表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
280/290

ドブ臭い最低な世界へおかえり

「よう。顔拝みに来たぞ」

『社長ォ!! イーストLTASにいンのか!?』

「声を潜めろ。うるさくて鼓膜が破れそうになる」

『よっしゃァ!! 今から迎えに行くぜ! どこら辺にいるんだ!?』

 やかましいと感じつつ、ルーシは道路名を見る。「ナース・ストリートだな。早く迎えを──んん?」


 ルーシの声色がなにかを訝っていた。


 リヒトは声を抑え、ルーシへ言う。『なんかいるのか?』

「あぁ。〝レイノルズちゃん〟を見つけた」

『社長の分霊箱か。反目な様子か?』

「いや、笛吹きながらこちらへ近づいてきている。さすが虚無僧」

『それだけじゃ、分かんねェなぁ』

「まぁ、反目ではないだろう。そうだったら、すぐ攻撃に移っているはずだ」ルーシは、自身と瓜二つのヒューマノイドに手を振る。「一旦電話切るぞ。ちょっと〝レイノルズちゃん〟と話したいことがある」

『了解ッ!!』


 電話を切り、ルーシは藁の被り物をしている特有の存在に近づいていく。


「よう、調子は?」

「ハッピー以上ルンルン以下です。マスター」

「そりゃ、めでたい。で、訊きたいことがふたつある」

「なんですか?」

「ひとつ。母体の私が死んだのに、なんでオマエらは生きている?」


 至極当然の疑問である。レイノルズちゃんとは、ルーシの魂を分け与えたヒューマノイド。あのときルーシが確かに死んだのなら、レイノルズちゃんたちもまた全員機能を停止するはずだろう。


「マスターより臆病な方はなかなかいませんから」

「どういう意味だよ」目を細める。

「マスターは、自分の魂をヒューマノイドという人形に入れた。そして、ふたつの司令を行った。ひとつは母体のマスターへ決して逆らえないように。もうひとつは、マスターに逆らわない範囲内で貴方様に有益な行為をすべき、だと」

「……、そんな命令したかな」

「しました。残存するレイノルズちゃんは777体。それらに聞けば、同じことを答えるでしょう」

「777……ラッキーセブンってわけか。まぁ良いや。なら、ふたつ目聞くぞ」

「なんでしょうか」


 ルーシは悔しさとやるせなさが交わった口調で、そのレイノルズちゃんへ尋ねる。


「……ルテニアは死んだのか?」

「えぇ。死にました」一刀両断だった。


 ルテニアとは、レイノルズちゃんのひとり。名前をつけるくらいには、気にいっている存在だった。

 しかしやはり、あの戦役で死んでしまった。ゲルマニア方面での軍事作戦の余波で。


「……私だけが生き残って良いものなのか」

「マスターらしくもないことを言いますね。そのような態度では、また反旗を翻してしまいますよ。我々はマスターの意志次第で変わっていきますから」

「それもそうだな……」


 所詮、乱造されたヒューマノイドのひとり。数ミリ程度の魂を分け与えただけの存在。それだけの人形なのに、ルーシはうなだれていた。


 しかし、いつまでも落ち込んでいる暇はない。ルーシは無理やりにだが、冷静さを取り戻す。


「マスター、他に用件は?」

「今のところはない。オマエらは増殖し続けろ。偽物のパチモノができたとき、必ずガリア方面での戦争に役立つはずだ」


 ルーシ→レイノルズちゃん→レイノルズちゃんの魂を与えられたヒューマノイド……と繋いでいけば、オリジナルのルーシのメンタルが揺らぐこともない。それはつまり、永久機関に近い。


「承知しました。スターリング証券及びクール・カンパニーで、またヒューマノイドを制作してください」

「あぁ」


 そのレイノルズちゃんは去っていく。

 その頃、リヒトとマーベリックが迎えに来ていた。


「よう、旧友ども」

「社長ォ!!」抱きついてきたリヒトを張り手で吹っ飛ばす。「いってェ!! やっぱり社長の腕力半端ねェな!」

 マーベリックは口元を緩ませ言う。「おかえりなさい、CEO」

「あぁ。帰ってきてやったぞ。ドブの匂いがする最低な世界へ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ