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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第二幕 実力至上主義、MIH(メイド・イン・ヘブン)学園
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××××外交? 

 雅の顔はトマトのように赤くなった。決して恋する乙女のような顔ではない。苛立っているのだ。


「……クールさん、アンタふざけてるのか?」

「ふざけてる? おれはいつだってマジだぜ」


 クールは楽しげに手を広げる。


「峰ェ! てめェワシにこんなクソガキの傘下へつけって言ってるのかァ!? ワシはクールを締め上げた人間の子分になるわけで、××××外交でお飾りのボスになったヤツの配下につくつもりはねェぞ!?」


 ルーシは煙草を灰皿に置き、すこし口角を上げながら、

「峰さん、悪いことはいわねェ。私の盃もらったほうが良い。こんな小物につくよりは、良い思いできるぜ?」

 あからさまに雅をバカにするような口ぶりになる。


「えーえー! そうですか! クールさんはロリコンだと! この会談は無しだ! こんなガキの下についたら、ワシたち全員笑いものだ! メンツもクソもあったもんじゃないからな!」

「ふーん」

「……オヤジ、ルーシCEOは豪傑ですよ」峰はそういった。

「豪傑だァ!? 10歳程度のガキに貫禄もなんもねェだろうが! ヤクザ舐めてるンじゃねェぞ、てめェら!」

「ヤクザをなめるな、か」


 ルーシは前世で、サクラ・ファミリーをゆうに超える暴力団をその手中に収めたことがある。それに比べれば、雅など小物も良いところである。いかに雅が吠えようと、ルーシはまったく怖じ気つかない。


 そんな中、ルーシは、スカートの裏にしまっておいた拳銃を雅に向け、目にも留まらぬ速度で銃弾を発射した。


「……ッッッ!?」

「オマエら、なめられて当然なんだよ。いや、オマエがなめられて当然なんだ。もとは幹部候補生としてサクラ・ファミリーに入って、出世の目がないほどビビリで、なのに上にいるヤツらがみんな死んじまったから4代目になっている。とても3000人を率いる人間の吠え方には見えねェ」


 ルーシの銃弾は、雅の髪を落ち武者のようにしていた。


「じゃあこちらからもいわせてもらうぞ? スターリング工業をなめるな。小便もらしてビビっているオマエが、私やクール、ポールや他の構成員たちにかなうと思うなよ? 良いか? いまは優しく誘ってやっているんだ。クソもらす前に……いや、男優やる前に決めろ。私の盃を受けるか、ここで男廃業するか」


 ガタガタ……と震えきる雅。


 ルーシの目つきが本物だと感じた峰は、

「わかりました……。サクラ・ファミリーはスターリング工業の傘下に入ります」

 賢明な判断をくだした。


「よろしい。賢明な部下がいてなによりだ。ポール」

「ええ。帝ノ国については調べてあります。しかし、我々は正座ができないので……」

「あぐらで良い。そして、盃の前に役割決めるぞ。クール」

「ああ。つか、なんでオマエ、ブリタニカ語書けねェんだよ」


 クールはホワイトボードに文字を書いていく。ルーシは英語ならば書けるのだが、この国の文字は特殊なのでクールへ任せることにした。


(なんでこんなに読みにくいんだ? やはり田舎だからか?)

「さっき姉弟が通達されたように書いた。スターリング工業はあくまでも企業だ。なんで役職がいる。この場にいるヤツらには全員役職を与えるからな」


 CEO:ルーシ・スターリング。


「当たり前だけど、ボスは姉弟のルーシだ。企業序列第1位。異論は?」


 誰も彼も、首を横に振ることなんてできるわけない。クールとポールモールは了承していて、雅はすっかりルーシへ恐怖心を抱いている。それに従う峰もまた、文句をつけることはできない。


「ねェな。じゃ、次。COOだ。最高執行責任者だな。これはおれだ」

「異論はないですね」ポールモールは当然といった態度だった。


 それに反したのが、最前まで震えているだけの雅だった。


「ちょっとまってくださいよCEO! ここは3000人の子分を持つワシがなるべきでしょう!? クールさんは配下に100人程度しかいないんだから!」

「あ?」ポールモールは雅を睨む。


 だが、雅も負けていない。


「この提案には大反対ですわ! CEOの直下につかないんなら、ワシは離脱しますよ!?」

「しゃーねェな……」


 ルーシも3000人の兵力を失うのはもったいないと思っているので、ここは適当に雅を納得させる言葉を考え、口に出す。


「じゃ、オマエはスターリング工業常務取締役だ。立ち位置的にはNo.3ってことにしてやる。だが、喧嘩もできねェ経済マフィアに飛車角の立場は与えられねェ。わかったか?」

「喧嘩ができない、だとォ!? CEOはサクラ・ファミリーがどれほどの武力を持ってるかしらんのですか?」


「知っているよ、馬鹿野郎」あっさりと、「だが、クール・ファミリーと互角程度だろ? 100人と3000人じゃ偉い違いなのに、それでも互角ならば、そりゃ前者のほうが優れているってことになる。……ま、これ以上(さえず)るようだったら」


 ルーシは拳銃を取り出し、今度は雅の頭に構える。


「保証はできん。わかったな?」


 目つきが本物だ。雅は押し黙るしかなかった。これが、どんな組織にも属さず、LTAS(エルターズ)屈指の武闘派で知られたクール・ファミリーをも傘下に取り入れた幼女である。


「よし、次だ。ポーちゃん、オマエはCFO──最高財務責任者だな」

「よろこんで」反応が薄いのは、わかっていたのだろう。

「最後に峰。オマエはCFO補佐兼取締役だ。異論は?」

「貴方たちに異論などあるわけがないでしょう」

「よくわかってるな。よっしゃ、役職決定だ。あとは盃? だな。おれと姉弟は正式に五分の姉弟になって、ほかは姉弟の子だ。ま、決定事項だよ」


 *


 人数が少なかったぶん、式はすぐに終わった。マフィアがヤクザの伝統をもとに階級を決めるのも変な話だが、なにせルーシが気に入っているので、ほかの者も文句はいわなかった。


「よっしゃ、時間が結構経っちまったな。私はカラオケに行ってくる」

「姉弟カラオケとか行くのかよ」

「友だちができてさ。おもしれェヤツらだったから、ここは親睦を深めておきたいんだ」


閲覧ありがとうございます。

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