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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
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タバコミュニケーション

 旧魔術。メリットの生命線である。ルーシを除くこの世界の魔術師は〝新魔術〟と呼ばれる、ひとりひとつしか使えない強力な魔法を使う。他にも〝悪魔の片鱗〟という魔力を身体にまとわせる術式もあるが、基本的に魔の力はひとりひとつずつだ。


 対して旧魔術。こちらは、新魔術とは違い何個も使える。空間移動だったり、時間巻き戻しだったり、高射砲みたいな物体を生み出し操作したり、と。ただ、それらを極めた新魔術使いには、威力だったり範囲だったりなどで負ける。いわば器用貧乏といったところか。


「チッ、あの根暗を家に入れるなんて」

「メント、なんでオマエはメリットが嫌いなんだい?」

「そりゃあ、絶壁三白眼とか言われたら誰だって嫌になるだろ。ルーシ」

「間違っちゃいないと思うが」

「アイツは嫌味ったらしいんだよ。親の顔が見てみたい」


 メントとメリットは険悪だ。とはいえ、家に招き入れることを了承するくらいなので、そこまで嫌悪感は抱いていないのかもしれない。


 そんな最中、インターホンが鳴った。


「私が出るよ」


 ホープが立ち上がり、映像越しにメリットの姿を見る。そして彼女は解錠し、メリットを家へ入れた。


「久々に会うな。楽しみだ」


 ルーシは喜々とした表情でメリットを待つ。

 家のドアが開いた。メリットが現れる。

 黒髪のショートヘア。黒いシャツから垣間見える大量のタトゥー。丸メガネ。先ほどまで女性用風俗へ行っていたのか、特有の匂いがする。


「よう」ルーシは手を振る。

「やっぱり、アンタは死んだくらいじゃ死なない」


 メリットの表情はどこか緩んでいた。普段なら無表情だが、さすがに半年くらい会っていない〝盟友〟との再開に、頬が緩むものがあるようだ。


「そうだな。死んだくらいでくたばっていたら、愛と平和の守護神はできない」

「意味分かんない」

「それで? ついに処女卒業したのかい?」

「……、元々処女じゃないし。彼氏だって、ふたりいたことあるし」

「どうせ、膜が硬すぎて相手吹っ飛ばしたんだろ?」ルーシはベランダを指差す。「とりあえず、タバコ吸おうぜ。私とオマエだったら〝タバコミュニケーション〟できるしよ」


 ルーシとメリットは喫煙者なので、ベランダに出てタバコをくわえ始める。


「アイツ、10歳から11歳だよな。なんでタバコ吸ってるんだ?」


 見慣れた姿だが、よくよく考えてみるとルーシは幼女だ。なぜ彼女は平然とタバコを吸っているのだろうか。メントは怪訝に感じた。


「転生者なんじゃないの?」


 対してホープは、あまり疑念を覚えていないようだった。彼女は続ける。


「もし死んだときの年齢が18歳以上なら、届け出を出せばタバコも買えるし。でもまぁ、うちタバコ嫌いなんだよね」

「あたしも嫌いだよ。臭いし、健康に悪い」


 そんな会話を聞き流し、ルーシとメリットはベランダで紫煙に巻かれる。


「あー……。女向けの風俗って、どんな感じなんだい?」

「大人の夢の国」

「それだけじゃ分からんな」

「そもそも、ロスト・エンジェルスの性依存症者は100万人だし、別に変なことでもないでしょ」

「終わっているな、この国」

「性的なことを我慢するほうが、よっぽど終わってる」

「まぁ、無神論国家だしな。エロイことを禁忌とする他国とは違うわけだ」

「そういえば、あのカマ野郎と会った?」

「カマ野郎……ああ、アークか。会ったよ。元気そうにしていた」

「キャメルのこと放っておいて、良い身分なこと」

「仕方ないだろ」ルーシは2本目のタバコに火をつける。「アイツだって忙しいんだよ。なにせ、国家最強の魔術師セブン・スターズ様だからな」

「それでも、幼なじみで半ば付き合ってる子への思いやりとかないの?」

「あるだろ。ただ、アークも困っているだろうな。記憶喪失が治らないとお姉ちゃんだって辛いだろうが、治ったら病的な性欲が爆発するしさ」


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