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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十二幕 成功に目が眩んで
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〝大陸はブリタニカから孤立した〟

 ロスト・エンジェルス連邦共和国外務省は、連邦情報局と協力しあい、以下のような結論を大統領及び長官たちへ発表した。


 ・現在、ポルトゥスの王室はブラシリカへ亡命している。ガリアの侵略行為から逃げるためである。

 ・また、ポルトゥスはブリタニカと〝永久同盟〟を結んでいる。

 ・当然ながら、ロスト・エンジェルス最大の仮想敵国はブリタニカである。

 ・よって、ブリタニカが〝ブラシリカの春〟作戦に絡んでくるのは濃厚と思われる。

 ・現在、我が方にブリタニカと戦争をしながらブラシリカを〝解放〟する力はない。

 ・そのため、ブラシリカへ戦争を仕掛けるのは得策ではない。外交的な解決を図るべきである。


 その情報は直ちに、自宅でのんびり過ごしていたルーシの元へも送られた。銀髪碧眼の少女は、紙巻きタバコから煙を吐き出し、口を曲げた。


「そうかい。ブリタニカが参戦してくる可能性が極めて高いと」


 盲点だった。確かに、前世でもイギリスとポルトゥス、基ポルトガルは(半ば形式化していたが)、永久同盟を結んでいた。変にブリタニカを刺激したら、世界第1位の数を誇る魔術師の集団がロスト・エンジェルスへなだれ込んでくるだろう。


 ルーシはスマホを取り出し、ポールモールへ連絡した。


「車、用意しろ。今から大統領府でクールと話し合ってくる」

『分かった。ただ、血迷った決断はするなよ?』

「なら、オマエも着いてこい」

『そうするよ』


 数分後にリムジンが家前に現れる。ルーシは後部に座り、ポールモールと向き合う。


「さすがに、ブリタニカと事を構えるのは無理だぞ。ヤツら、徴兵制を始めたというし」

「そりゃあ、厄介だ。世界帝国と真っ向から挑むのは無謀だしな。ブリタニカと交戦したら、海外領土からの物資をこちらへ持ってこられなくなる」

「なら、どうするつもりだ? 地中海は今やガリアの海。中東諸国にある原油を獲得するには、ふざけた戦力のガリアを叩かなくてはならんし」

「妙案がある。おそらく、オマエも納得するはずだ」


 *


 大統領府。普段通りに使用人や役人が働いているのが、むしろ不気味さを加速させていく。

 とはいえ、あの情報は極秘中の極秘。彼らのような下役には情報が行き届いていないに違いない。


 大統領執務室に、ルーシとポールモールは向かう。

 ポールモールはクールと目があった瞬間、おじきした。


「アニキ、お久しぶりです」

「おぉ、ポーちゃん」


 握手を交わし、クールはソファーを指差す。ルーシとポールモールはそこへ座った。


「さて、油田確保作戦は失敗に終わりそうだけど、どうしようか」

「クール、私に案がある」

「なんだよ、ルーシ」

「もし、アメリカーナがこちら側に立って参戦したら、ブリタニカは3つの戦線を持つ羽目に

 なる。ガリアを始めとする旧大陸の敵対国家、ロスト・エンジェルスというシーパワー国家、更に新大陸のアメリカーナ。ブリタニカにこれだけの戦線を維持できるとは思えないな」ルーシは手を広げる。「なので、今すぐアメリカーナに打診しろ。我々と手を組めば〝海上封鎖〟をなんとかしてみせると」


 現在、旧大陸・新大陸はいわゆる〝大陸封鎖令〟に見舞われている。東欧帝国・フリードリヒ公国・オストライヒ帝国などの列強諸国は、ガリアへ敗れた際に領土割譲と強制的な同盟を組まされている。そのため、ガリアの意向を無視できず、ブリタニカの優れた製品が(秘密裏以外で)輸入できなくなっているのだった。


 それに対抗する形で、ブリタニカは〝海上封鎖〟を発動した。あの島国の連中は口を揃えてこう言う。『大陸はブリタニカから孤立した』と。


 そして、その余波は新大陸アメリカーナにも流れ込んできている。


「なるほど。アメリカーナをその気にさせて、サラッとブラシリカを頂くわけだ」


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