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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十二幕 成功に目が眩んで

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賽は投げられた

 我が方の最高戦力は、ジョン・プレイヤーである。異次元の魔力量と研ぎ澄まされた魔術、理論、なんの道具にも頼らずとも飛行可能で、疲れを知らない超最精鋭師団JPSの司令官。ブリタニカを脅すには、お誂え向きだろう。


「といっても、我が国とブリタニカは島国。この戦線は、制海権と制空権を手にすれば良いだけだな」

「えぇ。すでに宇宙空軍はブラシリカへと、〝サテライト・ボンバ〟の照準を合わせています。ポルトゥスの王室は、いつでも地上から消し去れますね」

「よろしい。ブリタニカへの最後通牒は、もう届いている頃合いだろう。連中からすれば、意味不明な要求だろうが」


 ロッキー港を爆破したのは、紛れもなくルーシたちだ。ブリタニカだって、世界中で戦争しているのに、ロスト・エンジェルスという新たな敵を増やしたいわけがない。


「しかしCEO、国家同士の同盟などあってないようなもの。ブリタニカを助けるために、ポルトゥス王室が動くとも思えませんが」

 ルーシは薄ら寒い笑みを浮かべる。「八千代、これからは情報戦だよ。もし、ロスト・エンジェルスがポルトゥスとヒスパニアの領土欲しさにガリア側へついたら……と思わせる布石は敷いてある」


 ロスト・エンジェルスは、ふたつの目的を持っている。


 ひとつ、油田確保。石油等がなければ、戦車も戦闘機も動かないからだ。

 ふたつ、食料自給率。大前提として、ロスト・エンジェルスの自給率は20パーセントを割っている。痩せ過ぎた土地の所為で、農業が育っていない。


 また、このふたつの要素は、市民たちの生活にも大きく関与してくる。ガソリン代は日を追うことに値上がっていき、食料も同様に高騰化が止まらない。


 なら、海外への領土拡張政策が妥当であろう。ポルトゥスを獲得すれば、大西洋での貿易が楽になる。また、ヒスパニアの国土は肥沃(ひよく)だ。


 この半島を割譲する代わりに、ガリアの北西を支配する武人皇帝と手を組む……という偽情報は、ポルトゥス王室にも届いているはずだ。ブリタニカへ送ったスパイが、しっかり働いていれば。


「否応なしに、ポルトゥス王室は戦争に参加するわけですか」

「するな。間違いなく」ルーシは断言した。


 *


 それにしても、大陸と地続きでないことが、ロスト・エンジェルス最大のアドバンテージなのかもしれない。これがロマーナやヒスパニアのように半島であったら、今頃ロスト・エンジェルスという国はなかったはずだ。


「というわけで、ブリタニカのクソどもとポルトゥスの豚どもは最後通牒を無視した。最高司令部は、ただちに艦隊ミサイルを発射しろとのことだ」


 ロスト・エンジェルス海軍所有の原子力潜水艦内では、搭載されている20発のミサイルの発射権限を得た。


「承知しました。これより、ブラシリカ沿岸へ打撃を与えます」


 現在、南大西洋に展開されている潜水艦は1隻だけである。いかんせん燃料がない。さらに、準備もできていない。〝ハイブリットエンジン〟という、燃料と電気モーターを使い分けられる軍艦も出せないほどに、だ。


 他方、その潜水艦には3000人強の海兵隊が乗っている。潜水できる空母、だと捉えれば分かりやすい。空母との違いは、戦闘機がないことくらいだ。それに、代わりに魔術師も乗っている。


 そして、ミサイルが放たれた。


「宇宙空軍より伝達。沿岸は大打撃。連中、まともに準備もしていないようですな」

「おれらの兵器がおかしいだけだろ。で? いつになったら、閉所恐怖症のおれことゴールデンバットは上陸できるんだ?」

「そろそろですよ。〝魔術海洋部隊〟はこの作戦の肝ですから」


 ゴールデンバットは、退屈そうにあくびしたのだった。


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