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もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら  作者: 東山ルイ
第十一幕 最強の無法者が帰ってくる!! ヤァヤァヤァ!!
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金のコウモリ

 キャメル・レイノルズは、ルーシが死んだはずだったゲルマニア方面での戦争にも(勝手についてきて)従事していた。そこでなにか起きたのだろうか。


「ちょっと電話繋いだままにしてください。近くにアークいますか?」

『……アークなら、セブン・スターズって組織の会合があるからって、一時的に退院しました』

「分かりました。早期の回復を祈っています」

『貴方は、とても優しいお方ですね』

「へ?」

『声を聞いてると落ち着きます。優しい声色で、ヒトを癒やしてくれるような』

「そ、そうですか。では、ごきげんよう」


 貶されてばかりの人生を過ごしてきたが、ヒトから素直に褒められる経験なんて子どものとき以来……今も子どもの姿か。ともかく、新鮮な感覚だった。


「ま、まぁ、お姉ちゃんは良くも悪くも素直なヒトだからな」


 まんざらでもないルーシは、キャメルの連絡先以外を知らないことに気が付き、やることがなくなったと、広々とした大統領府を歩く。


「うお、日本庭園? ロスト・エンジェルスと……ここじゃ確か(みかど)(くに)って、国交結んでいるのか?」


 懐かしくなり、ルーシはたまたま見つけた日本庭園らしき場所の縁側に座る。


(国籍すらない私、いや、あのときは〝おれ〟でも良い思いさせてもらった。たった18年しか生きなかったが、思えばそのうちの4分の1くらいは日本で過ごしてきたんだよなぁ)


 気の抜けた顔で、庭園を見つめながら過去に浸る。これでは老人と変わりない。


「おっと、ノスタルジーになるには子ども過ぎるな」


 というわけで、ルーシは大統領府から出てメントの自宅にでも行こうとした。

 しかし、庭園の近くにあった駐車場に高級車が停まったため、興味本位でそれに近づく。


『セブン・スターズ定例会。アーク・ロイヤル少佐とゴールデンバット少将がお着きです』


 スピーカーからそう聞こえた。当然、目にもしっかりアークとゴールデンバットが映っている。


 アークは見慣れた姿形だ。普段と違うのは、杖をついていることくらいか。相変わらず中性的で、天然なのか人工的なのかパーマのかかった金髪の長髪。普段デコを出さないヤツだが、こういう場面では整髪料でも使って上げている。


 訳すと金のコウモリという奇怪な名前を持つゴールデンバットは、髪の根元が黒くて、紫髪のドレッドヘアが特徴的なオールバック。身長は男子の17~18歳と考えても低身長なアークより圧倒的に高いが、アークと変わらないくらい細身だ。


(つか、中華圏だとコウモリって縁起の良い生き物だったな。それに〝金〟となればアイツ、もしかしたらアジア系とのハーフかも)


 どうせ暇だと、ルーシはふたりの背後に回り込む。そしてふたりの背中を思い切り叩いた。


 アークは叫ぶ。「イッタ!!」

 ゴールデンバットは臨戦態勢だ。「てめ、なにしやがる──ルーシ・レイノルズ!?」

「え、え? ルーシ!?」


 アークは、漫画のように目をくるくる回す。


「君ら軍人なのだから、ニュースくらいしっかり目を透しておきたまえ。5日前、私のKIA判定は取り消されたはずだけど?」

「いや、ルーシ。その日は市民たちも僕らも、エドモン逮捕の一件に取り掛かりだったし」アークは冷静に伝えながら、顔がどんどん緩んでいく。「いやー、嬉しいな……。シンプルに。でも、ルーシ。どうやって帰ってきたの? 遺体はポールモールさんとジョン中将が回収したって聞いたけど」

「私は愛と平和の守護神だぞ。不死身なのだよ」

「まぁ、そういうことにしておこう!」アークは上機嫌に微笑んだ。

 ゴールデンバットは首をかしげた。「良く分かんねェけど、帰ってこられて良かったな」


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