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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十二幕 成功に目が眩んで
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不穏な傾向

 一方、ロスト・エンジェルスは、永世中立の破棄とブリタニカとの戦争を宣言した。両国家は国交を断絶しているため、ブリタニカは中立国のスイス、基ヘルベティアより、その情報を知った。


 もっとも、若き最高指導者クール・レイノルズの目的はあくまでもブラシリカの油田。ブリタニカに上陸したところで、仮に占領できたところで、たいした旨味はない。


「さて、戦争の始まりだ。参謀総長、計画を今一度教えてくれ」

「承知いたしました。まず、ブリタニカに展開する哨戒艇は2隻。ミサイル挺は3隻です。また、魔術海洋部隊は5000人展開します。そのいずれも、単独での飛行が可能であるエリートであります」デジタル化された地図をスワイプした。「もっとも、ブリタニカは世界第1位の魔術師大国。たった5隻の船は、あっという間に的にされてしまうでしょう。なので、我が方の生命線となるのは宇宙空軍です。燃費効率の高い戦闘爆撃機『マキーナⅤ』を100機用意いたしました。ただ……」

「ただ?」

「燃料不足は否めません。ブラシリカを3ヶ月以内に屈服させ、その間にブリタニカと講和する必要があります」

「そうだな。だが、こちらの条件を呑ませるには、それなりの戦果が必要だろう。ブラシリカの蛮族どもなど、敵の数にも入らんが……やはりブリタニカの戦意を削ぐことに腐心してくれ」

「承知いたしました」


 *


 戦争開始から3日間が経過した。


「そういえば、あまり報告を受けていないな」


 クールがそうぼやいた頃、


 3つの軍の参謀総長は、青ざめた顔で大統領執務室へ入ってきた。


「どうした?」

「報告します……。ブラシリカに展開されていた原子力潜水艦が大破しました。宇宙通信によりますと、3000人の海洋部隊のうち、2000人が戦傷を受けたと」

「侮っていたな。航空隊を出さなかったのは失敗だったようだ。なら、原子力空母にマキーナⅤと魔術特別部隊を乗せて、ブラシリカへと向かわせろ」

「しかし大統領、ブリタニカとの海域でも苦戦が続いています。制空権はどちらも譲らず、制海権はブリタニカが圧しており……大西洋に空母を出せるとは到底思えません」

「そうか……。であれば、セブン・スターズの出番だ。有事に備えて、海外領土から連中を本国へ帰投させただろ?」


 セブン・スターズは、軍集団と同等の破壊力を持つ。もちろん人間である以上、体力切れや魔力切れがあるものの、それを鑑みてもロスト・エンジェルスの切り札だということには変わりない。


「分かりました……。峰少佐とアーク少佐をブラシリカに展開。タイラー中佐をブリタニカへ繰り出します」


 理論上、軍集団が総じて5個できた。

 一方、彼らが戦線の再構築に失敗し、海軍及び航空隊が壊滅したら、この国は破産する。

 クールは、目の前に置かれたケースをジロッと見つめる。このケースには、ロスト・エンジェルスの最終兵器〝サテライト・ボンバ〟の発射機能があり、宇宙からのレーザー攻撃で複数の都市を地図上から消し去る代物だ。


 ケースを指差す。「肩の力、抜いていけよ。いざとなれば、これで終わらせてやる」


 *


 ルーシ・レイノルズは、あと1時間以内に出撃するアーク・ロイヤルと、港で釣りしていた。


「釣りって、あまり面白くないな」

「なんで僕を誘ったのさ。これからブラシリカ方面に出向かなきゃ、なのに」

「あぁ。私も着いていくからな」

「は?」

 意図的に答えなかった。「あーあ。もしサテライト・ボンバを海域に撃ったら、魚さんはどうなっちゃうんだろうな」

「いやいや、ルーシって民間人……というか子どもだよ?」

「そりゃオマエもいっしょだ」

「僕は軍人だけど」

「特殊大隊〝ギガバイト〟の実質的な指示権は、副官にやらせているんだろう? 軍学校を出てから私へ指示するんだな」


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