力が強い。いまにも膨張しそうなくらいに」

「魔力を抜くことはできるのか?」

「それこそ、医者じゃないと難しいと思う」

「だったらその手の医者を呼ぼう……ちょっと待っていろ。電話だ」


 ルーシは部屋から出て、電話に答える。


『プレジデント。やはりガサが進んでおります。サクラ・ファミリーやクール・ファミリーからも逮捕者が出ているほどです』

「一次組織から……? ヤツらも本気だな。大統領の汚職や痴態は見つからねェのか?」

『情報提供者が複数名出始めておりますが、その前に当局の動きを止める必要があるかと。これは噂ですが、セブン・スターズが動いているとも……』

「そこにはクールを当てろ。一組織潰すのにセブン・スターズをふたりも三人も出さねェはずだ。連中の懸念材料は間違いなくクールだからな」

『確かに、クールCEOを逮捕できる者などそうはいませんからな』


 それでも、ざわめきは収まらない。

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